日本消化器内視鏡学会雑誌
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44 巻, 9 号
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  • 堀内 朗, 中山 佳子, 前山 浩信, 山浦 高裕, 村上 真基, 越知 泰英
    2002 年 44 巻 9 号 p. 1663-1672
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸癌イレウス症例17例(直腸癌5例,S状結腸癌4例,下行結腸癌3例,横行結腸癌2例,上行結腸癌2例,盲腸癌1例)に対して,新しく開発された経肛門的イレウスチューブを内視鏡的に溜置しえ,減圧洗浄が可能となり一期的手術を施行できた.手技の工夫としては,1)腹部CT検査にて大腸癌イレウスを疑うならば,その閉塞部位の推定に基づいて高圧石鹸浣腸を行い,副送水管を有した大腸内視鏡を用いて透視下で内視鏡検査を施行した.2)狭窄部位手前まで内視鏡挿入後は,水溶性造影剤による狭窄部の評価を行い,胆道用ガイドカテーテル使用下に親水性ガイドワイヤーを挿入して狭窄部位を通過させた.3)S状結腸が長く深部に狭窄がある場合は,狭窄部拡張ダイレーターを用いてS状結腸のループを.単純化した後に,右側結腸癌の場合は,スライデイングチューブの留置下に,先端先細り型の経肛門的イレウスチューブを挿入留置した.
  • 宮岡 洋一, 石原 俊治, 結城 美佳, 河村 朗, 佐藤 宏, 藤代 浩史, 内田 靖, 足立 経一, 木下 芳一, 丸山 理留敬
    2002 年 44 巻 9 号 p. 1673-1680
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性.心窩部痛を主訴に入院し,上部消化管内視鏡検査にて胃体上部大彎から後壁にかけて,立ち上がりは山田3型で周囲は正常粘膜で覆われるも表面の大部分は白苔を伴った潰瘍底を有し,それらの移行部は前壁側ではやや結節状を呈した巨人な隆起性病変を認めた.生検および免疫染色でGastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断.内視鏡所見,腫瘍の大きさ,CT所見等から悪性を否定できず,外科的手術を施行した.病理診断はGIST(Smooth muscle type)であり,境界悪性病変であった.同切除標本からc-kitの傍細胞膜領域であるexon 11領域の突然変異の有無を検索したが,変異は認められなかった.現在術後1.年であるが,再発もなく経過良好である.GISTの臨床的悪性度診断は比較的困難な場合もあり,今後c-kil変異も含めた分子生物学的手法も一手段となりうると考えられたため報告した.
  • 平名 浩史, 渥美 正英, 真鍋 理絵, 澤井 直樹, 上平 博司, 坂本 雅史, 細田 正則, 加知 一友, 中川 義弘
    2002 年 44 巻 9 号 p. 1681-1686
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は91歳,女性.構語障害および歩行障害にて近医に入院中にタール便を認め,平成11年1月6日に胃体下部後壁のDieulafoy潰瘍に対してHS-E液および純エタノール局注による内視鏡的止血術が施行された.止血術後5日目の経過観察にて同部に軽度の隆起を認め,術後20目目には緊満した半球状の径30mm大の粘膜下腫瘍様隆起に増大していたため,平成11年1月29日,当科に紹介入院となった.超音波内視鏡検査(EUS)にて第3層内に低エコーで不均一な内部エコーを呈する嚢胞性病変を認め,胃粘膜下膿瘍が疑われたため,針状メスにて頂部を切開し,内視鏡下に吸引排液を行った.内容液の培養では,α-streptococcus,Neisseriaが検出された.切開排液後1週問目には隆起は平坦化しており,EUSにて貯留液の消失を確認した.さらに2カ月後の経過観察では同部は瘢痕治癒していた.
  • 山口 康晴, 大和 太郎, 勝見 直也, 今尾 泰之, 青木 圭, 森田 靖, 三浦 美貴, 両角 克朗, 石田 均, 高橋 信一
    2002 年 44 巻 9 号 p. 1687-1691
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例1はC型肝硬変,慢性腎不全の69歳男性.Diffuse antral vascular ectasiaに対しAPCを施行した.12日後,同部に出血性胃潰瘍を来した.症例2は慢性腎不全,うっ血性心不全の77歳男性.胃噴門部小彎のvascular ectasiaに対しAPCを施行した7日後,同部に出血性胃潰瘍を来した.症例1,2ともに内視鏡的止血術を要した.安全とされるAPC治療においても,慢性腎不全や肝硬変等の基礎疾患をもつ症例では,その適応を慎重に判断し,術後も厳重な経過観察が必要であると考えられた.
