日本獣医師会雑誌
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62 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
日本産業動物獣医学会会誌
  • 樋口 徹, 秦 秀明, 井上 哲, 佐藤 正人, 扇谷 学, 七尾 祐樹
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    1991年から2006年の16年間に喉囊真菌症と診断したサラブレッド85頭について,治療方法別に予後を比較した. 初発症状は,鼻出血が73頭,嚥下障害などの神経麻痺が11頭,膿性鼻漏が1頭であった. 治癒率は無治療群で38.5% (5/13)であったのに対し,内視鏡による局所治療,抗真菌剤の全身投与,輸血などの内科治療を行った群では53.8% (7/13),内頸あるいは外頸動脈の結紮手術を行った群では66.7%(6/9),内頸動脈結紮にあわせてバルーンカテーテルによる塞栓術を行った群では100.0%(4/4),内頸動脈結紮とマイクロコイル塞栓術を併用した群では84.8% (39/46)であった. 鼻出血を起こした症例では,内頸あるいは外頸動脈の結紮が必要であり,逆流による出血を防ぐ方法としてマイクロコイル塞栓術は実用的かつ効果的な手技であることが示唆された.
  • 小川 秀治, 芝原 友幸, 木村 衆, 小沼 成尚, 石川 義春, 門田 耕一, 久保 正法
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    秋田県内の肥育農場において,40日齢の去勢子豚が左側側頭部の隆起と発育不良を呈したため安楽殺された. 剖検時,左側側頭骨に限局性の腫瘤があり,割面では白色結合組織の増生を伴う多発性の黄白色壊死巣が認められた. 病理組織学的には,真菌菌糸を伴う多発性肉芽腫性骨髄炎であった. 免疫組織化学的に,この菌糸は抗Rhizotus arrhizusモノクローナル抗体で陽性を示した. 以上の結果より,接合菌による肉芽腫性骨髄炎と診断された.
  • 山川 和宏, 杉﨑 義一, 吉林 台, 古林 与志安, 古岡 秀文, 佐々木 直樹, 石井 三都夫, 猪熊 壽
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 1 号 p. 49-51
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    2歳5カ月齢ホルスタイン雌乳牛が胸垂冷性浮腫,頸静脈拍動を呈し,心音聴取困難および心電図各波低電位所見から拡張型心筋症が疑われた.右胸腔には赤色変性性漏出液が多量に貯留しており,また超音波検査により心囊水貯留を認めた.病理解剖の結果,心囊は直径60cm大に腫大して血様心囊水の貯留を認めたが,炎症あるいは腫瘍は認められず,血様心囊水貯留の原因については不明であった.ただし右肩部に壊死巣を認めたことから,転倒等胸腔に強い衝撃を受けた可能性があると考えられた.心嚢水貯留が認められる場合には,心囊腔内への出血も考慮すべき疾病のひとつであることが考えられた.
  • 芝原 友幸, 高橋 真紀, 中田 昌和, 伊藤 直美, 市川 優, 岸 光華, 大津 尚子, 山口 博之, 畑段 千鶴子
    原稿種別: 資料
    2009 年 62 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
日本小動物獣医学会会誌
  • 信田 卓男, 圓尾 拓也, 岩崎 孝子, 川村 裕子, 武田 晴央 , 斑目 広郎, 茅沼 秀樹, 菅沼 常徳
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    犬の皮膚肥満細胞腫58例に対して,プレドニゾロンを1日1回投与して1~4週間後に腫瘍の縮小効果を判定した. プレドニゾロン投与量の中央値は21.5mg/m2であった. プレドニゾロンによる肥満細胞腫の縮小は35例で認められ,反応率は60.4%であった. また,完全寛解(CR),部分寛解(PR)が得られるまでの期間の中央値はそれぞれ14日,10.5日であった. 反応群35例(CR7例,PR28例)と非反応群23例(無変化(SD)18例,増大(PD) 5例)では初回の腫瘍体積に有意差が認められ(p<0.001),反応群の体積中央値は2.69cm3,非反応群は18.85cm3であった. プレドニゾロンは犬の皮膚肥満細胞腫の治療に重要であることが再確認され,腫瘍体積の小さいものほど有効であることが明らかとなった.
