日本消化器内視鏡学会雑誌
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28 巻, 5 号
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  • 星原 芳雄, 木暮 喬, 福地 創太郎, 秋山 洋, 宮本 昭正
    1986 年 28 巻 5 号 p. 941-946_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道胃接合部付近の下部食道には炎症にて透見されない21例を除いて,884例すべてに縦走する棚状血管が透見された.5mm間隔にマークをつけた絹糸製メジャーにて内視鏡的に測定するとほぼ一定の長さを有し,90%が2から3cmの範囲に認められた.円筒状の食道と嚢状の胃の移行部にはX線学的にも内視鏡的にもHis角に相当する"くびれ"が認められるが,この"くびれ"は食道裂孔ヘルニアが存在しない場合には食道胃接合部に一致している.この"くびれ"とsquamo-columnar junction及び縦走血管との位置関係について内視鏡的に検討すると,縦走血管が爪くびれ"を越えて胃の円柱上皮下に認められる症例は1例も存在せず,食道胃接合部付近では縦走血管の透見は食道に固有の所見であることが示された.しかるに,検索した884例中21.4%の症例では"くびれ"より口側に胃から連続して円柱上皮が存在し,その円柱上皮下に縦走血管が透見された.縦走血管像は食道に固有の所見であるので,この円柱上皮は食道に存在することになり,Barrett上皮である.従って,縦走血管を指標にすることにより内視鏡的にBarrett上皮の存在を確実に診断することが出来る.
  • 野田 修造, 南 雄三, 西川 正博, 河田 純男, 三好 志雄, 今井 康陽, 斉藤 隆三, 田村 信司, 垂井 清一郎
    1986 年 28 巻 5 号 p. 947-954_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    未治療のWilson病の腹腔鏡下肝表面像を臨床像ならびに組織内可染銅と対比検討した.対象は,2組の兄弟例を含む9例(男性8,女性1).腹腔鏡下肝表面像を,凹凸変化ならびにその色調により,平滑型1例(帯黄赤褐色1),顆粒型2例(帯白赤褐色2),粗大平坦結節型3例(茶褐色2,暗紫青色1),粗大半球状結節型3例(茶褐色1,暗紫青色2)に分類した.結節化が進展するとともに,色調は茶褐色から暗紫青色へと移行した.Rhodanine染色による組織内可染銅沈着量を分布密度と顆粒の大きさよりscore表示すると,可染銅の増加は,肝表面の結節化,暗調化と相関した.Wilson病の進展に重要な位置を占める肝病変の評価には,腹腔鏡下肝表面像が有用な指標となることが示唆された.
  • ―とくに内視鏡的発赤像とその血管構築について―
    竹内 功
    1986 年 28 巻 5 号 p. 957-967
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    血管壁にALP活性がある事は従来より知られていたが,この特性を利用しALP染色性をさらにたかめることを目的として,固定時間,染色時間および観察方法について検討した.その結果粘膜内毛細血管網を明瞭に観察する事が出来た. 成績:毛細血管の異常は,出血,減少,短縮,増生,不規則の5所見に分類出来た.血管密度の上から前3者を低密度群,後2者を高密度群に大別した.内視鏡的発赤部位の毛細血管像では,低密度群は58.9%,高密度群は45.1%であった.密度の低い群における発赤の原因は,炎症細胞浸潤によるものであった.過形成性ポリープでは数個の胃腺とこれを取り巻く血管の増生が一つの単位を形成していた.腸上皮化生粘膜では血管の乏しい傾向にあった.
  • 田辺 誠, 長廻 紘, 飯田 龍一
    1986 年 28 巻 5 号 p. 969-975_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    びまん性全結腸型変化を呈した慢性期日本住血吸虫症(以下「日虫症」)2例をもとに,生検で大腸粘膜に住血吸虫卵(以下「虫卵」)が証明された日虫症10例(Table 1)について検討した.今回の検討で次のような結論が得られた.大腸病変は(1)びまん性型,(2)区域性型,(3)斑点状型,(4)混在型に分類された.びまん性型には,全大腸型,直腸―S状結腸型の2通りがあった.区域性型にはS状結腸型を経験した.斑点状型は直腸に,混在型は全大腸型にみられた.病変部の粘膜所見は各型共通しており内視鏡所見が重要である.その特徴は,粘膜面が萎縮性で平滑,不整形黄色斑,血管透見像の異常(粗造な血管透見像),血管拡張性赤色斑(vascularspider様)であった.X線所見は萎縮の強い病変部において,管腔の狭小化,Hanstra消失,鉛管状変化がみられた.辺縁は平滑でspiculationは無く緩解期の潰瘍性大腸炎に類似していた.全大腸型X線有所見例では盲腸及び下行結腸以下に変化が強く,横行結腸は相対的に変化が弱かった.
