日本獣医師会雑誌
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56 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 高橋 清人, 岸本 嘉夫, 岩城 秀治
    2003 年 56 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2003/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    豚増殖性腸炎の診断を依頼された回腸材料について組織学的検査を行い, 粘膜上皮細胞の増殖性病変が13農場 (65.0%) 由来の22例 (46.8%) に観察された.病変が認められた材料からLmsonia intracellularis (Li) に対するモノクロナール抗体を用いた免疫蛍光抗体法によりLi抗原が, またPCRによりLiのDNA断片が検出された.次いで, 生前診断法としてのPCRおよび蛍光抗体法による抗体測定の有用性について, 発症豚の病変部乳剤を用いた感染試験により評価した.直腸便のPCR検査では接種豚15頭中7頭が陽性を示し, 出血性下痢便を検査した3回はいずれも陽性であった.しかし, 陽性の持続は短期間であった.NestedPCRおよび抗体測定では, 発症に関係なく接種豚すべてが陽性となった.PCRは出血性下痢便の検査に, NestedPCRおよび抗体測定は豚群でのLi潜在感染と浸潤状況の調査に適していると考えられた.
  • 山本 悦子, 保坂 善真, 植田 弘美, 中村 富美男, 竹花 一成
    2003 年 56 巻 2 号 p. 78-82
    発行日: 2003/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    サラブレッド種における浅指屈筋腱の加齢に伴う形態学的および生化学的変化に関する詳細な報告はなされていない.今回, 浅指屈筋腱の加齢に伴う形態学的および生化学的変化を明らかにした.形態学的変化として, 腱を構成するコラーゲン細線維の配列は, 加齢に伴って波状構造が消失し直線的になった.またコラーゲン細線維の直径分布は加齢に伴って細い細線維の割合が増加した.生化学的変化として, コラーゲンの型は加齢に伴ってIII型コラーゲンが増加していた.またグリコサミノグリカンは, コラーゲン細線維の直径調節作用を有するデルマタン硫酸が加齢に伴って減少し, コンドロイチン硫酸が増加した.このことから, サラブレッド種の浅指屈筋腱の加齢に伴う形態学的変化と生化学的変化には関連性があることが明らかとなった.
  • 水谷 祐輔, 森田 剛仁, 澤田 倍美, 島田 章則, 佐藤 耕太, 日笠 喜朗
    2003 年 56 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 2003/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    老齢の黒毛和牛2頭が重度の全身性黄疸および貧血を呈し予後不良として病理解剖に処された. 剖検時, 両例共に総胆管周囲の肝実質に多数の黄白色腫瘤が認められ, 同腫瘤が総胆管を圧迫していた.両例は肝腫瘍による不完全閉塞性黄疸と診断された. 組織学的に腫瘍細胞の管腔形成, 結合組織の著明な増生, 高度の細胞異型性および多数の核分裂像が認められたことから, これら2例の肝腫瘍は肝内胆管癌と診断された. 老齢牛における全身性黄疸の原因の1つとして, 肝内胆管癌による総胆管の圧迫に基づく不完全閉塞性黄疸を考慮する必要がある.
  • 伊東 輝夫, 串間 清隆, 二瓶 和美, 内田 和幸, 椎 宏樹
    2003 年 56 巻 2 号 p. 87-91
    発行日: 2003/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    組織学的にグレードII皮膚肥満細胞腫 (MCT) と診断された犬17例の術後経過を検討した.全17例中 (観察期間の中央値: 273日), 局所再発を伴った腫瘍による死亡が3例, 原発とは離れた遠隔部皮膚の再発が1例 (生存), MCTと無関連の死亡が1例に認められた.14例 (82.4%) では原発部の再発はみられず, 局所的な治療効果は良好と思われた.手術時の臨床ステージは予後と関連し, ステージ1の犬はステージII~IIIの犬より無病期間および生存期間が有意 (P<0.05) に長かった.好銀性核小体形成領域 (AgNOR) の数は再発の有無と関連し, ≧2.00/細胞のMCTで無病期間が有意 (P<0.05) に短かった.以上から, 臨床ステージ1のグレードIIMCTの比較的良好な予後が示唆され, AgNORは予後指標として有効と考えられた.
  • 高橋 義明, 平川 篤, 柴山 比奈子, 大道 嘉広, 野口 佳代, 山本 直人, 高宮 誠宏, 山本 昌章
    2003 年 56 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2003/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    元気消失, 斜頸を主訴に来院した9歳の雌のシーズーにおいて非再生性貧血, 血小板減少症および白血球数の著しい増加と顕著な脾腫を認めた. 白血球増多は著しい左方移動を伴う好中球の増多によるものであった. 骨髄検査では細胞充実度は過形成で, その多くは各成熟段階の顆粒球系細胞であり, 芽球の増加や形態学的異常はみられず, 分化成熟は正常と思われた. 類白血病反応の原因は認められなかったことから, 慢性骨髄性白血病と診断し, 化学療法を実施したところ, 白血球数は減少したが急性転化を起こし, 第11病日に死亡した.
  • 織 順一, 吉村 修一, 林 和宏, 佐々木 隆博, 中西 大介, 高瀬 勝晤
    2003 年 56 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2003/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    慢性治癒不全創および広範な胸部化膿創に胸壁欠損が併発した開放性拘束性胸膜炎のみられた猫に遭遇し, これらに小茎大網弁移植術を実施した. 重度呼吸困難を呈した開放性拘束性胸膜炎を併発した猫では病変部は治癒し, 呼吸困難も改善した. 広範な皮膚欠損を伴い, 治癒不全病変のみられた猫2頭は, 何らの併発症もなく治癒した. 飛節部と腹部に皮膚病変のみられた1頭は, 腹部病変は治癒したが, 飛節部の縫合は裂開して術前の状態に戻った.
  • 小野 一晃, 辻 りえ, 安藤 陽子, 大塚 佳代子, 柴田 穣, 斎藤 章暢, 増谷 寿彦
    2003 年 56 巻 2 号 p. 103-105
    発行日: 2003/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    市販鶏肉を調査したところ, 国産鶏肉の96.0%(48/50) および輸入鶏肉の16.0%(16/100) からカンピロバクターが分離された.MPN法により汚染菌数を比較したところ, 国産鶏肉では102cfu/100g以上の汚染が80.0%(40/50) であったのに対し, 輸入鶏肉ではわずか2.0%(2/100) であった.
  • 羽山 伸一
    2003 年 56 巻 2 号 p. 108-110
    発行日: 2003/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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