日本消化器内視鏡学会雑誌
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25 巻, 7 号
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  • 桑山 肇, 竹内 勝啓, 池田 裕子, 松田 昌和, 田代 義教, 富野 佳朗, 小橋 恵津, 五味 清英, 阿部 政直, 金田 春雄, 松 ...
    1983 年 25 巻 7 号 p. 995-1005
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     膵炎の非定型的合併症の1つである胸水貯留3例のERP所見について検討を行なった.1例は急性膵炎に伴なう胸水で,他の2例は慢性膵炎によるものであった.それらのERP所見は,急性膵炎例ではほぼ正常の膵管像を示し,慢性膵炎の1例では膵頭部に巨大なpseudocystを認めたが,内痩は証明し得なかった.残りの1例では,体部膵管のleakageが大動脈裂孔を介して縦隔洞へ達する膵胸腔痩を形成していた.膵性胸水は,膵の炎症に伴なって一過性反応性に出現するものと,膵の炎症とは直接関係なく慢性反復性に出現するものとがあり,通常前者は少量の胸水貯留で後者は大量の胸水貯留である.後者の慢性膵性胸水は,内痩形成による膵液そのものであり血中アミラーゼ上昇は胸水からの吸収を反映していることが示唆された.従って,慢性膵性胸水は血中アミラーゼ値と関係なく,出来る限り早期にERPを行なってそのdisruption部位を確認することが重要である.
  • 田尻 久雄, 吉森 正喜, 中村 耕三, 斉藤 大三, 土方 淳, 広橋 説雄
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1006-1012
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ヒトの小膵癌を膵管像から正しく診断するための手がかりを得る目的で,実験膵癌における膵管像の経時的変化について検討を行なった.雄性Syrian golden hamster 28匹に2,2′-ihydroxy-di-N-propylnitrosamine(DHPN)250mg/kg体重を週1回皮下注射し,8週~28週の間2週毎に屠殺解剖した.全例に膵管造影を施行し,それらの膵管像の経時的変化と組織所見を対比した.組織学的には16週目よりcarcinomainsituと鑑別困難な異型過形成をみとめ,24週以降にはすべてに膵癌の浸潤性増殖をみとめた.膵管造影上は,組織所見に一致した初期段階の微細な変化までとらえることが可能であった.すなわち,16週目には分枝のわずかな狭窄像をみとめ,20~22週では主膵管に狭窄~ 圧排像を,さらに24週以降は閉塞像をみとめた.ハムスター膵における初期の腫瘍性変化は主に主膵管レベルより分枝領域レベルが先行する可能性が大きいと考えられた.
  • 横山 靖, 大井田 正人, 真玉 寿美生, 西元 寺克礼, 岡部 治弥
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1013-1021_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     陥凹型早期胃癌(IIb型を含む79症例84病変)の通常観察下,色素撒布下および拡大観察下において得られた生検材料総計494個の生検陽性率について比較分析し,上記3検査法の生検陽性率からみた正診率およびその有用性について検討した.通常観察下平均生検陽性率は65.0%であった.癌生検部を発赤と槌色に分け,検討を行った結果では,槌色部の生検陽性率は71.3%で発赤部(59.1%)に比し有意に高かった(P<0.05).組織型では発赤部は高分化型癌,槌色部は低分化型癌がそれぞれ高率に認められた.色素撒布下平均生検陽性率は通常観察下に比して84.9%と高く,その差は有意であった(P<0.001).拡大観察下平均生検陽性率も81.3%と通常観察下に比して有意(P<0.01)に高かった.拡大観察下での無構造粘膜部の生検陽性率は95.5%と結節状粘膜部(76.8%)に比して高かった.しかし,不整さのない結節状粘膜に比し,不整結節状粘膜では82.2%とやや高くなる傾向にあった.肉眼型と生検陽性率の比較では,どの肉眼型においてでも,色素撒布下,拡大観察下の生検陽性率は,通常観察下生検陽性率に比して高い傾向にあった.平均生検採取個数は色素撒布下3.4個,拡大観察下2.8個であり,通常観察下4.2個に比し少なかったが,生検陽性率は高かった.以上の事より,色素撒布下,拡大観察下での生検正診率は通常観察下よりも優れており,拡大観察下では,無構造粘膜,不整結節状粘膜よりの生検により高い生検陽性率を得ることが判明した.
