日本消化器内視鏡学会雑誌
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35 巻, 11 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • 高士 ひとみ, 森瀬 公友, 榊原 真肇
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2617-2627
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃潰瘍119例(難治性潰瘍32例,再発潰瘍62例,初発潰瘍25例)と対照22例について潰瘍部および背景胃粘膜におけるHelicobactey pylori(H.P.)の陽性率・菌数とともに炎症細胞浸潤の程度を比較し,H.P.と潰瘍の難治化,再発との関連につき検討した.難治性潰瘍の病変部では初発潰瘍,再発潰瘍に比べH.P.の陽性率が高く,また再発潰瘍に比して有意に菌数が多かった.一方,潰瘍部の好中球数はいずれの潰瘍群も対照に比べ高値を示した.経過観察では初発潰瘍は好中球数が有意に減少したが,再発潰瘍,難治性潰瘍では減少はみられなかった.一方,背景胃粘膜では難治性潰瘍・再発潰瘍は初発潰瘍・対照に比べ有意に好中球数が多かった.また,H.P.陽性例は陰性例に比べ有意に好中球数が多く,菌数と好中球数間には相関がみられた.胃粘膜のH.P.感染における菌体数および好中球の変動が潰瘍の難治化・再発に関与している可能性が示唆された.
  • 中村 孝司, 友野 寛樹, 田村 由美子, 大溝 雅史, 長瀬 裕平, 松丸 一彦, 山村 眞吾, 宮本 昭彦, 上東 洋一, 正岡 一良, ...
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2629-2634
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    上部消化管内視鏡検査の血清ガストリン値に与える影響を検討する目的で内視鏡検査前後の血清ガストリン値を178例で測定した. 血清ガストリン値は,前処置として臭化ブチルスコポラミンを投与した場合,内視鏡検査後有意に上昇し,グルカゴンを投与した場合,有意に減少し,前処置の注射をしなかった場合有意の影響をうけなかった. 胃生検は内視鏡検査後の血清ガストリン値に影響を与えないことが示唆された. Helicobacter pyloriの有無も内視鏡検査時の血清ガストリン値に有意の変化を与えないことが示唆された. 多くの場合,変動は前値の±30%以内にとどまり,約30分の休養によって前処置薬(臭化ブチルスコポラミン)の影響もなくなるので,内視鏡検査後の血清ガストリン値を空腹時ガストリン値とみなしても実際上は大きな問題はないものと考えられる.
  • 大川 清孝, 石黒 信吾, 渡辺 憲治, 酒井 泰彦, 森吉 靖子, 木岡 清英, 進藤 嘉一, 宋 健二, 岡 博子, 山田 英明, 針原 ...
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2635-2639_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    虚血性大腸炎にみられる小病変のうち,横走潰瘍と主病変から正常部を介して肛門側に存在する散在性の斑状発赤について検討した.これまで横走潰瘍が虚血性大腸炎に特徴的な所見であるとする報告はないが,発症1週間以内に内視鏡観察が可能であった症例の23%に認められた.横走潰瘍が虚血性大腸炎に特徴的な所見とすれば,これまで診断されなかった軽症の虚血性大腸炎も内視鏡的に診断できる可能性が示唆された.主病変の肛門側に存在する散在性の斑状発赤は,発症1週間以内に内視鏡観察が可能であった症例の24%にみられた.本病変の存在は,主病変と離れた部位に軽い散在性,斑状の虚血状態が存在することを示したものである.血管側因子のみから虚血性大腸炎がおこるとすれば,完全な区域性病変となるはずであり,このような病変は起こり得ず,腸管側因子の関与を間接的に示唆する所見と考えられた.
