日本消化器内視鏡学会雑誌
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37 巻, 2 号
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  • 岩井 淳浩
    1995 年 37 巻 2 号 p. 255-269
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     デキストラン硫酸ナトリウム(以下DSS)には肥満細胞の脱顆粒をきたす作用があり,潰瘍性大腸炎急性増悪モデルとしてDSS大腸炎大腸炎ラットを作成し,肥満細胞動態を検討し以下の結果を得た. 1.DSS大量短期投与にてCTMC(connective tissue mast cell)の減少を認め,少量長期投与にてCTMCの増加を認めた.これは継続的なDSSによる刺激によって肥満細胞の再生・増殖が亢進した結果と考えられた. 2.DSS大腸炎においてヒスタミンは,炎症抑制的に作用している可能性が示唆された. 3.DSS大腸炎の成因の一つとして肥満細胞脱顆粒が関与し,ヒスタミン以外の肥満細胞由来のメディエーターが炎症を拡大させて行くものと考えられた. 4.以上のことは,即時型アレルギーが関与する(肥満細胞脱顆粒の関与する)といわれる潰瘍性大腸炎の急性増悪期において,脱顆粒抑制剤が有効である可能性を示唆するものと考えられた.
  • 松崎 浩司, 貴島 佳世, 米谷 隆, 山田 秀一, 武藤 ます江, 松崎 一江, 伊原 文恵, 成木 行彦, 大塚 幸雄
    1995 年 37 巻 2 号 p. 270-278
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ウイルス性慢性肝疾患において,肝表面像の進展に伴い肝表面動脈枝および門脈枝がどの程度出現し,供給路にあたる肝動脈および門脈の血行動態がどの様に変化しているか検討した.対象は,ウイルス性慢性肝疾患33例と対照群14例の計47例.肝表面像は,島田分類の100番台に分類した.肝表面像の進展に伴い肝表面動脈枝の出現程度は増加した.血管造影検査,カラードプラ法および固有肝動脈よりICGを注入した検討では,肝表面像の進展に伴い肝動脈の血流速度および流量の増加と肝内のA-Vfistulaeの増加が示唆された.肝表面門脈枝は,400番台まで増加したが500番台で400台に比してやや低下していた.門脈形態変化では,肝外門脈本幹と肝内門脈右前枝の断面積および流量の比は,400番台までは保たれていたが,500番台では低下を示した.肝表面の動脈枝および門脈枝の出現は,供給路である肝動脈および門脈の血流量を反映している可能性が示唆された.
  • 松本 裕子, 松本 正廣, 鈴木 文孝, 早田 謙一, 北原 大文, 小林 良正, 次木 稔, 河崎 恒久, 中尾 國明, 岩田 滉一郎, ...
    1995 年 37 巻 2 号 p. 279-283_1
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道静脈瘤破綻を未然に防ぐためには出血の予知を的確に行うことが重要である.われわれは静脈瘤破綻をきたした症例のうち,出血前1年間の静脈瘤の変化が経時的に観察できた30例について検討を行なった.まずRed color signの増強は静脈瘤出血と密接な関係を示した.次に静脈瘤が短期間に悪化する症例では,静脈瘤はF2やF3の様に丸みを帯びず,むしろF1様で静脈瘤の頂点が鋭角に食道内腔に向かって突出する"峰型の静脈瘤"とでも言うべき形態を呈した.Varicealographyでは一本のF1様に見えた"峰型の静脈瘤"が,実際は細い静脈の束からなることが判明した."峰型の静脈瘤"が出現した場合には,急激に悪化し出血の危険性の高い静脈瘤として早急な対処が必要と思われる.
  • 政氏 伸夫, 斎藤 雅雄, 鈴木 岳, 大泉 弘子, 直原 徹, 比嘉 敏夫, 笠井 正晴, 三代川 斉之, 田中 淳司, 浅香 正博
    1995 年 37 巻 2 号 p. 284-291
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は74歳男性.平成4年12月11日腹満にて前医受診.平成5年1月8日当科紹介.内視鏡下に噴門直下小弯側前壁にBorrmann I型病変を認めた.2月18日胃全摘術施行.病理では多核異型巨細胞の増殖を認め胃巨細胞癌と診断,免疫組織染色でkeratin,EMA陽性より上皮由来が示唆された.術後順調に経過し4月22日退院したが,8月17日全身倦怠を訴え入院.9月6日再発のため死亡した.胃原発の巨細胞癌は,本邦で本症例を含めてわずかに4例が報告されているのみである.