  • 奥田 順一, 井田 和徳, 川井 啓市
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1022-1025_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃粘膜腸上皮化生の内視鏡的診断法であるメチレンブルー(MB)染色法について,本法の診断精度をsensi.tivity,specificityの面から検討した.MBによる胃粘膜の染色像のうち,染色程度と拡大模様像をとりあげ,染色程度は通常内視鏡を用いて判定し,52例を対象として染色部と不染部から176個生検した.拡大模様像は15倍の拡大率をもつ内視鏡を用いて判定し,20例を対象として染色部と不染部から84個生検した.染色程度と拡大模様像の両者について生検組織片との対応をおこなった.その結果,染色程度を指標としたsensitivity,specificityは各々0.89,0.66の値を示し,拡大模様像を指標とすると,それぞれの値は0 .99,0.71と上昇した.即ちMB染色法下ではMB染色の有無を拡大模様像を指標として判定すれば,ほぼ100%の一致率で染色部腸上皮化生部,不染部―非腸上皮化生部といえる.
  • 黒坂 判造, 大原 毅, 安藤 崇
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1026-1030_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     従来の胃内視鏡診断における色調診断は,必ずしも精確な評価であったといい難い.その一因としてヒトの色覚の疲労即ち疲労という厄介な問題がある.ところが,最近のオプトエレクトロニクスの発展により,内視鏡診断の1つのよりどころである色調変化(色差)についても,光電色彩計を応用して客観的且精確に測定が可能となった. 今回はまず聴覚を通じての色差検出装置を試作したが,間断ないノイズによる術者の受ける生理的苦痛が大きく実用的でなかった. そこで胃ファイバースコープとカラーTVカメラとを連結させ,それによって得られたモニターCRT上の画像を自動解析する装置を試作した.即ちまずモニターCRT上の画像を中心で2等分し,左右の画像の間に一定以上の色差が存在する時に,モニターCRT画面上に警報が表示される装置である.現在基礎実験としての段階であるが,生体外ではその機能を充分に発揮し,微細な色差を検出することに成功したので今後改良を重ねて胃内視鏡診断にこの装置を補助診断装置として使用できるよう努力したい.
  • 河原 清博, 宮崎 誠司, 吉田 智治, 小田 正隆, 沖田 極, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1033-1042_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     発赤所見を有する高度食道食道静脈瘤症例30例に対して,のべ60回の内視鏡的栓塞療法を施行し,その治療成績と予後について検討した.本法施行後に発赤所見の消失したものを改善例とし,その他を不変例とした.30例中22例(73.3%)が改善例,8例(26.7%)が不変例であった.本法施行後6カ月以上の経過観察が可能だった症例は14例である.発赤所見の再発は最短7.5カ月で認められたが,21カ月後の現在,発赤所見の再発をみない症例も認められた.発赤所見消失期間の平均値は10.8カ月以上であった.本法実施後,半年に一度の内視鏡検査による経過観察を行い,発赤所見の再発があれば本法をくりかえすことにより,食道静脈瘤出血を予防することができると思われた.また,緊急出血例の止血に威力を発揮する,本法の無透視下の簡便法について紹介した.