  • 島田 宜浩, 平川 弘泰, 梅川 康弘, 小畠 敏嗣, 高下 成明, 渡辺 誠
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2640-2648_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝疾患の病因を探る上で,肝硬変結節径など肝表面像の計測が必要とされるようになり,腹腔鏡下計測法の有用性が再浮上してきた.これに関係して,保存腹腔鏡写真に撮影されている結節径などに対する計測法の開発が要求されるようになった. このことから,腹腔鏡検査と同時期に撮影された腹部CT写真より,肝の特定部位の長さを求め,他方,この部位に相当する肝表面に並ぶ結節数を,腹腔鏡写真上で計算し,両者の商による,結節径の概算を試みた. その結果,肝左葉横幅を基準とする方法では,従来の目盛り付きゾンデ法で計測した値とほぼ等しい成績が得られ,今回の方法による結節径の概算が有用であると考えられた.ところが,胆嚢径を基準とした計測法では,予期した値の約1/2またはそれ以下の小さい値が得られ,この方法での測定は不首尾に終った.このことは,容易に収縮し,一定しない胆嚢を基準にしたことによると思われる.
  • 泉 並木, 田中 雄二郎, 榎本 信幸, 小島 茂, 小野 圭一, 星野 裕治, 矢内 常人, 内原 正勝, 三宅 祥三, 佐藤 千史
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2651-2655_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝炎において,ウイルスの増殖と肝病変の関連性を明らかにするため,肝組織内のC型肝炎ウイルスの分布をin situ hybridization法を用いて検出し,腹腔鏡所見との対比検討を行なった.肝組織内HCV-RNAの分布はspotty,scattered,clustered,diffuseの4型に分類された.4群間に性別,年齢,輸血歴,飲酒歴,血液生化学検査など臨床所見には差は見られなかった.Spottyパターンを示した症例では200番地台が多かったのに対して,scattered,clustered,diffuseとHCV-RNAの分布が密になるに従って200番地が減少し300,400,500番地台が増加していた.また,HCV-RNAの分布が増加している症例程,赤色紋理や溝状陥凹の出現頻度が高いことが認められた.以上より,C型肝炎のウイルス分布の差異が腹腔鏡所見に反映されるものと考えられた.
  • 佐藤 隆啓, 東野 清, 村島 義男, 須賀 俊博, 八百坂 透, 今村 哲理, 藤永 明, 小井戸 一光, 宮川 宏之, 栃原 正博, 夏 ...
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2656-2660_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    三つ又把持鉗子,結紮用エンドループを応用し,食道・胃静脈瘤に対し,内視鏡的静脈瘤結紮術を施行した.結紮術の手順は2チャンネル式ファイバースコープを使用し,エンドループの中を把持鉗子が通るようにしておきエンドループ内に静脈瘤を引き込む.次にループを閉じ静脈瘤を結紮した後,はさみ鉗子にて結紮糸を切断し終了する. これまで食道静脈瘤10例,胃静脈瘤6例に施行したが,結紮術後は潰瘍の縮小に伴い,静脈瘤の消退を認めた.本法は静脈瘤の完全消失には少量の硬化剤の併用を必要とするが硬化剤に起因する副作用低減という利点がある. また,大きな胃静脈瘤に対しても結紮が可能で本法は有用な方法と考えられた.
  • ―特に胃癌症例との対比について―
    上村 直実, 向井 俊一, 山口 修司, 土井 謙司, 岡本 志朗, 春間 賢, 隅井 浩治, 梶山 梧朗, 杉山 敏郎
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2663-2671
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃底腺ポリープ症例(FGP)99例および胃癌症例139例を対象として,その背景胃粘膜について対比検討した結果,1)FGP症例における内視鏡像の特徴は萎縮に乏しく,合併病変としては櫛状発赤を53%と高率に認め,胃癌との合併は認めなかった.2)血清Pepsinogen(PG)値の検討では,FGP症例は血清PGII値が低値を示し,胃癌症例に比し血清PGI/II比が著明な高値を呈した.3)前庭部ウレアーゼ活性の検討では,FGP症例は20症例全例陰性であった.胃癌症例も56例中29例(52%)が陰性であったが,血中のHelicobacter pylori(HP)抗体価は高値を呈していた.FGP症例は血中のHP抗体価も低値であったことから,FGP症例はHPに対して非感染であり,胃癌症例はHP感染後と考えられた.以上より胃底腺ポリープ症例は,胃癌発生の低リスク群に位置しており,その背景胃粘膜の特徴はHPに非感染であり,血清PGI/II比が高値である点で胃癌症例と対称的であることが明らかとなった.