  • 比佐 純孝, 安島 裕之, 菅野 則夫, 長瀬 紀子, 相墨 仁, 菅野 仁, 柳沼 康之, 藤井 功衛
    1995 年 37 巻 2 号 p. 292-301
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃転移を来たした肺癌の3例を報告した.肺癌の組織型は3例とも扁平上皮癌であり,胃転移巣の肉眼型は粘膜下腫瘍類似,あるいは山田II~III型のpolypoid lesionを呈していた.1例では粘膜下腫瘍類似病変から,山田III型のpolypoid lesionへの移行を内視鏡的に観察し得た.胃転移発見後の生存日数は73~160日で,いずれも予後不良であった.消化器症状のない肺癌患者に対しても,積極的にGIFを施行することにより,今後胃転移の報告例が増加するものと思われる.
  • 佐々木 都, 米島 学, 酒井 明人, 中本 安成, 飯田 茂穂, 橋爪 泰夫, 河合 博志
    1995 年 37 巻 2 号 p. 302-307_1
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は78歳,男性.主訴は血便.内視鏡検査にてS状結腸に径1cm程度の表面平滑,弾性軟の半球状隆起を多数認め,腹部単純X線で葡萄の房状ガス像,注腸検査で腸管壁内ガス像を認めたことより,腸管嚢胞様気腫と診断.超音波内視鏡で気腫が粘膜下層に局在している事を確認した.経過観察中に症状は消失.内視鏡検査で,腸管壁内気腫は頂点に出血を伴って平坦化し,腹部単純X線上,葡萄の房状のガス像は消失した.以上の所見から粘膜下気腫が隆起の頂上から自然破裂し,軽快したと考察した.
  • 水上 裕輔, 長谷部 千登美, 鳥本 悦宏, 結城 正光, 奥山 修兒, 横田 欽一, 幸田 弘信, 矢崎 康幸, 関谷 千尋, 加藤 一哉 ...
    1995 年 37 巻 2 号 p. 308-315
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は67歳,男性.C型慢性肝炎の治療目的で入院した際に,腹部エコー・CTにて肝左葉下面に径3cm大の球形の腫瘤像を認めた.腹腔鏡検査では,胃体中部小弯側に胃漿膜面から有茎性に発育した白色調で弾性硬の腫瘤が観察された.超音波内視鏡検査では固有筋層と連続する低エコー腫瘤として認められ,胃外型平滑筋腫瘍と診断し,腹腔鏡下に摘出術を施行した.本症例のように有茎性で比較的小さい胃外型腫瘍は,腹腔鏡下摘出術が有用な治療手段であると思われた.
  • 中村 真一, 光永 篤, 根本 行仁, 池田 郁雄, 村田 洋子, 長廻 紘, 鈴木 茂, 林 直諒
    1995 年 37 巻 2 号 p. 317-323
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は心血管系手術後の43歳,男性.下血を主訴に上部消化管内視鏡検査を施行し,十二指腸下行脚乳頭部直下からの動脈性出血を認めた.焼灼術,クリッピングでは止血困難であったため,Histoacrylを注入し止血し得た.十二指腸下行脚からの動脈1生出血はまれであり,止血困難例や緊急止血が要求される症例で,Histoacryl注入は安全で有用な方法であると考えられたので報告した.
  • 榎本 博幸, 佐々木 亮, 打越 康郎, 斉藤 良一, 渡部 重則, 清水 春夫, 綱島 勝正, 西倉 健, 朝倉 均, 味岡 洋一, 渡辺 ...
