日本消化器内視鏡学会雑誌
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39 巻, 8 号
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  • 丹羽 寛文
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1345-1346
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 豊永 純
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1347-1357
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道・胃静脈瘤の治療における現状での各治療法とその位置づけについて述べた.内視鏡的治療は急性出血例では第一選択の治療法であることに異論はない.食道静脈瘤に対しては硬化療法,結紮術が確立されている.大きな孤立性胃静脈瘤に対しては特に組織接着剤注入法が有効であり,結紮術は留置スネアなど器具や手技の改良が行われている.また結紮術と硬化療法のcombination therapyでより安全でより効果的な手技が工夫されている.本邦の静脈瘤の治療目標は再発の少ない手技による完全消失である.余裕をもって治療出来る待期・予防例では血管造影手技を応用したangiographic sclerotherapyともいうべきバルーン下逆行性経静脈的塞栓術の導入により治療の選択肢が増えた.B-RTOは1回の治療で終了出来ることも大きな利点である.急性出血例にも応用可能であり治療終了例では再発,再出血はまずみられない特徴がある.一つの治療法に固執することなく,患者側の条件によってきめこまかに対応する事が可能になった.
  • 古川 敬一, 八尾 建史, 岩下 明徳, 松井 敏幸, 八尾 恒良
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1358-1369
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     陥凹型早期胃癌手術症例121例(分化型70例,未分化型51例)を対象とし,血管内皮細胞に選択性のあるモノクローナル抗体CD34を用いて免疫染色を行ない,コンピューターによる画像解析にて粘膜内血管密度の定量化を試みた.そして癌巣中の血管密度(C)と非癌粘膜の血管密度(N)の比を算出し,C/N ratioとして組織型別に比較し,さらに内視鏡的色調との関連性について検討した.分化型癌のC/N ratioは,未分化型癌に比べ有意に血管密度が密であった.濠た,内視鏡的色調別のC/N ratioは,発赤群,不変群,褪色群の各群間に有意差を認めた.すなわち,粘膜内の血管密度が内視鏡的色調に大きく関わっており,分化型癌は血管密度が密で発赤,未分化型癌は血管密度が疎で褪色を示すものが多かった.今回われわれが用いたコンピューター一画像解析による血管密度の定量化の方法は,癌巣部と非癌粘膜の血管密度を比較するうえで簡便かつ有用であった.
  • 岩本 芳枝, 長廻 紘, 鈴木 茂, 林 直
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1370-1375
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     手術適応のあるsm-massive癌を内視鏡的に診断することは重要である.そこで広基性腫瘍について内視鏡的深達度診断がどの程度可能か検討した.1988年から1993年にポリペクトミーおよび腸管切除した109病変を対象とし,深達度別に腫瘍のサイズ,内視鏡的所見(1)表面不整,(2)易出血性,(3)びらん,(4)発赤について比較した. 深達度の進行とともに表面不整,易出血性,びらんは増加した.表面不整においてはsm-massive癌88%,smscanty癌44%とsm-massive癌はsm-scanty癌に比し有意に増加を認めた. 表面不整を中心に易出血性,びらんの3所見を観察することでsm-massive癌とsm-scanty癌の鑑別が可能と思われる.
  • ―第3報(膵・膵周囲腫瘤性病変に対する新しい穿刺システムの有用性について)―
    寺本 佐世子, 山雄 健次, 中澤 三郎, 芳野 純治, 乾 和郎, 印牧 直人, 奥嶋 一武, 岩瀬 輝彦, 滝 徳人, 中村 雄太, 高 ...
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1376-1383
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     膵臓および膵周囲の腫瘤性病変の組織診断法は従来より体外式超音波ガイド下の生検が主体であったが,体外式超音波検査では描出の難しい膵頭部や膵尾部の病変では組織採取は困難であり,有効な採取法の確立が望まれている.超音波内視鏡ガイド下の穿刺吸引細胞診はこれらの弱点を補うべく開発された新しい組織診断法である.今回,同部位の腫瘤性病変44例(良性19例,悪性25例)を対象にその有用性を検討した.本検査法による検体採取率は86%であり,とくに悪性疾患では96%と良好な成績が得られた.また,良好な検体が得られた38例の悪性に対する正診率は87%と良好であり,成績の向上には新しく開発された穿刺システムの導入が大きく寄与した.本検査法は膵病変の良悪性の鑑別のみならず,悪性疾患のstagingや治療への応用も可能であり,今後ますます普及する検査法の一つとなり得ると考えられた.
