日本消化器内視鏡学会雑誌
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52 巻, 2 号
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総説
  • 大川 清孝, 上田 渉, 佐野 弘治, 青木 哲哉
    2010 年 52 巻 2 号 p. 221-230
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    慢性感染性腸炎の中で頻度が高く重要な腸結核,サイトメガロウイルス(CMV)腸炎,アメーバ性大腸炎について大腸内視鏡診断を中心にその病態,臨床像,確定診断などについて述べた.これらは臨床症状において特有のものはなく,内視鏡検査が診断の契機として非常に重要な役割を果たしている.内視鏡検査で疾患を疑い,それぞれに特有の検査を行い,確定診断に至ることが多い.腸結核の特徴的所見は回盲部を含む右側大腸における特有の変形や萎縮瘢痕帯および輪状潰瘍である.胸部の画像診断が診断の契機となることもある.CMV腸炎の発症はほとんどが免疫不全者であり,好発部位は特になく,多発する打ち抜き様潰瘍が特徴的所見であるが,種々の潰瘍形態をとり得る.アメーバ性大腸炎は盲腸と直腸に好発し,周囲に隆起あるいは発赤を伴う多発潰瘍が特徴的所見である.CMV腸炎とアメーバ性大腸炎は多彩な潰瘍が同時にみられることも多い.
原著
  • 荒川 廣志, 貝瀬 満, 田尻 久雄, 吉村 昇, 吉田 幸永, 石黒 晴哉, 荒井 良則, 米澤 仁, 炭山 和毅, 倉持 章, 斉藤 彰 ...
    2010 年 52 巻 2 号 p. 231-241
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    上部消化管内視鏡検査時のミダゾラムによる意識下鎮静法の有効性と安全性についてフルニトラゼパムを対照として比較検討した.対象はミダゾラム群40例とフルニトラゼパム群37例である.全例を5名の熟練した内視鏡医が施行し,1人のindependent observerが有効性の指標として鎮静効果,患者の苦痛,内視鏡検査の手技的難易度の3項目を,安全性の指標としてバイタルサイン,リカバリー時間の2項目を評価した.その結果,手技的難易度,バイタルサイン,リカバリー時間は両群間で同等であった.鎮静効果はミダゾラム群が有意に大きく,患者の苦痛はミダゾラム群が有意に小さかった.また,ミダゾラム群では強い健忘作用により半数以上の症例で検査中の記憶が完全消失していた.ミダゾラムはフルニトラゼパムと同等の安全性を有し,鎮静効果と患者の苦痛軽減においては,フルニトラゼパムよりも有効性が有意に高かった.
症例
注目の画像
手技の解説
  • 井上 和彦, 藤澤 智雄, 千貫 大介, 串山 義則
    2010 年 52 巻 2 号 p. 274-277
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    松江赤十字病院人間ドックにおける上部消化管内視鏡検査では通常径の経口内視鏡スコープを用い,原則鎮静剤は用いていない.内視鏡検査と胃レントゲン検査の選択については被験者の自由としているが,内視鏡検査受検率は90% と非常に高い.被験者に優しい健診内視鏡検査を行うためには良好な医師―被験者関係が必須であり,被験者にとっては内視鏡検査は日常的なものではないことを再認識する必要がある.検査の実際ではまず食道入口部の滑らかな通過に神経を集中すべきである.検査施行中の被験者に対して声をかけ続けることで安心感が生まれ,被験者を誉める「言葉の麻酔」も効果的と思われる.また,被験者の体に力が入っている時には検査医あるいはコメディカルが肩に手をおくなどの対応も効果的であろう.今後,経鼻内視鏡が普及し,また,鎮静剤を使用する施設も増えると予想されるが,被験者に対する基本姿勢は普遍的なものと思われる.
資料
  • 広岡 昌史, 木阪 吉保, 上原 貴秀, 石田 清隆, 熊木 天児, 渡部 祐司, 村上 英広, 阿部 雅則, 日浅 陽一, 松浦 文三, ...
    2010 年 52 巻 2 号 p. 278-285
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    目的:肝表面に存在する肝細胞癌(HCC)は,深部に比べ局所療法後の再発率が高い.さらに消化管や胆嚢に近接する場合,穿孔などの重篤な合併症の危険性がある.肝表面に存在するHCCの局所療法では重篤な合併症を避けるために人工腹水併用経皮的ラジオ波焼灼術(PRFA)や腹腔鏡下ラジオ波焼灼術を行う.本研究はこれらの2つの方法の有用性と安全性を評価することを目的とした.
    Methods:対象は74症例86結節(男性48例,女性26例.平均年齢68.5±8.0歳).人工腹水併用PRFAは37症例44結節,LRFAは37症例42結節に行った.
    Results:両群で背景因子に有意差は無かった.治療回数はLRFA(1.0±0.0)が有意にPRFAより少なかった(2.1±1.0,P<0.001).特に2cm以上の結節ではLRFAではすべての結節で治療が1回で完遂できたのに対しPRFAでは2.2±1.0回を要した.焼灼域は有意にLRFA施行結節が広かった.
    Conclusion:LRFAは特に2cm以上の肝表在結節で有効な治療である.
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