日本消化器内視鏡学会雑誌
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53 巻, 12 号
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総説
  • 丹羽 寛文
    2011 年 53 巻 12 号 p. 3701-3735
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    消化器内視鏡は初期の内視鏡,硬性胃鏡,軟性胃鏡,胃カメラ,ファイバースコープ,電子スコープと発展してきた.近年はさらにカプセル内視鏡も登場してきた.この間の発展に特に重要なのは光源の開発であった.
    初期の内視鏡は1804年のBozziniのLichtleiterを嚆矢としてDésormeauxの内視鏡などが開発され硬性胃鏡には多種多様のものが試みられてきた.軟性胃鏡は多少の屈曲性があり,胃カメラ,ファイバースコープ,電子スコープになって自由に屈曲できるものとなって,現在ではその他の諸機能を含め電子スコープが主体となっている.この間の機器の開発,発展の経緯を詳述し,どの様な労苦が払われてきたか述べてみた.近年は電子スコープを使って,各種画像処理,紫外線,赤外線観察なども可能となり,さらにNBI,蛍光内視鏡なども実用化された.近年特殊光観察という用語が一人歩きしていたが,それに対する筆者らの見解を述べ,新たに内視鏡観察法の分類を提唱してみた.また今後将来に向けて考えられることを機器を中心に述べてみた.これら内視鏡の過去,現在,未来を受けて,諸外国特にアジア地区の諸国の日本に対する期待,その他日本に与えられた課題を考えてみたい.
  • 筒井 秀作, 中島 清一, 山田 拓哉, 竹原 徹郎
    2011 年 53 巻 12 号 p. 3736-3748
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    GISTの発生率は年間100万人あたり10~20人と推計され,胃に発生するGISTはその60-70% を占めるとされている.GISTは組織診断がつけば手術を選択し,組織診断がつかないものは画像上のサイズ,増大傾向,悪性所見を参考に治療方針を選択する.GISTに対する外科治療の原則は偽皮膜を傷つけることなく安全なマージンを保って臓器機能を温存した切除を行うこととされ,系統的リンパ節郭清は不要とされている.KIT陽性の進行・再発GISTはイマチニブによる治療を行う.イマチニブの病勢コントロール率は85%,無増悪生存期間は約2年,生存期間中央値は約4.6年である.イマチニブ耐性GISTの治療は,イマチニブを継続し耐性病変の切除,イマチニブの増量,スニチニブの投与のいずれかである.c-kitPDGFRA遺伝子に関する研究が進みイマチニブやスニチニブの効果予測や薬剤選択に対して変異遺伝子の検索が有用となっている.
原著
  • 竹之内 信, 大島 秀男
    2011 年 53 巻 12 号 p. 3749-3755
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    【目的】成分栄養剤(エレンタール®)の併用により大腸内視鏡検査前処置においてポリエチレングリコール(以下PEG)服用量を1Lに減量できるか検討する.
    【方法】検診にて便潜血陽性を指摘された421例を対象とし,検査食+PEG 2LのA群とエレンタール®+PEG 1LのB群に振り分け,腸管洗浄度(5段階評価)と前処置受容性を比較した.
    【結果】A群201例,B群220例でPEG服用量はそれぞれ2.00L,1.10Lであった.洗浄度は3.91,3.76とB群でわずかに劣っていたが(p=0.008),検査不能例はなく病変の検出率は同等であった.有害事象は23.1%,12.5% とB群で少なかった(p=0.045).
    【結論】検診目的の大腸内視鏡検査ではエレンタール®の併用により検査の質を低下させることなくPEGの服用量を減量できるだけでなく有害事象を減らすことができる可能性が示唆された.
  • 宮田 英樹, 岩尾 年康, 吉田 浩司, 牛尾 純, 佐藤 雅, 石野 淳, 長田 祐輝, 河瀬 智哉, 野村 佳克, 森本 聖子, 多田 ...
    2011 年 53 巻 12 号 p. 3756-3762
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎153例に対して施行された内視鏡的経乳頭胆嚢ドレナージ(endoscopic naso- gallbladder drainage;ENGBD)の有効性と問題点についてretrospectiveに検討した.施行理由は,抗凝固剤服用症例が53例(約34.6%)で主な理由であったが,次に無石胆嚢炎あるいは胆嚢癌合併を疑う症例35例(約22.9%)が多い理由であった.手技成功率は約87.6%,奏効率は約97.8% であった.症状改善までに要した期間も約3.2日間であった.偶発症は全体で11例(約7.2%)であり,胆嚢管穿孔を1例に経験した.また,胆嚢癌の術前発見を3例(約1.96%)指摘可能であり,二期的な追加手術を回避しえた.手技完遂までの時間も平均約25.1分であり,比較的短時間で完遂可能であった.さらなるデバイスの改善や技術の進歩が期待されるが,現時点でも有効な方法であると考えられた.
症例
経験
注目の画像
手技の解説
資料
  • 平井 郁仁, 松井 敏幸, 青柳 邦彦, 井上 詠, 日比 紀文, 押谷 伸英, 藤井 久男, 小林 清典, 鈴木 康夫, 田中 信治
    2011 年 53 巻 12 号 p. 3811-3819
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    【目的】Ulcerative colitis(UC)の病勢を評価する方法として,様々なClinical indices(CIs)およびEndoscopic indices(EIs)がある.しかしながら,Clinical trialで使用されるUCのCIやEndoscopic index(EI)は統一されておらず,いわゆるchampion indexも存在しない.そこで,われわれは,UCで用いられているCIやEIのいずれかを標準的なindexとして統一可能かを知る目的で検討した.
    【対象・方法】最初に,どのCIs,EIsがよく使われているかを知るため,最近報告された100編のUCに関するclinical trialsを取り上げ,使用頻度を検討した.その結果からいくつかの標準的なCIsとEIsを選択した.当科を含めた8つの施設のUC患者74症例について,治療前,治療2,4,8週後のCIsとEIsを算出した.そして,これらの経時的な推移と,各々のindexの相関を検討した.
    【成績】各CIおよびEIは,治療前と比較し,治療後に有意に下降し,治療効果の判定に有用であった.CIsとCIs,CIsとEIsは,いずれも正の相関を示した.
    【結論】今回の結果からは,いずれのCIおよびEIともUCの活動性評価に有用であった.CIやEIの統一は可能と判断されたが,どのCIやEIを選択するかは,今後のさらなる検証が必要である.
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