  • 羽鳥 知樹, 杉本 元信, 島田 長樹, 定本 貴明, 毛 克弘, 相川 勝則, 山室 渡, 伊東 高仁, 古河 一男, 水谷 正之, 古部 ...
    1986 年 28 巻 5 号 p. 976-982_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    遷延する黄疸,腹水,高度の血液凝固異常を呈した急性肝炎重症例5例に腹腔鏡検査を行い,局所性あるいはびまん性の種々の変化を観察した.局所的に瘢痕肝を呈した2例の予後は良好で,びまん性に壊死を呈した3例のうち2例はそれぞれ慢性肝炎,肝硬変に進展,残り1例は死の転帰をとった.急性肝炎重症例に対する腹腔鏡検査は,その予後を推定する上にも有用である.また,このような症例の肝生検はSampling errorを生じ易いため,直視下に行う必要がある.
  • 長廻 紘, 長谷川 かおり, 飯塚 文瑛, 屋代 庫人, 野口 友義
    1986 年 28 巻 5 号 p. 985-988
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    過去15年(1970~1984年)に消化器病センターにおけるコロノスコピー症例につき検討した.同期間における延べ検査数は9,820回で,患者数は6,077人であった.15年間で年間の検査数は約7倍になっている.疾患のうつり変わりについてみると, (1)UCは最も多い大腸炎であり,診断は頭初から容易なものであった.欧米との比較から急速に増加すると思われたが,さほどの増加はなく,せいぜい微増程度. (2)クローン病の増加は急激である. (3)近年増加の著しい大腸炎として虚血性大腸炎,抗生物質関連腸炎,アメーバ赤痢などがある. (4)腫瘍性疾患は良悪性とも年々着実に増加している.進行癌は数が少ない時も増えてからも潰瘍限局型が圧倒的に多いが腺腫では,へん平,平坦,creeping typeなど,数が少ないときにはみられなかった形態のものがみられ,varietyに富むことが判ってきた.
  • 蔡 承熹, 福富 久之, 川北 勲, 樫村 博正, 中原 朗, 大菅 俊明, 中村 恭一, 崎田 隆夫
    1986 年 28 巻 5 号 p. 989-995_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは大腸癌切除標本の螢光を検索中,偶然に癌とはことなる日本住血吸虫卵(日住虫卵)の特徴的な螢光を発見した.今回はこの症例を用いて,大腸における日住虫卵の診断に対する固有螢光観察の有用性を検討した.螢光検査に用いられた励起光は514.5nmのアルゴンレーザーであり,螢光分析器はPAR社製のOMA-2を用いた.肉眼螢光観察後,われわれが開発した螢光スペクトル分析用の石英ファイバーを用いて,密着法により,直径約2.5mmの範囲の大腸粘膜の螢光スペクトル分析を行った.結果:(1)大腸の日住虫卵に一致して,特徴的な橙赤色の螢光が認められた.この螢光観察法は日本住血吸虫症の診断に役立つものと考えられた.(2)この特徴的な螢光のスペクトルは612mmにあり,大腸癌の螢光とは異なっていた.(3)粘膜筋板または粘膜下層の日住虫卵の螢光がとらえられたことから,大腸のこれらの部位に存在する微小螢光物質を検出できる可能性が示唆された.
  • ―特に線状潰瘍形成に至る経過の内視鏡的観察について―
    小川 欽治, 直木 正雄, 雨森 正洋, 藤井 秀俊, 河辺 拓己, 安場 広高, 生田 篤也, 清水 一良, 前川 高天, 梶谷 幸夫, ...