  • 木村 克巳, 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛, 渡邊 浩光, 長南 明道, 松永 厚生, 安藤 正夫, 結城 豊彦, 佐藤 自伸, 富永 ...
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2672-2679
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    7例を対象に,経口胆嚢鏡(以下POCCS)の胆嚢内挿入,および観察における問題点について検討した.胆嚢結石5例,胆嚢癌1例,アデノミオマトーシス1例で,このうち6例は,ESTによる総胆嚢結石戴石術後の症例であり,他の1例はPOCCSを目的にESTを行った.親子方式で子スコープを胆管内に挿入後,直視下に胆嚢管を介してガイドワイヤーを胆嚢内に挿入,次いで子スコープを胆嚢内に進めた.5例で子スコープの胆嚢内挿入が可能で,このうち2例では,カテーテルを用いての操作を要した.挿入不能であった2例中1例は,ガイドワイヤーの胆嚢内挿入は可能であったが,拡張用カテーテルが先進せず,また他の1例はガイドワイヤーの胆嚢管通過が困難であった.胆嚢内の観察にあたっては,近接で粘膜の血管透見像,fine reticular patternが明瞭となったが,遠景の観察,撮影においては,光量がやや不足する傾向にあった.
  • 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛, 木村 克巳, 渡辺 浩光, 長南 明道, 松永 厚生, 安藤 正夫, 結城 豊彦, 佐藤 自伸, 富永 ...
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2680-2686
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    マイクロスキャナーを経乳頭的に胆管内に挿入し胆管の超音波断層像を得る,trans papillary biliary sonography(TPBS)を行い,若干の知見を得たので報告した.本研究で使用したマイクロスキャナーは,アロカ社製のメカニカルラジアル走査式,20MHzで,外径は6Fr.である.このため,内視鏡のチャンネルを通じて胆管へ挿入することが可能である.胆管結石5例,胆管癌3例,胆嚢癌2例,胆嚢結石1例,膵癌3例,膵石症2例,計16例でTPBSを施行した.なお,これらは全例内視鏡的乳頭括約筋切開術を先行して受けていた.マイクロスキャナーの挿入は全例で可能で,胆管の超音波断層像の記録が行われた.胆管壁は基本的に内腔側から低・高の2層に描出された.低エコー層は0.4-0.9mm(平均0.7mm),壁エコー全層では0.9-1.7mm(平均1.4mm)と計測された.Oddi氏筋など乳頭部近傍の構造も明瞭に描出された.TPBSに起因する合併症は特に認められなかった.
  • 浅野 道雄, 南 洋二, 安藤 久實
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2687-2692_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的胃粘膜切除(以下EMR)の困難な噴門部早期胃癌に対し,内視鏡的に造設した胃瘻を用いることにより,容易にEMRを施行し得た.症例は80歳女性で,噴門部にIIa型高分化型腺癌を認めた.胃壁を腹壁に固定する方法で経皮内視鏡的胃瘻造設を行い,瘻孔化した胃瘻から内視鏡を挿入し,経口的内視鏡との2本でEMRを施行した.この方法を用いれば,噴門部の病変も容易に内視鏡的に切除可能である.
  • 谷内 まゆみ, 長谷川 庄一, 川野 恵造, 山縣 俊之, 乾 宏行, 湯川 進, 中峯 寛和, 竹中 徹
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2693-2700_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は67歳女性.平成2年6月下腿浮腫を主訴に来院.頸部リンパ節腫大を認め,白血球20,600/μlでそのうちリンパ球が76.5%であった.消化管の精査にて胃に巨大皺襞と微小なポリポーシスを認め,十二指腸球部~回腸までは大小のポリープが多発,回盲弁にカリフラワー状の巨大腫瘤がみられた.頸部リンパ節,骨髄clot section,十二指腸ポリープ生検標本からMLPを呈したILLと診断.MLPの独立性に関して文献的考察を加え報告する.
  • 高尾 雄二郎, 平田 一郎, 島本 史夫, 斉藤 由起子, 齋藤 治, 林 勝吉, 田中 雅也, 高田 興, 中川 憲, 吉積 宗範, 梅垣 ...
