組織学的にグレードII皮膚肥満細胞腫 (MCT) と診断された犬17例の術後経過を検討した.全17例中 (観察期間の中央値: 273日), 局所再発を伴った腫瘍による死亡が3例, 原発とは離れた遠隔部皮膚の再発が1例 (生存), MCTと無関連の死亡が1例に認められた.14例 (82.4%) では原発部の再発はみられず, 局所的な治療効果は良好と思われた.手術時の臨床ステージは予後と関連し, ステージ1の犬はステージII~IIIの犬より無病期間および生存期間が有意 (
P<0.05) に長かった.好銀性核小体形成領域 (AgNOR) の数は再発の有無と関連し, ≧2.00/細胞のMCTで無病期間が有意 (
P<0.05) に短かった.以上から, 臨床ステージ1のグレードIIMCTの比較的良好な予後が示唆され, AgNORは予後指標として有効と考えられた.
抄録全体を表示