    1995 年 37 巻 2 号 p. 324-328_1
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は17歳性・平成5年6月上旬上気道炎に続く腹痛と嘔吐にて来院.上部消化管内視鏡検査にて,急性胃十二指腸粘膜病変を認めた.Schönlein-Henoch Purpuraを強く疑い,安静とプロトンポンプ・インヒビターを中心とする抗潰瘍療法にて轍し,退院.しかし,7月2日再び腹痛と嘔吐の出現に加え,下腿に紫斑を認めSchönlein-Henoch Purpuraの再燃と診断し再入院.上部靴管検査にて前回同様の所見を認め,副腎皮質ステロイド薬パルス療法にて軽快した.しかし,経過中に症状の再燃を認め,プレドニゾロンや第13因子製剤を併用し,以後,プレドニゾロン漸減後は特に再燃なく良好に経過した.
  • 三宅 一昌, 金沢 秀典, 山田 久木, 長田 祐二, 吉本 均, 中塚 雄久, 星長 春樹, 斉藤 整, 吉沢 雅史, 多田 教彦, 渡 ...
    1995 年 37 巻 2 号 p. 329-334_1
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は53歳男性.腹水貯留のため近医を受診.腹水は利尿剤により改善したが,高度の胃食道静脈瘤が認められたため治療目的にて当科を紹介され入院となる.食道静脈瘤および噴門部から穹窿部へ連続する胃静脈瘤の両者を有する肝硬変例に対し経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(Transjugular Intrahepatic Portosystemic Shunt,以下TIPSと略す)を施行した.直接門脈圧は術前520mm水柱から術直後400mm水柱,術2週後には380mm水柱へと低下した.術後2週目に行った内視鏡検査では,胃食道静脈瘤の改善を認めた.超音波内視鏡検査(Endoscopic Ultrasonography,以下EUSと略す)を同時期に行い,胃壁内外の静脈瘤,合流血管および胃粘膜下拡張血管の改善を確認した.高度の胃食道静脈瘤に対しTIPSが有効であることが示唆され,TIPSの効果判定にEUSが有用と思われた.
  • 村上 和成, 稲毛 強, 松永 研一, 藤岡 利生, 那須 勝, 森内 昭
    1995 年 37 巻 2 号 p. 337-340_1
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は38歳,女性.突然の大量下血を主訴に入院した.下部消化管の緊急内視鏡検査により,回腸末端部の多発性潰瘍,びらんを認め,生検にて乾酪壊死,ラングハンス型巨細胞をまじえた類上皮細胞を伴う肉芽腫を認めた.肺野に浸潤影があり,喀痰検査にてガフキー5号を認め,肺結核に続発した腸結核と診断した.大量下血での発症は小腸結核では稀であり,また,緊急内視鏡検査においても全大腸内視鏡検査が重要であると思われた.
  • 宮本 真樹, 舛田 一成, 中島 浩一郎, 堂上 慎也, 河本 邦彦, 濱田 雅典, 鎌田 智有, 服部 宜裕, 山下 直人, 高橋 祥一, ...
    1995 年 37 巻 2 号 p. 341-346_1
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     67歳,女性.吐血を主訴に来院し,上部消化管内視鏡検査で多発性胃潰瘍からの出血と判明した.また,血液検査にてHCV抗体陽性肝硬変と診断し,腹部超音波検査で肝左葉に数珠状の脈管を認めた.ドプラー超音波検査および血管造影で門脈瘤と診断し,腹腔鏡検査では肝内門脈瘤を直接観察できた.本症例は,肝硬変と脾動脈瘤を合併しており門脈圧亢進症の関与が考えられた.
  • 松本 昭範, 大平 基之, 大平 賀子, 小路 悦郎, 田中 俊英, 村住 ゆかり, 鳥本 悦宏, 村住 和彦, 大田 人可, 関谷 千尋, ...