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2701-2706_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は46歳男性.右眼瞼腫脹を主訴に当院眼科を受診.眼瞼腫瘤摘出術を受けたところ悪性リンパ腫が疑われ全身検索のため当科に入院となった.注腸造影,大腸内視鏡検査では左横行結腸から下行結腸上部にかけ大小様々な粘膜下腫瘍様隆起を認めた.同部の生検で悪性リンパ腫を認めたため,化学療法後手術を施行した.病理学的検索では悪性リンパ腫diffuse,small cell type,免疫組織学的には腫瘍はT細胞由来であり極めて希な症例と考えられた.
  • 京兼 隆典, 佐藤 太一郎, 中江 良之, 土田 健史
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2709-2717
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性.下痢,味覚異常を訴えて来院.胃,十二指腸,大腸に赤色調のポリープを多数認めた.病理組織学的には腺管の嚢胞状拡張,間質浮腫を認めた.外胚葉所見は認められなかったが,Cronkhite-Canada症候群の早期の状態と考え,絶食,副腎皮質ステロイド投与を施行し,経過は良好であった.しかし,2年3カ月後に大腸癌が発見された.本症候群における早期治療の重要性と,癌発生の母地となる可能性が示唆された.
  • 大川 清孝, 渡辺 憲治, 進藤 嘉一, 宋 健二, 岡 博子, 山田 英明, 針原 重義, 石黒 信吾, 北野 厚生, 小林 絢三
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2718-2722_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は47歳女性で貧血,下痢を主訴に入院した.十二指腸下行脚から水平脚にかけて著明なfoldの集中を伴う多発性潰瘍がみられ,狭窄は認めなかった.菌検査,生検により十二指腸病変を伴う結核症と診断した.本邦報告例よりみた十二指腸結核の特徴は著明な狭窄が70%にみられ,手術率は83%と高く,生検での診断率は35%と低かった.本症例は生検で診断し得,著明な狭窄を呈さず,内科的に治癒せしめた点で稀な症例であった.
  • 杉山 宏, 近藤 博人, 不破 義之, 瀬古 章, 天野 和雄, 多羅尾 信, 後藤 明彦
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2723-2728_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.腹部大動脈に人工血管移植術をうけた既往があり,下血を主訴に来院した.緊急内視鏡検査にて十二指腸水平部にびらん,浮腫を有する白濁した粘膜を認めた.腹部CT,大動脈造影では人工血管前壁に接して,止血術に用いたクリップを認め,内視鏡所見とも合わせ大動脈十二指腸瘻(ADF)と診断した.止血術に使用したクリップがはからずも病変部位のマーキングの役目をはたし,ADFの診断に有用であった.
  • 上條 寿一, 赤松 泰次, 酒井 宏, 中村 直, 松沢 賢治, 藤森 芳史, 長谷部 修, 鈴木 章彦, 清沢 研道, 古田 精市, 勝山 ...
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2731-2736_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ?症例は50歳女性.1日数回の下痢を主訴に来院.大腸内視鏡検査では,直腸からS状結腸に発赤帯が散在し,粘液の付着が見られたが,介在粘膜はほぼ正常であった.既知の炎症性腸疾患とは異なり,分類不能型大腸炎と診断した.保存的治療で軽快するも再燃を繰り返し,低蛋白血症が進行するため結腸切除術を施行した.病理組織検査では粘膜表層の著明な萎縮と炎症性細胞浸潤が認められた.しかし再度再発し,治療抵抗性であった.
  • 田中 彰人, 田中 哲夫, 西園 正敏, 坂田 純一郎, 大橋 剛, 原口 靖昭, 江藤 胤尚, 河野 義明, 崎浜 国治, 瀬戸口 敏明, ...