  • 富士 匡, 天野 秀雄, 有山 重美, 相部 剛, 永富 裕二, 前谷 昇, 浅上 文雄, 衣川 皇博, 播磨 一雄, 竹本 忠良
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1043-1049
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     最近開発された非観血的胆道ドレナージ術として,内視鏡的逆行性胆道内痩術はわが国でも普及してきた.本法は,従来もっともすぐれたドレナージ術であるPTCDと比較しても,減黄効果がよく,安全性の高い生理的なドレナージ術として評価が上ってきている.本法は黄疸を呈する膵胆道癌のすべての症例に奏功するものではないが,新しい胆道ドレナージ術として,その適応を確立すべき時期に来ている. 教室では最近の1年間に経験した十二指腸乳頭部癌5症例全例に本法を施行したところ,全例に容易に内痩チューブの胆管内留置に成功した.このうち4例には術前の減黄術として,切除不能と判明した1例には永久的ドレナージ術として本法が有用であった. 内視鏡的胆道ドレナージ術はもっとも侵襲の少ないドレナージ術であり,膵,胆道系の腫瘍の中でも,とくに乳頭部癌例では,乳頭切開することなく,ERCPにひきつづき容易に行なえる手技であることから,firstcboiceの胆道ドレナージ法と評価できる.
  • ―胆道粘膜への影響―
    早川 直和, 二村 雄次, 神谷 順一, 長谷川 洋, 安井 健三, 宮田 完志, 豊田 澄男, 松本 隆利, 鈴木 雄彦, 弥政 洋太郎, ...
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1050-1056
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胆道内で胆道鏡直視下にレーザーを処置用具として用いるために,その使用方法,安全性について検討すべく実験を行った.レーザー発振装置はYag Medical100(Nd-YAGレーザー,ALM社製)を用いた. 人摘出胆嚢および雑種成犬胆嚢を用いて照射実験を行い次の知見を得た.I.YagMedical100はわれわれの考えたgas jet flow systemをはずして作動させる方法を用いれば胆道内で安全に使用出来る.II.胆嚢壁を粘膜面より照射した場合,粘膜面の変化はわずかでも粘膜下の変化は著明なことが多く注意を要する.III.ビラン,出血などの発赤部,墨汁で黒く着色した部への照射は変化が大きく早い.色調による差は臨床応用の際有力な手段となる.
  • 児玉 正, 福田 新一郎, 辻 賢二, 内藤 英二, 布施 好信, 依岡 省三, 加藤 隆弘, 瀧野 辰郎, 郡 大裕
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1057-1060_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     21カ月の経過で,非常な増大を示したポリープ状早期食道癌症例を経験したので報告する.今回,経過を示すとともに,内視鏡下ルゴール撒布法を用いて,浸潤範囲を明確にし得たので有用性についても報告した. 患者は55歳の女性で,嚥下困難を主訴として来院した.上部消化管X線検査にて,胸部中部食道にポリープ状陰影が存在し,食道内視鏡検査では薄い白苔を被った,凹凸不整のポリープ状隆起を認めた.生検は扁平上皮癌であった.食道癌根治手術を施行,組織学的には深達度sm,リンパ節転移は認めない早期食道癌であった.ところが,21カ月前に検査を施行されており,retrospectiveにみると,同部位に小さな隆起性病変が指摘できた.術後20カ月の現在も再発なく,経過観察中である.
  • 辻 賢二, 福田 新一郎, 布施 好信, 内藤 英二, 依岡 省三, 加藤 隆弘, 児玉 正, 瀧野 辰郎
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1061-1067
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は32歳の主婦で,心窩部痛および背部痛を訴えて来院した.胃X線検査にて胃前庭部胃角部寄りの前壁に境界鮮明な円形の腫瘤陰影を認めた.内視鏡検査では基部にくびれを有する粘膜下腫瘍様の隆起であったが,その頂部には冠状の灰黄色の小隆起を伴なっており,あたかも陰茎亀頭様のきわめて特異な形態を呈していた.小隆起からの生検により,肉芽組織との診断を得た.約1カ月後の切除胃の肉眼所見では腫瘤の形態は著明に変化し,内視鏡にて認められた小隆起は消失し,頂部には潰瘍形成が認められた.組織学的には腫瘤は線維芽細胞の増生が著明であり,びまん性の好酸球浸潤も認められ,好酸球性肉芽腫と診断した.このような特異な形態を呈した好酸球性肉芽腫はこれまで本邦においては5例の報告があり,術前診断に際しての有力な所見と考えられた.また短期間に著明な形態の変化をきたしたことについては胃粘膜被覆を欠き,胃内腔へ露出した腫瘤が壊死のため,一部脱落したためではないかと考えられる.好酸球性肉芽腫が短期間にこのような著明な変化をきたしたという報告は珍しく,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 小山 捷平, 察 承熹, 谷中 昭典, 高野 信孝, 東郷 順子, 中原 朗, 川北 勲, 柴田 裕身, 山形 麺, 武藤 弘, 福富 久之 ...
