長崎県下における
Actinobacillus (
Haemophilus)
pleuropneumoniae血清型: 5の浸潤状況を知るために, 1983~86年に220戸の養豚農家から採取したと畜場出荷 (肥育) 豚血清1, 029例および繁殖豚血清629例の計1, 658例について, 2型とともに補体結合反応を実施した. また, 1985~87年に分離された
A. pleuropneumoniae 55株の血清型別をした.
5型抗体陽性率は9.0%(肥育豚8.3%, 繁殖豚10.3%) で, 繁殖豚では育成豚 (雄) 群が27.0%と最も高く, 次に育成豚 (雌) 群の16.5%で, 産歴が高くなるにつれて陽性率は低い傾向にあった. また, 陽性豚の抗体価 (幾何平均値: GM) は11.4 (肥育豚10.9, 繁殖豚12.1) で, 育成豚 (雌) 群がGM 14.9とほかの群 (10.0~11.5) より高かった. 繁殖豚のうち, 県外導入豚の5型抗体陽性率は23.9%(37/155) と県内産豚の5.9%より高かったが, 抗体価に差はみられなかった. 5型抗体陽性養豚農家戸数は54戸 (24.5%) で, うち9戸は5型抗体のみ陽性であった.
2型抗体陽性率は56.8%(肥育豚53.7%, 繁殖豚61.8%) で, 抗体陽性豚の抗体価は37.5 (肥育豚37.1, 繁殖豚38.1) であった. また, 80.5%の養豚農家が2型抗体陽性であった.
血清型別の結果, 7株 (12.7%) が5型菌で, 48株 (87.3%) は2型菌であった.
以上の成績から, 長崎県下に広く5型が浸潤していることが明らかにされ, 今後, その浸潤の拡大および5型菌による
A. pleuropneumoniae感染症の発生の増加が懸念される. また, 県外導入豚の抗体陽性率が高かったことから, 国内に5型も広く浸潤しつつある可能性が示唆された
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