  • 藤澤 貴史, 阪本 哲一, 坂口 一彦, 黒田 祥二, 大西 裕, 池原 久朝, 寺西 哲也, 前田 光雄, 西上 隆之
    2002 年 44 巻 9 号 p. 1692-1698
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は86歳,.女性.1993年1月貧血精査のため胃内視鏡検査を施行,幽門前部小彎にIIa+IIc様の病変を認め,20カ月後にIIc+III型類似進行癌を経て,26カ月後の1995年3月にはIIa+IIC類似進行胃癌に進展した.幽門狭窄による嘔吐を主訴に当科に入院となり,胃幽門側亜全摘出術を施行した.病理組織学的には粘膜内は胃腺窩上皮類似の超高分化型腺癌が絨毛状に発育し,深部は漿膜まで浸潤していた.以上,IIa+IIC類似進行癌,tub1,T3(SE),INFβ,ly1・VO,pNO,45×30mmの進行胃癌と診断した.粘液組織染色所見ではMUC2染色陰性,CD10染色陰性,HGM染色陽性で,腺窩上皮型完全胃型腺癌であった.臨床病理学的検討および2年間の内視鏡的形態変化も含めて報告する.
  • 井上 拓也, 畑田 康政, 金澤 浩介, 田中 正則
    2002 年 44 巻 9 号 p. 1699-1704
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は79歳男性.平成7年より大腸ポリープにて当科外来に通院中であった.平成11年12月下旬頃より下痢を初発症状として典型的なCronkhite-Canada症候群(CCS)を発症した.発症2カ月前では上部・下部消化管ともポリポーシスを認めず,発症1カ月前に大腸粘膜に浮腫,発赤が出現していた.内視鏡的に粘膜切除したポリープの一部に低分化腺癌を認めたため,結腸亜全摘術,同腸S状結腸吻合術を施行した.術後施行した内視鏡検査で胃(13カ月後)および残存結腸(5カ月後)のポリープは消失していた.CCSの消化管病変は極めて短期間で出現することが示唆された.
  • 江淵 義昭, 高橋 敬二, 中野 茂, 岡野 直樹, 山澤 養志子, 栗田 俊夫, 三木 一正
    2002 年 44 巻 9 号 p. 1705-1709
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は59歳男性.43歳の時に潰瘍性大腸炎(UC)と診断され,メサラジンの内服で緩解を維持していた.平成13年2月下旬より左側膝関節痛が出現し,左下肢のしびれも伴ったため精査目的で当院に入院となった.下部消化管内視鏡検査にてUCの増悪,骨シンチグラフィーで左膝関節及び足関節の異常集積があり,さらに左腓骨神経の運動神経伝導速度の遅延と同神経領域の知覚鈍麻を認めた.この関節痛及び下肢のしびれは,UCの腸管症状の改善に伴い軽快したため,これらの症状はUCの腸管外症状と考えられた.UCに関節炎と単神経炎を合併した稀な症例であり,文献的考察を加え報告する.
  • 仲村 将泉, 仲宗根 啓樹, 外間 昭, 前田 企能, 福地 淳, 川根 真理子, 豊見山 良作, 与那嶺 吉正, 金城 渚, 佐久川 廣, ...
    2002 年 44 巻 9 号 p. 1710-1714
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は49歳男性.平成11年12月右結膜悪性黒色腫のため右眼球摘出術を受けた.翌年11月黄疸と食思不振のため当科へ入院した.消化管内視鏡で胃と十二指腸に転移性悪性黒色腫を認め,腹部超音波とCTで肝転移と肝内胆管の拡張を認めた.ERCPで総胆管狭窄を確認し,減黄目的に自己拡張型ステントを留置した.症状は改善し一時退院できたが,5カ月後に全身転移により死亡した.転移性悪性黒色腫の初発症状として閉塞性黄疸をきたした症例は極めて稀で,ステント治療によりquality of lifeの改善が得られた貴重な症例と考えられたので報告する.
  • 日本消化器内視鏡学会
    2002 年 44 巻 9 号 p. 1718-1719
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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