    1986 年 28 巻 5 号 p. 996-1005
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    虚血性大腸炎の16例について臨床的検討を加えた.発病早期より内視鏡的に観察し得た6例については,その経過について特に検討した.症例は28~74歳平均54歳,男4例女12例で2例には経過中狭窄が認められた.突然の腹痛,下痢,下血はほぼ必発の症状であった.経過は速やかで,発病後第2週には大多数に症状,血液検査所見の改善,消失をみた.内視鏡による経過は以下の如くであった.即ち発病第1週前半の早期にその表面にびらん,潰瘍を伴った限局性粘膜隆起が,第1週後半には充血,浮腫,粘膜隆起は軽度となり,びらん,潰瘍は縦に融合して線状潰瘍形成過程が観察された.第2週には線状潰瘍及び潰瘍瘢痕が,第3週には潰瘍瘢痕のみが主にみられ,その経過は症状,検査所見と同様速やかであった.これら微細病変の描出,経過観察には注腸X線は無力であった.狭窄を形成する例は内視鏡的にも潰瘍面積が広く病変が高度で,全周性の潰瘍形成部位に一致して狭窄を呈していた.線状潰瘍は全例3条観察された.
  • 栄枝 弘司, 橘 真理, 井戸 英司, 中澤 慶彦, 岡崎 和一, 山本 泰朗, 山本 泰猛, 伊藤 憲一
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1006-1011_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    集団検診により発見され,摘出後の詳細なる組織学的検索により確診し得た胃の炎症性線維腫様ポリープ(Imflammatory fibroidpolyp:IFP)の2症例を報告する.症例は,45歳の女性と69歳の男性で,前者では内視鏡的に陰茎亀頭様の特異な形態像を認め,術前IFPと診断し得た.これら2症例では何れも血中IgE値が高値を示し,かつIgE型アニサキス抗体を検出し得,アニサキス感染の既往は確実と考えられた.また2症例の中,1例ではアニサキス1型を添加抗原とする白血球遊走阻止試験は陽性で,アニサキスI型抗原に対し細胞性免疫が成立していた.IFPでは,従来成因的に寄生虫の関与はないとされてきたが,アニサキスなどの寄生虫の感染が本症の病変成立に関与している可能性が示唆された.
  • 向井 秀一, 清田 啓介, 西村 和彦, 趙 栄済, 小林 正夫, 安田 健治朗, 吉田 俊一, 今岡 渉, 藤本 荘太郎, 中島 正継
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1012-1021
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Acanthosis nigricansは皮膚の乳頭状増殖,色素沈着および角化増生を特徴とする疾患であり,その悪性型では腹部臓器の悪性腫瘍,特に胃癌を合併することが多い.本症に食道粘膜病変を伴うことは極めて稀れであるが,著者らは,口唇,口腔粘膜から連続して咽頭および食道全長にび慢性乳頭状隆起性病変が観察され,全身の皮膚に典型的なacanthosis nigricansの所見を呈した胃癌の1例を経験した.症例は75歳男性で,胃噴門部にBorr.III型の進行癌を伴う悪性型acanthosis nigricansである.本例では食道全体にわたり大小ふぞろいの病変が多数散在していたが,食道生検組織所見では扁平上皮の乳頭状過形成であり,悪性,異型所見は認められなかった.
  • 大橋 信治, 山本 義樹, 浅井 俊夫, 岡村 正造
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1017-1023
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は41歳男性.主訴は顔面の浮腫性紅斑,嚥下困難,四肢近位筋力低下である.血液生化学検査にてCPK,GOT,LDH,aldo lase等の筋原性酵素の著明な上昇と,皮膚生検にて真皮に浮腫と小血管の拡張及びその周囲のリンパ球浸潤を認めた.以上より皮膚筋炎と診断された.なお,M蛋白,Bence-Tones蛋白は陰性で,骨髄穿刺や骨X線検査に異常無く,多発性骨髄腫の所見はみられなかった.上部消化管内視鏡検査を実施し,胃角部を中心に体中部から前庭部に及ぶ平皿潰瘍と,前庭部に数個のタコイボ糜爛様の病変を認め,胃悪性リンパ腫が疑われた.内視鏡検査実施3日後に,大量吐血したため緊急胃全摘出術が行われた.病理組織学的に体中部から前庭部まで浸潤する形質細胞腫と診断され,免疫学的検索の結果は,IgG,入型単クローン性免疫グロブリン産生性であった.術後,副腎皮質ホルモン,免疫抑制剤などにより皮膚筋炎は改善したが,呼吸器感染症を併発し,術後4カ月目に死亡した.なお,自験例は胃形質細胞腫に皮膚筋炎を合併した本邦第1例と思われる.
