昭和43年度全国家畜保健衛生所統一課題調査の一つとして, 豚の胃潰瘍に関する全国調査が実施された. この全国調査は対象豚により3種類に分かれるが, まず大型養豚場における淘汰・死亡豚1, 005頭を対象とした20項目の調査成績の集計と解析を行ない, おもに次のような結果を得た.
1) 胃病変陽性率は, 出血は11.4%, 角化は31.9%, 糜爛は19.5%, 潰瘍は16.0%, 穿孔は1.4%である.
2) 発育が良の場合, 糜欄と潰瘍の陽性率が高い.
3) 血便が認められる場合, 出血と潰瘍の陽性率が高い.
4) 胃内容に繊維状物質が認められない場合. 角化の陽性率は高いが, 糜爛の陽性率は低い.
5) 噴門部と幽門部のpHが2.4以下の場合, 出血と糜爛の陽性率が低く. pHが7.5以上の場合, 潰瘍の陽性率が高い.
上記の結果は, 従来の報告と異なるものが多いが, その理由の一つとして, 調査対象が淘汰・死亡豚であることが考えられた.
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