  • 水町 宗治, 山崎 隆弘, 藪下 芳子, 山口 裕樹, 川野 博章, 花田 浩, 中村 弘毅, 多田 正弘, 沖田 極
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1384-1391
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的止血不能な出血性胃潰瘍の内視鏡的特徴を検討するため1990~1994の5年間に当施設にて内視鏡的止血術を行なった出血性胃潰瘍128症例について,潰瘍の部位(L因子),大きさ(S因子),深さ(D因子),露出血管の潰瘍底における位置(L/V因子)および突出度(P因子),活動性出血(A因子),年齢の7因子について内視鏡的止血不能との相関をSpearman法を用い検討した.止血法はエタノール局注法,高張ナトリウムピネフリン溶液局注法,クリッピング法の単独あるいは併用を行なった.止血不能例に対しては動脈塞栓術あるいは手術を行なった.永久止血114例(89.1%),再出血(内視鏡的止血可)5例(3.9%),内視鏡的止血不能9例(7.0%),うち手術6例(4.7%),動脈塞栓術3例(2.3%)であった.活動性出血(p=0.0006,r=0.29797),露出血管の突出度(p=0.0010,r=0.29602)が内視鏡的止血不能との相関を認め,これら2因子が内視鏡的止血不能と最も関連していた.
  • 斎藤 彰一, 冨松 久信, 浜本 順博, 池延 東男, 市川 平三郎, 池上 雅博
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1392-1397
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は40歳の男性,タール便を主訴に当院を受診した.上部消化管造影検査にて5大弯側に山田III型の隆起性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査では同部位に裾色調の境界明瞭な隆起性病変を認めた.生検組織診断では高分化型腺癌であった.大きさ10mmの粘膜内癌と診断し,内視鏡的に切除した.切除標本の病理組織学的検索では腺窩上皮にきわめて類似した高分化な腺窩上皮型癌で,粘液組織染色を行い,HID-AB (high iron diamine Alcian blue)染色陽性,Con A (Paradoxical Concanavarin A)染色陰性,GOS (Galactose oxidase-Schiff)染色陽性のため,腺窩上皮の形質を有する高分化型腺癌と診断した.胃底腺領域にみられる癌の大部分は未分化型癌で,分化型癌は少ないと報告されている.その臨床病理学的特徴につき自験例を含め,文献的考察を加えて報告する.
  • 瓜田 純久, 成木 行彦, 西野 執, 小山 博, 神田 映子, 近藤 栄作, 大塚 幸雄
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1398-1405
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は59歳女性.上腹部不快感を主訴に来院.内視鏡検査でO-1型の萎縮性胃炎であり,生検組織培養でHelicobacter pylori (Hp) 感染が確認された.症状が長期に及ぶため,除菌治療を行った.2カ月後に除菌が確認され,症状は消失したが,8ヵ月後に胸やけを訴えた.内視鏡検査では逆流性食道炎が確認され,プロトンポンプ阻害剤で治療した.Hp除菌後に逆流性食道炎を発症し,酸分泌抑制剤の投与が必要な症例を経験したので報告する.
  • 村上 匡人, 水上 祐治, 三宅 康之, 松浦 晃, 中村 早苗, 二宮 朋之, 松井 秀隆, 大塚 廣海, 今峰 聡, 久保 義一, 恩地 ...
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1406-1411
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は81歳女性.吐下血を主訴に来院.一般肝機能査に異常なく,脾腫大は認めなかった.内視鏡検査にて胃体部小彎にvascular ectasiaを,彎隆部には静脈瘤を認めた.腹部血管造影で腹腔動脈造影静脈相に脾腎短絡路を認め,左胃動脈造影ではvascular ectasiaと思われる部位に血管奇形を,また静脈相に噴門静脈叢及び左胃静脈を認めた.門脈圧亢進症を伴わず,脾腎短絡路を伴う限局性胃静脈瘤は稀であり,文献的考察を加え報告した.
  • 大山 高令, 桜井 幸弘, 岡田 守弘, 山村 冬彦, 山口 康晴, 寺田 光宏, 瀬在 秀一, 伊藤 慎芳, 神坂 和明, 安部 孝, 池 ...
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1412-1418
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)腸炎を疑わせる臨床像に遭遇する機会が増えている.一方で,本症の炎症の主座が小腸とされていることから大腸内視鏡で病像を確認しえた報告はあまりされていない.今回われわれはMRSA腸炎の臨床経過中大腸内視鏡にて病像が確認された3症例を経験し内視鏡的検討を行った.これら3例はいずれも発熱と下痢,血便を認め,便培養,大腸内視鏡検査時の培養でMRSAのみが検出され,大腸内視鏡検査にて所見が認められた.3例いずれも病変部位は右半結腸に存在し,小腸を主座とするMRSA腸炎との関連性が推測された.内視鏡所見では,浅い潰瘍から深い潰瘍まで様々で,粘膜面での発赤膿苔を伴い,粘膜面に発赤・びらん,psudopolyposisの形成を認めたりと多様性を示していた.病理組織的には炎症所見のみで特異的な所見はなかった.以上よりMRSA腸炎が疑われる場合は右半結腸の観察が必要であると思われた.