  • 中村 泰行, 古暮 恒夫, 吉田 新, 熊谷 玉於, 中村 正樹, 並木 真生
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1024-1028_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸球部に原発した早期癌症例を経験した. 症例は67歳男性.他院人間ドックで,十二指腸の異常を指摘され,精査のため入院となる.特に自覚症状はない. 低緊張性十二指腸造影で十二指腸球部に約2×3cmの隆起性病変を認め,内視鏡的にも同部に結節状・白色調の有茎性病変を認めた.同時に施行した生検では,Group IIIであったが,悪性病変を否定できず,診断確定のためスネアーによるBiopsyを施行した.病理診断ではpapillotubular adenocarcinomaと診断し,外科的処置を行った.最終的には深達度smの早期十二指腸球部癌であった. 十二指腸の早期癌は,乳頭部を除くと報告例は少なく,またその治療方針の決定にスネアーによるBiopsyが有用であったので報告した.
  • 田伏 洋治, 永井 祐吾, 江川 博, 小林 康人, 柏木 秀夫, 山上 裕機, 森 一成, 上畑 清文, 田伏 克惇, 青木 洋三, 勝見 ...
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1029-1035_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    十二指腸狭窄を合併した慢性アルコール性膵炎の1例を経験した.内視鏡所見は十二指腸粘膜にポリープ様変化が見られるnodular duodenitisの像を呈し,十二指腸の組織学的な検索から特異な内視鏡像と狭窄をきたすに至った原因を推察し得た. 症例は66歳の男性で慢性アルコール性膵炎,糖尿病で治療を受けていた.主訴は嘔吐で,初回胃X線検査では十二指腸球部から下行脚中部にかけて全周性の狭窄があり,内視鏡検査では同部にポリープ様の隆起が多発し,炎症性ポリープとも腫瘍性病変とも鑑別が困難であった.保存的治療7週後手術を施行した.切除した十二指腸壁の組織像は固有筋層の炎症性肥厚と粘膜の炎症性ポリープを示した.さらにこの十二指腸炎に大きく関与したと考えられる異常な走行をとる腺管が粘膜下層に存在し,その強い炎症が特徴的であった.
  • 今井 寛途, 真鍋 良二, 渋谷 誠一郎, 浜津 和雄, 重見 公平, 寺坂 隆, 小林 敏成
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1036-1041
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡検査で特殊な手技をほどこすことなく膵体部が直接観察された成人型無症候性輪状膵の1例を報告する.症例は50歳の肝硬変の女性でHBVの持続感染者である.CT検査で膵頭部と膵体部の腫大を認め,内視鏡的逆行性膵管造影法により湯村VI型の亜型を示す輪状膵を認めた.腹腔鏡検査では,結節肝を示す肝左葉と胃小彎の間に左葉下面を押し上げる淡黄色の隆起が小網を透して観察された.膵表面に類似する分葉構造がみられ,腫大した膵体部が前方へ突出していると考えられた.膵体部の前方への突出と腫大を伴う輪状膵の報告例は少なく,この変形のために通常の腹腔鏡検査で膵体部が観察された稀な症例である.
  • 杉山 恵一, 井本 正巳, 福田 吉秀, 小山 泰生
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1042-1045_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    興味ある腹腔鏡所見を呈したDubin-Johnson症候群(D-J症候群)の1例を報告する.症例は40歳男性で黄疸の精査のため入院となった.検査成績では,GPT:62IU/l,T.Bi1:1.7mg/dl,D.Bil:1.0mg/dl,γ-GTP:58IU/lと軽度の黄疸と肝機能障害を認めた.BSP試験では,45分停滞率は12.1%と上昇し,再上昇現象も認めたため,D-J症候群と診断した.腹腔鏡所見では,本症候群に特徴とされる黒色肝は認めず灰色調を呈していた.肝組織像,電顕像では肝細胞内顆粒の減少を認めた.本症候群に肝炎が合併すると,一時的に顆粒が消失あるいは減少し,肝表面の色調が減弱することが報告されている.この点から考えると今回われわれが報告した症例も,肝生検所見は明らかな肝炎の合併を示すものではないが,本症候群に何らかの肝障害が加わり肝細胞内の褐色顆粒が減少し黒色肝の色調が減弱したものと推察された.