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1068-1073_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は76歳女性で嚥下困難を主訴として入院した.血液生化学には胃液の高酸分泌能以外異常を認めなかった.食道X線ならびに内視鏡検査にて上門歯列より32~35cm附近に発赤,びらん,出血を伴う浅い地図状潰瘍性病変が認められ裂口ヘルニアも共存していた.潰瘍病変附近の生検にて円柱上皮(columnar-1inedepithelium)が認められBarrett潰瘍と診断された.さらに食道内圧測定ならびに食道内pH24時間連続測定検査により高酸胃液の易逆流性が存在することが判明した.この事はBarrett上皮の成因,ならびに潰瘍発生の成因に強く関係することが示唆された.このBarrett潰瘍に対しCimetidineの投与を行い約2週間と比較的短期間に効果を示した一例を報告した.
  • 中田 秀則, 中谷 敏英, 土井 芳夫, 西岡 新吾, 矢高 勲
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1074-1078_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     悪性黒色腫の胃転移を臨床的に診断し,その転移巣の穿孔によって死亡した1剖検例を経験したので報告する.患者は70歳男性,昭和54年12月左第1趾の悪性黒色腫と診断された.56年12月7日再発により当院皮膚科に入院,胃X線上異常所見あり,57年1月27日当内科に入院した.両鼠径部,左下肢皮膚に黒色小結節散在.貧血,肝腫大あり,胃X線,内視鏡では,胃体中部後壁に隆起性病変あり中央に潰瘍を認め潰瘍底は黒灰色を呈する.bridging-foldを伴い粘膜下腫瘍の像を呈し,生検により悪性黒色腫の胃転移と診断された.消化管穿孔のため3月5日死亡.剖検では胃に径2cm大の腫瘍部の穿孔を認め,組織学的には粘膜下層を中心に腫瘍細胞の増殖がみられた.胃転移は単発で他の消化管に転移は認められなかった.悪性黒色腫の胃転移は剖検では比較的多いとされるが,生前にその特有像に拘わらず診断される機会は少なく,その穿孔例の報告は稀である.
  • 堤 幹宏, 金山 隆一, 根井 仁一, 時国 信弘, 佐藤 博之, 安原 稔, 木村 透, 高田 昭, 松能 久雄
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1079-1083_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は16歳の女性で,右季肋部痛を主訴に受診した.上部消化管造影では,十二指腸球後部より上行部まで辺縁は不整で一部に小棘状突出像がみられ,粘膜ひだの巾は8mmと肥厚し,その粘膜ひだに結節状の隆起が多数認められ,同時に膵管が乳頭部よりbariumで造影された.内視鏡検査では,十二指腸内腔にはやや退色した大小不同の小隆起が多数認められ,肥厚した十二指腸ひだの上にまでその変化がおよんでいた.しかし,その生検組織像は,間質の軽い炎症細胞の浸潤をみるのみであった.本症例は,1歳時より気管支炎,肺炎をくり返しており,胸部X線像で全肺野に小斑状,粒状影が認められ,発汗試験においてNa,Clが高値を示し,口唇の小唾液腺生検組織で,腺腔の拡張と粘液の停滞を認めたことよりcysticfibrosisと診断した.cysticfibrosisは,本邦ではきわめてまれな疾患であり,そのほとんどがmeconiumileusのため乳児期に死亡しており,長期生存例の報告はないが,本症例は十二指腸粘膜に特異な変化を示したcysticfibrosisの長期生存例である.