  • 大湾 朝尚, 野崎 良一, 武地 幹夫, 高木 幸一, 高野 正博, 金城 福則, 斎藤 厚
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1419-1424
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は48歳,男性.大腸ポリープと大腸炎の精査を目的に来院した.注腸透視,大腸内視鏡検査で直腸上部から回腸末端部にかけて連続する,静脈瘤様病変を認めた.超音波内視鏡検査および内視鏡的カラードプラ超音波検査を施行し,静脈瘤と診断した.諸検査の結果,先天性の血管異常が成因と考えられた.広範な下部消化管静脈瘤は稀であり,しかも本症例は内視鏡的カラードプラ超音波検査により診断した第1例目の報告と思われる.
  • 茂木 良弘, 倉 敏郎, 瀧本 理修, 村松 博士, 藤原 斉, 新津 洋司郎
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1425-1429
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     特に重篤な基礎疾患なく非ステロイド系消炎鎮痛(NSAID)坐薬が原因と考えられた急性出血性直腸潰瘍の1例を経験した.症例は82歳男性.脳梗塞後遺症,老人性痴呆で入院中に下肢疼痛のためジクロフェナク坐薬25mg/日を連日使用したところ,約1カ月後に吐血と下血が出現.内視鏡検査にて胃角小彎に出血性胃潰瘍および肛門輪より5cmの直腸前壁に露出血管を認めた.NSAID坐薬中止後保存的治療により直腸潰瘍病変は治癒した.急性出血性直腸潰瘍の発症要因の一つとしてNSAID坐薬の関与を重要視すべきと考えられた.
  • 竹内 真実子, 市川 正章, 加納 潤一, 高原 理, 石原 明良, 谷川 誠, 小島 伸哉, 豊嶋 明子, 横井 俊平
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1430-1434
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は68歳男性.全身倦怠感,黄疸を主訴に受診.内視鏡的逆行1生胆管膵管造影(ERCP)にて,総胆管にやや辺縁不整な狭窄を認め,胆管癌を疑い手術となった.切除標本では狭窄部の総胆管に25×8mmの粘膜下腫瘤を認め,組織診断は胆管神経腫であった.本邦において胆道系に発症した神経腫は自験例を含め44例報告があるが,腹部手術の既往がなく,胆石も認めなかった症例は自験例のみであり,まれな症例であると考えられた.
  • 佐藤 浩明, 伊藤 昌幸, 天田 康, 村田 和恵, 渡辺 茂, 迎 愼二, 山崎 繁, 庄司 功, 大山 誠也, 塩谷 敏夫, 小原 勝敏 ...
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1435-1439
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は71歳の女性.1996年2月当院糖尿病科に入院した.同科で施行した腹部エコー及びCT上総胆管の拡張が認められた.腹部MRIにて総胆管末端部に10mm大のT1で低信号,T2で中間信号の腫瘤が認められた.ERCでは同部に約10mm大の陰影欠損像が認められ,EUSでは径10mm大のiso-low echoicな乳頭状の腫瘤が認められた.乳頭形成術にて腫瘍を摘出し,総胆管リンパ管腫の診断であった.
  • 青木 哲哉, 大川 清孝, 佐野 弘治, 大庭 宏子, 森吉 靖子, 木岡 清英, 根引 浩子, 宋 健二, 岡 博子, 山田 英明, 針原 ...
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1440-1445
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は66歳,男性で繰り返す下血を主訴に某院に緊急入院した.入院時Hb2.59/dl,Ht 8.1%と著明な貧血を認めた.精査するも出血源は同定できず,下血が持続するため,当科紹介入院となった.dynamic CT,カラードプラー超音波検査にて膵頭部の動静脈奇形を疑い,腹部血管造影にて確認された.全身状態が良好でないため,保存治療を続行した.下血の消失を認めたため一旦退院とした.画像的には出血部位は総胆管付近を疑うが,はっきりした出血源は確認できなかった.
  • 村上 匡人, 水上 祐治, 矢野 春海, 西野 圭一郎, 中村 早苗, 二宮 朋之, 松井 秀隆, 今峰 聡, 大塚 廣海, 恩地 森一
    1997 年 39 巻 8 号 p. 1446-1453
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     アルゴンプラズマ凝固(Argon Plasma Coagulation;以下APC)はアルゴンガスを媒体として高周波による凝固を行うもので,組織に接することなく目的とする部位の組織凝固が可能である.このAPC法は内視鏡に使用可能なプローブの開発に伴って内視鏡治療の分野に導入された.熱凝固による組織学的な影響は表層のみであり,表層凝固完了後に故意に高周波による放電を加え,表面を炭化させた場合でも凝固は粘膜下層にとどまった.臨床応用を9例に試みたが,悪性腫瘍からの出血2例を含む消化管出血5例の緊急止血ではいずれも完全止血を得た.粘膜切除後の追加治療2例や手術不能の悪性腫瘍に対しても凝固治療を行ったが,腫瘍の残存や再増殖を認めなかった.新しい試みとして食道静脈瘤硬化療法後の地固め療法にも応用した.治療による重篤な副作用もなく,非接触凝固のため一度に広い範囲を治療することが可能であり有用性が高いと思われた.
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