  • 星加 和徳, 萱嶋 英三, 小塚 一史, 長崎 貞臣, 宮島 宣夫, 藤村 宜憲, 島居 忠良, 加納 俊彦, 内田 純一, 木原 彊
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1046-1052_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸海綿状血管腫の1例を経験した.症例は49歳男性で主訴は下血.小学生の頃より排便時に下血あり,貧血も指摘されていた.昭和56年に大量の下血があり当科入院し,手術をすすめるも退院し,経過観察されていた.その後,下血が増悪し,貧血も悪化したため昭和59年12月に再入院となった.入院時検査成績で高度の貧血と便潜血強陽性を認める.注腸検査で,直腸は全周性に狭窄しているが粘膜面は比較的平滑,浮腫状で,直腸周囲には石灰化陰影を認める.内視鏡検査では,肛門縁より20cmまでは黒褐色で狭窄を認め,30cmまでは発赤を認めた.血管造影にては,直腸・S状結腸部に造影剤の貯留を認め血管腫との診断にて手術された.摘出標本では,直腸・S状結腸の壁は肥厚しており,組織学的所見では,海綿状血管腫と診断された.なお,肝と膀胱に血管腫の合併を認めたが皮膚には血管腫を認めなかった.
  • 林 繁和, 礒田 憲夫, 中村 常哉
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1053-1059
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は66歳,男性,失神発作にて入院した.入院時眼瞼結膜は高度貧血を呈し,赤血球数220万,Hb4.3g/dl,便潜血反応強陽性を認めた.上部消化管内視鏡検査で胃体中部後壁に潰瘍を認めた.輸血にてHbは10.0g/dlまで改善したが,その後,8.8g/dlと貧血が進行し,胃内視鏡検査で胃体中部後壁の潰瘍は瘢痕化していたにもかかわらず,便潜血反応強陽性が続くため大腸内視鏡検査を行った.脾彎曲部,肝彎曲部,上行結腸及び盲腸に怒張した血管の集簇を伴う粘膜面のわずかに隆起する病変を認めた.多発性のAVMを疑い腹部血管撮影を実施した.上腸間膜動脈造影で回結腸動脈領域に6カ所,右結腸動脈領域に2カ所,下腸間膜動脈造影では中結腸動脈,左結腸動脈領域に各1カ所濃染像及び栄養血管の拡張を認めAVMと診断した.AVMは本邦では極めて少ないとされてきたが,最近報告例は増加し自験例を含めた42例の文献的考察を加え報告した.
  • 今村 哲理, 別役 孝, 井林 淳
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1060-1069
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    du Boulay(1983年)はSolitary ulcer of the rectumとRectal mucosal prolapseとの比較から,Solitary ulcer of the rectumもmucosal prolapseによって,惹起されることを強調し,"Mucosal prolapse syndrome"という統一概念・名称を提唱している. 本症候群はしばしば多発潰瘍の型を呈したり,非潰瘍型(隆起型・発赤斑の型など)を呈したりし,診断医・病理医に誤って理解されている面がある.本症候群は一般に若青年者に多く,難治性で慢性に経過し,時に癌と誤られ過大な手術が行われる可能性もある.臨床像と特徴的な病理組織像を把握し,本症候群のスペクトルを認識し,早期に診断することが大切である. 著者らも数年間診断に苦慮した2例を経験した.症例1は8歳,女子.主訴は粘血便で,直腸内視鏡検査で下部直腸に不規則なpolypoid病変がみられ白苔を伴っていた.経肛門的外科切除が行われた.その後2回の再発がみられそれぞれ経肛門的切除が行われた.症例2は11歳,男子.主訴は鮮血便で,直腸内視鏡検査で下部直腸に半球状隆起の集簇と発赤斑を認めた.経肛門的外科切除が行われ,これまでのところ再発はみられていない. 両症例共病理組織学的にMucosal prolapsesyndromeに一致するものと考えられ,臨床経過・病理組織像を中心に報告した.