  • 斑目 広郎 , 笹川 琴子, 荻原 喜久美
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 1 号 p. 61-63
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    手術により摘出された上眼瞼内腫瘤を病理組織学的に検索し「猫の脂肪肉芽腫性結膜炎」と診断した. 来院時,猫の両側上眼瞼が腫脹を伴って下垂していた以外に全身的な異常は認められていない. 黄白色調の腫瘤の一部は眼瞼縁からはみ出し,上眼瞼を反転すると腫瘤が眼瞼結膜上に認められた. 組織学的には結膜固有層における大型遊離脂肪滴を中心とする化膿性肉芽腫性炎巣が形成されており,崩壊したマイボーム腺は切片内に含まれていなかった. 本病変の完全切除には治療効果があり,予後は現在までのところ良好である.
  • 海老澤 崇史, 上地 正実, 堀 泰智, 山野 茂樹, 水野 壮司, 太田 護, 西田 幹, 藤原 めぐみ
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    8歳,体重11kgの雌のブルテリアが,拡張期雑音を認めるとのことで来院した. 心臓超音波検査において,僧帽弁狭窄症と診断した. 胸部X線検査にて肺水腫が示唆されたため,トラセミドおよびエナラプリルを投与した. その後,トラセミドは休薬し,エナラプリルの投与を継続した. 第492病日に,飼い主の希望により関心術による僧帽弁狭窄部の拡張術を行った. 閉心後の超音波検査において,左室流入速は術前より減少したが,閉胸終了後,神経学的反応に乏しく予後不良と判断したため安楽死した. 病理組織学的検査にて,僧帽弁に軟骨化生ならびに粘液腫様変性を認めた. 内科的治療で維持が困難である僧帽弁狭窄症では,早期に外科的治療に臨む必要があり,弁異常の重症度を十分評価し,弁置換術を含め僧帽弁に対するアプローチ法も検討する必要があると考えられた.
  • 小沼 守, 近藤 広孝, 石川 愛, 小野 貞治, 上木 万里子, 渋谷 久, 佐藤 常男
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 1 号 p. 69-71
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    ステロイド療法により寛解が得られなかったウサギ(Oryctolagus cuniculus)の白血病化を伴った縦隔型リンパ腫1症例に対し,アルキル化剤であるロムスチンを投与したところ,完全寛解が得られた. 投与量は50mg/m2で,寛解が得られるまでに21日の投与間隔で2回投与した. 血清ALPの軽度な上昇以外,重篤な副作用は確認されなかった. その後,2回目の投与から91日後に腎不全となり死亡した. 生存期間は,128日であった.
日本獣医公衆衛生学会会誌
  • 城谷 歩惟, 柴田 明弘, 江尻 寛子, 佐藤 雪太, 畠山 吉則, 岩野 秀俊, 津田 良夫, 村田 浩一, 湯川 眞嘉
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    日本各地の野鳥および飼育下鳥類から感染が報告されている鳥マラリア原虫は,Culex属やAedes属の蚊によって媒介されるが,国内においてベクターとなる蚊の種類や原虫保有状況は十分に調べられていない. そこで,2006年4月から1年間,日本大学農場施設(神奈川県藤沢市)において蚊を捕獲して原虫遺伝子の検出を試み,鳥マラリア原虫保有状況を調査した. 5属6種811個体の蚊が捕獲され,アカイエカ群とヒトスジシマカが大半を占めていた. DNA抽出した276サンプル中6サンプルから鳥マラリア原虫遺伝子に近縁な配列が増幅された(最小感染率:0.7%). 増幅がみられた蚊はすべてアカイエカ群であった. 以上から,調査地に分布する蚊が鳥マラリア感染におけるベクターである可能性が示唆された.
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