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2737-2743
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.集検で便潜血反応が陽性であったので,精査を行った.注腸および大腸内視鏡検査で下行結腸にくびれを有する楕円体状の腫瘍が存し,表面は小結節状の凹凸を呈し,発赤を伴っていた.鉗子操作では易出血性の腫瘍で,硬い印象を受けた.ポリペクトミーを試みたが切除できず,結腸部分切除を施行した.腫瘍は長径21mmで,割面は黄白色を呈し,筋層と連続した粘膜下腫瘍であった.病理組織学的に紡錘形細胞が束状に配列した腫瘍で,S-100蛋白,NSEが陽性であり,神経鞘腫と診断した.大腸に発生するものはまれとされるので若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 上垣 正彦, 中沢 郁生, 粂井 康孝, 林 憲雄
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2744-2749_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    近年,総胆管結石症に対する内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)が積極的に行われているが,傍乳頭憩室を伴う総胆管結石に対するEST施行例における長期経過(予後)に関する報告は少ない.今回われわれは傍乳頭憩室を伴う総胆管結石にESTを施行した例で,憩室の食物残渣により引き起こされたと思われるLemmel症候群の1例を経験した. 症例は81歳の女性.発熱・右季肋部痛・黄疸を主訴として来院.腹部超音波検査で総胆管の拡張所見をみる.十二指腸内視鏡検査で憩室の食物残渣が総胆管開口部をplug状に閉塞している所見を認める.内視鏡的に食物残渣を除去し,抗生物質を投与したところ自・他覚症状が著明に改善した.
  • 柏原 赳, 藤森 永二郎, 小谷 光, 長谷 尚子, 角辻 暁, 朝倉 剛, 大木 篤, 福田 煕, 川上 房男, 奥野 巍一, 辻 求
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2750-2754_1
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    44歳,男.C型慢性肝炎の精査のため腹腔鏡検査を施行し,慢性肝炎所見のほか,肝左葉に1~2mm大3個,および肝右葉に2mm大1個と5mm大1個の計5個の白色調結節を認めた.1~2mm大のは平坦で境界明瞭であり,5mm大のものは周囲に軽度隆起を伴い,平皿状を呈していたが,細血管増生や癌臍を思わす陥凹は見られなかった.狙撃生検の標本より胆管腺腫と診断した.小白色調病変の鑑別診断の一つに胆管腺腫を考える必要がある.
  • 大高 雅彦, 松田 至晃, 中村 喜行, 大和 理務, 武川 建二, 赤羽 賢浩, 藤野 雅之
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2757-2763
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.腹痛を主訴に入院.ERCPでは主乳頭からの造影で短小膵管を認め,分枝とともに不整に拡張していた.副乳頭からの造影では背側膵管はびまん性に軽度拡張していた.腹側膵炎を合併した膵管非癒合の所見であった.約10年前のERCPでは腹側膵管と背側膵管は細い分枝によって交通している膵管不完全癒合であった.ERCP上膵管非癒合を呈する症例の中には,元来膵管不完全癒合であった症例が含まれている可能性が考えられた.
  • 清水 泰博, 関 誠, 堀 雅晴, 山口 洋介, 太田 博俊, 西 満正, 村上 義史, 大橋 計彦, 柳澤 昭夫, 加藤 洋, 根本 達久
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2764-2771
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    54歳女性で腹部腫瘤を主訴に来院,膵島腫瘍と術前診断された症例を報告する.上部消化管透視で十二指腸下行部の狭窄,CT・USで膵頭部に径8cmの腫瘍を認めた.内視鏡で十二指腸下行部粘膜へ露出する腫瘍を生検し膵島腫瘍と診断,膵頭十二指腸切除を施行した.組織学的には非機能性悪性膵島細胞腫で,リンパ節転移は認めなかった.膵島腫瘍が十二指腸粘膜に露出することは極めて稀であり,十二指腸に浸潤した5報告例の検討も行なった.
  • 1993 年 35 巻 11 号 p. 2773-2784
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 35 巻 11 号 p. 2785-2796
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 35 巻 11 号 p. 2797-2808
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 35 巻 11 号 p. 2809-2824
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 35 巻 11 号 p. 2825-2845
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 藤田 力也, 平田 信人, 藤田 直孝, 小野 美貴子, 中島 正継, 池田 靖洋
    1993 年 35 巻 11 号 p. 2846-2848
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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