  • 安武 隆二郎, 藤田 潔, 苅田 幹夫, 大谷 達夫, 有馬 功三良, 宮原 妙子, 河野 裕, 川嶋 正男, 内田 善仁, 針間 喬, 岡 ...
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1070-1074_1
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは,Welch Allyn社製の大腸Video Endoscopeを27症例に対して用い,その有要性及び問題点について検討を行った. この内視鏡は,従来のfiberscopeのoptic-fiberbundleを取り去り,そのかわりにscope先端にC.C.D.tipを操着したもので,鮮明画像を得ることができた.また動的記録が可能で,大腸全体を記録することも可能であるという点でも優れた機器であると考えた.挿入性に関しても高い挿入率が得られ良好であった.しかし,まだ使いにくい点も多く,操作性,写真撮影の煩雑さ,画像のfreeze時の視野情報の問題など,多くの改良の余地があると考えた.総合的に判断すると,高い将来性を秘めた画期的な機器であると考える.
  • 島田 宜浩
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1075-1076
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 竹本 忠良
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1077-1079
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 島田 宜浩
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1080-1097
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Not only laboratory data and blind biopsy of the liver but Peritoneoscopic examination is necessary for understanding the pathological conditions during clinical course of chronic hepatitis more accurately and in details. This is because peritoneoscopic examination has already been evaluated to be indispensable for morphological and patho-physiological diagnoses of liver diseases, especially chronic hepatitis, although some kinds of invasion such as pain for about one hour at peritoneoscopy really exist. Present conditions of peritoneoscopic examination in clinical practice, mainly in diagnosis of chronic liver diseases, are presented in this paper.
  • 小松 寛治
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1098-1100
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    The aim of emergency laparoscopy lie in the prompt and adequate identification of pathologic conditions of abdominal cavity and determination of indication of surgical operation, and performance of laparoscopic treatment if possible. For the past 17 years 4, 40C patients have undergone laparoscopy, while 907 (20.6%) have undergone emergency laparoscopy. As to those undergoing emergency laparoscopy 65.8% suffered from inflammatory diseases, 8.9% perforative diseases 23.2% obstructive diseases and 1.9% hemorrhagic diseases. Out of 140 cases of acute pancreatitis 7.1% underwent emergency operation, 15.7% laparoscopic drainage, 77.1% conservative treatment, and 92.8% recovered without emergency operation. The mortality rate was 2.1%. Out of 137 cases of acute peritonitis the operation rate was 61.3% and mortality rate was 1.4%, while 54.2% recovered without emergency operation. Out of 7 cases of mesenteric arterial occlusion the operation rate was 43.0% and mortality rate was also 43.0%. Out of 2 patients of mesenteric venous occlusion one died. Out of 56 cases of acute appendecitis the operation rate was 84%. Conclusion : Emergency laparoscopy is effective in prompt diagnosis and determination of indication of surgical operation in acute abdomen. Especially laparoscopic drainage in acute pancreatitis and laparoscopic treatment using electro knife in intestinal obstruction help patients to recover without surgical operation.
  • 福本 四郎
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1101-1103
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Recent improvement of image fiber bundle and development of endoscope of fine diameter made use of panendoscope popular in endoscopic examination of upper GI series. Panendoscopy underwent case number in our department was 3, 111; 88.4% in total examined 3, 520 cases in last 5 years (from June, 1980 to May, 1985). On the other hand, endoscopic examination in use of side-viewing scope was underwent in about 10% of cases, almost of whose diagnosis being early gastric cancer. This fact indicates significance of endoscopy in use of side-viewing scope in endoscopic diagnosis of early gastric cancer. Visual diagnosis is important in endoscopic examination in use of front-viewing scope and examiner must observe and take a picture in excellent visual field at an optimal distance. Diagnosis of fine change such as one of early gastric cancer or stage diagnosis of peptic ulcer may depend on diagnostic ability in endoscopy of examiners. Cases with discrepancy of visual diagnosis and photodiagnosis should be, therefore, carefully judged.
  • J. Edward Berk
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1104-1107
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
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  • W. S. Haubrich
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1108
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
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  • S. Z. Alvarez
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1109
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1110-1128
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1129-1154
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 5 号 p. 1155-1176
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/05/09
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