    1995 年 37 巻 2 号 p. 349-354_1
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡検査でB型慢性肝炎類似のperiportal typeの赤色紋理を認めた若年者非B非C型慢性肝炎の1例を報告する.患者は初診時13歳の女性で,1990年1月感冒様症状で近医を受診し,高度の肝機能異常があるといわれ,当科に紹介され入院した.1回目の腹腔鏡検査で肝表面全体に広がるperiportal typeの赤色紋理を認め,組織学的にもpiecemeal necrosisがあり,慢性肝炎と診断した.1992年5月に肝機能の悪化をみたため当科へ2回目の入院をした.2回目の腹腔鏡検査でも1回目とほぼ同様の所見を呈したが,赤色紋理はより明瞭となり組織学的にも門脈域の線維化および炎症性細胞浸潤が目立った.経過中B型,PCR法によるHCV-RNAを含めたC型肝炎ウイルスマーカーは陰性で,自己抗体も陰性であり非B非C型慢性活動性肝炎と診断した.非B非C型慢性肝炎の腹腔鏡所見については今日なお十分検討されておらず,また若年者の慢性肝炎例でもあり,貴重な症例と考え報告した.
  • 吉村 龍司, 青柳 邦彦, 末兼 浩史, 檜沢 一興, 興梠 憲男, 川久保 啓司, 松井 敏幸, 飯田 三雄, 橋爪 誠, 藤島 正敏
    1995 年 37 巻 2 号 p. 355-360_1
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は35歳,男性.1985年アルコールによる急性膵炎の既往あり.1989年1月より下血が出現し,消化管出血の精査のため同年10月当科入院.胃体上部に多発する粘膜下腫瘍様隆起を認め,超音波内視鏡及び血管造影の所見から脾静脈血栓症による胃静脈瘤と診断.摘脾術及び胃の血行再建術を施行し,胃静脈瘤の消失を認めた.膵炎患者では脾静脈血栓症による胃静脈瘤発生の可能性があり,その診断には超音波内視鏡が有用と考える.
  • 鳥居 惠雄, 酒井 正彦, 梶山 徹, 岸本 浩之, 金 義宣, 鳥居 貴代, 塚田 英昭, 上田 俊二, 大熊 稔
    1995 年 37 巻 2 号 p. 361-369
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     われわれの開発した内視鏡的吸引粘膜切除法(EAM)は,従来の内視鏡的粘膜切除術で問題となっていた病変の存在部位による手技上の制約を解消し,より確実な切除を可能とした.しかし,当初のEAM処置具では,先端透明フードとスネアガイドチューブが独立しているため,これらの内視鏡への脱着が容易でなかった.そこでトップ社と共同で,スネアガイドチューブー体型先端透明フード(SGTフード)を開発し,これを用いて消化管疾患21例22病変に対しEAMを施行した.その結果,器具の脱着がきわめて容易となり,器具の細径化によりこれを装着した内視鏡の挿入性も向上した.また,切除標本は平均径23×20mmの類円形で,当初使用していた器具に比し,切除能力も向上した. 以上より,SGTフードを用いた内視鏡的粘膜吸引切除法は臨床上有用と考え報告した.
  • 高崎 元宏, 森田 荘二郎, 堀見 忠司, 依光 幸夫, 高松 正宏, 菅野 尚, 徳岡 裕文
    1995 年 37 巻 2 号 p. 370-376
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     1993年12月から1994年6月までに4例の手術不能悪性胆道狭窄症例(膵頭部癌2例,肝細胞癌1例,中部胆管癌1例)に対して経乳頭的にexpandable metallic stent(EMS)の一種であるWallstentを留置した.右肝内胆管前区域枝にステントを留置した肝細胞癌症例において超急性閉塞と思われる一過性の黄疸の増悪が認められたが,そのほかの症例においては順調な減黄が得られた.2例はそれぞれWallstent留置後123日目,54日目に死亡したが,残る2例は現在無黄疸で経過観察中である.Wallstentは他のEMSに比して手技的に容易に経乳頭的留置が可能であり,その開存率においても他のEMSと比べて遜色がないことから,今後悪性胆道狭窄の有用な治療の一つとして注目されるべきものと思われた.
  • 1995 年 37 巻 2 号 p. 377-401
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 2 号 p. 402-430
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 2 号 p. 431-447
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 2 号 p. 448-464
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 2 号 p. 465-476
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 2 号 p. 477-498
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 2 号 p. 499
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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