  • 稲垣 豊, 木谷 恒, 北野 均, 米島 学, 登谷 大修, 小林 健一, 服部 信, 澤武 紀雄
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1084-1088_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     通常の膵管造影では主膵管の変化に乏しいにもかかわらず,内視鏡的純膵液採取による細胞診が陽性であった膵癌を報告した.症例は70歳の男性で,心窩部痛と体重減少を主訴に来院した.腹部超音波検査及び腹部CTスキャンにて膵周囲と肝内の占居性病変を認めたため,逆行性膵管造影を施行したところ,主膵管にはわずかな狭細化像を認めるのみであった.内視鏡下の純膵液採取による細胞診にて,腺癌に由来する悪性細胞と判定された.なお血清・尿アミラーゼ値,及び純膵液の分析からみた膵外分泌能は正常で,食後尿中アミラーゼ排泄量のみが陽性であった.界面活性剤を用いた膵実質造影では,いわゆる膵野欠損型の膵管像を呈した.一般に細胞診の陽性率がきわめて低く,膵管造影による診断も難しいとされる膵野型膵癌においても,積極的に純膵液細胞診を試みることの重要性がうかがわれた.
  • 今野 保敏, 樋渡 信夫, 小林 和人, 大槻 昌夫, 鈴木 勃志, 迫 研一, 菅原 啓, 石井 元康, 成井 貴, 江川 春延, 三浦 ...
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1091-1098_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は53歳の女性.昭和49年7月頃(45歳)から1日3~4行の下痢が出現し,昭和50年2月頃には血便も認めるようになり,3月当科に入院した.全大腸炎型,中等症の潰瘍性大腸炎と診断し,内科的治療により緩解が得られ外来で経過観察していたが,昭和52年10月頃から皮膚癌痒感が出現し,胆道系酵素の著しい上昇が認められたため,同年12月に再入院した.ERCPにて総胆管のびまん性狭窄を認め,開腹術の既往がなく,癌や結石を否定できたことから原発性硬化性胆管炎と診断した.その後は潰瘍性大腸炎は軽度の再燃を繰り返し,胆道系酵素の上昇が出没していた.昭和56年9月頃から右季肋部痛が出現し,化膿性胆嚢炎の診断で10月に3回目の入院をした.注腸レ線検査にて上行結腸中部に陰影欠損,全周性の狭窄を認め,生検で大腸癌と診断した.臨床経過,切除標本の病理組織学的検索により潰瘍性大腸炎を母地として発生した上行結腸癌と考えられた.
  • 金城 福則, 上江洲 正則, 嘉手納 啓三, 潮平 英敏, 真喜志 金造, 中富 昌夫, 小張 一峰, 川平 稔
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1101-1107_1
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らは,抗菌剤投与期間中に発症した偽膜性腸炎(PMC)の2例を経験した.症例1は,52歳の女性であり,悪性リンパ腫のVEMP療法と抗菌剤療法(CMZ,ABPC)中に,水様,粘血性下痢,裏急後重,肛門部痛が生じた.内視鏡検査では下部大腸に多彩な形の黄白色の小隆起がありPMCと診断した.抗菌剤の中止と輸液療法で治癒した.症例2は,59歳の男性であり,大動脈弁置換術後CET,CPZ,CTX等を投与して発熱,腹痛を伴う水様性下痢が生じた.内視鏡的には下部大腸が浮腫性で白色の隆起性病変も観察され,PMCと診断された.抗菌剤の中止,ステロイド注腸,VCM経口投与,輸液療法で治癒した.尚,2例とも生検組織に偽膜が証明され,症例2の糞便中にはC.difficileとそのtoxinの存在も証明された.PMCの診断と適切な治療のためには,早期の大腸内視鏡検査が必要とされた.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1108-1111
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1111-1115
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1115-1128
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1128-1134
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 7 号 p. 1135-1147
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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