日本獣医師会雑誌
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41 巻, 11 号
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  • 大林 正士
    1988 年 41 巻 11 号 p. 771-781
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 深瀬 徹, 板垣 博
    1988 年 41 巻 11 号 p. 783-787
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    カルバメート系の殺虫薬であるプロポクスル (propoxur) の1%(w/w) 散剤について, 犬へ強制経取投与した場合の安全性を検討した. 供試犬16頭を1群4頭の4群にわけ, それぞれ, 無投薬対照群, プロポクスル5mg/kg投与群, 10mg/kg投与群, 20mg/kg投与群とし, 薬剤投与1週間前から投与後3週間にわたって, 各犬の一般臨床所見の観察と種々の血液学的, 血液化学的検査を実施した. その結果, プロボクスルの投与に起因すると思われる所見として, 赤血球数, 白血球数, 血小板数の減少と, ヘマトクリット値の低下, および血清α-アミラーゼ活性の上昇と, 血清コリンエステラーゼ活性の低下が認められたが, これらの変化は一過性のものであり, 投薬後1週間以内にすべて投薬前のレベルに回復した. このことから, プロポクスルの1%散剤は, 通常行われる20mg/kg程度の用量での散布では, 散布後に犬が経口的に薬剤を摂取したとしても, 重篤な副作用を発現することはないと考えられた
  • 野村 紘一, 島田 保昭
    1988 年 41 巻 11 号 p. 789-792
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ファイバースコープに装着して, 管腔臓器内壁を直視することができるシリコンゴム製のカテーテルを試作した. 先端にバルーンを形成させ, バルーンを拡張するとファイバースコープの先端部がバルーンの中央に位置し, 胃, 直腸をはじめ, 膣や膀胱などの粘膜がレンズに接着することなしに観察できる. さらにまた, 頸静脈から挿入すると心壁の観察も可能である. 従来のように, 管腔臓器内部に “気密室” を作成したり, 血流を遮断して生食液で置換するなどの操作が不要で, 取り扱いがきわめて簡便である. だが, 本カテーテルは観察面のバルーン内面にファイバースコープの光源の反射像が形成されることがあって, 観察の支障となる場合がある.
    この点については今後, くわしく検討し, 改良する必要がある.
  • 柴田 勲, 平井 秀敏, 岡本 俊弘
    1988 年 41 巻 11 号 p. 795-799
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ブロイラーの鶏胎と雛にみられる腺胃および筋胃の出血, びらんの発現時期と推移について検討した.
    腺胃においては, ふ化直前・直後の少数例に出血を伴うびらんがみられたにすぎなかった. いっぽう, 筋胃においては, 出血およびびらんが高頻度に見出された. すなわち, 出血はふ化直後から多数例に認められたが, 2日齢以降は減少し, びらんは2日齢から認められ, 6日齢から発生頻度は急激に上昇した. また, 出血は筋胃の部位IV, ときにはI, IIに発現したが, びらんは主として部位Iに発生することが認められた. 組織学的に, 筋胃の出血部では毛細血管のうっ血および粘膜上皮の剥脱が認められたが, この病変は速やかに修復される傾向がうかがえた. また, びらんの形成初期にはケラチン様層水平層紋における分泌物質の減少による空隙の形成と, 剥離細胞の増加が観察された. 重度の例では潰瘍を形成するにいたったものもみられた.
    以上の所見から, 筋胃の出血とびらんは病理発生学的に関連性のない病変であると考えられ, それぞれの病変の誘因について考察した.
  • 岩松 茂, 宮本 修治, 山本 孝史
    1988 年 41 巻 11 号 p. 801-805
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    長崎県下におけるActinobacillus (Haemophilus) pleuropneumoniae血清型: 5の浸潤状況を知るために, 1983~86年に220戸の養豚農家から採取したと畜場出荷 (肥育) 豚血清1, 029例および繁殖豚血清629例の計1, 658例について, 2型とともに補体結合反応を実施した. また, 1985~87年に分離されたA. pleuropneumoniae 55株の血清型別をした.
    5型抗体陽性率は9.0%(肥育豚8.3%, 繁殖豚10.3%) で, 繁殖豚では育成豚 (雄) 群が27.0%と最も高く, 次に育成豚 (雌) 群の16.5%で, 産歴が高くなるにつれて陽性率は低い傾向にあった. また, 陽性豚の抗体価 (幾何平均値: GM) は11.4 (肥育豚10.9, 繁殖豚12.1) で, 育成豚 (雌) 群がGM 14.9とほかの群 (10.0~11.5) より高かった. 繁殖豚のうち, 県外導入豚の5型抗体陽性率は23.9%(37/155) と県内産豚の5.9%より高かったが, 抗体価に差はみられなかった. 5型抗体陽性養豚農家戸数は54戸 (24.5%) で, うち9戸は5型抗体のみ陽性であった.
    2型抗体陽性率は56.8%(肥育豚53.7%, 繁殖豚61.8%) で, 抗体陽性豚の抗体価は37.5 (肥育豚37.1, 繁殖豚38.1) であった. また, 80.5%の養豚農家が2型抗体陽性であった.
    血清型別の結果, 7株 (12.7%) が5型菌で, 48株 (87.3%) は2型菌であった.
    以上の成績から, 長崎県下に広く5型が浸潤していることが明らかにされ, 今後, その浸潤の拡大および5型菌によるA. pleuropneumoniae感染症の発生の増加が懸念される. また, 県外導入豚の抗体陽性率が高かったことから, 国内に5型も広く浸潤しつつある可能性が示唆された
  • 中野 達郎, 浜岡 隆文, 寺門 誠致
    1988 年 41 巻 11 号 p. 806-808
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    昭和59年から62年にかけて6県下 (福島, 栃木, 長野, 広島, 島根, 佐賀) で分離された肉用子牛を主とした牛の病性鑑定材料由来Salmonella typhimurium 70株およびS. dublin 6株, 合計 76株について, 薬剤耐性と伝達性Rプラスミドの分布状況を調査し, 以下の成績を得た.
    1) S. typhimuriumは全供試菌株の約70%がテトラサイクリン (TC), クロラムフェニコール (CP), ストレプトマイシン (SM), カナマイシン (KM), アミノベンジル・ペニシリン (ABPC), およびスルファジメトキシン (SA) に対して耐性を示し, ナリジクス酸 (NA) に対しても約43%が耐性であった. 耐性型では, 供試株の約63%が6剤または7剤の多剤耐性を示した.
    2) S. dublinは供試菌株のすべてがTC, SM, KM, ABPCのいずれかに耐性を示し, 耐性型は3剤または4剤耐性であった.
    3) 耐性株からのRプラスミド検出率は, S. typhimuriumが71%, S. dublimで83%であった.
  • 村田 浩一
    1988 年 41 巻 11 号 p. 811-813
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    神戸市近郊で保護された傷病野生イノシシ17頭について, ラテックス凝集 (LA) 反応によるトキソプラズマ (Tp) 抗体保有状況の調査を行った. 17頭中9頭が陽性 (32≤) であった. さらに, Tp抗体価128倍を示した5個体について, 免疫グロブリンの分画を行い各分画の抗体価を測した.
    生後2日齢および20日齢の個体のTp抗体は, IgGを示す単峰性のピークであることから, 母体よりの移行抗体であると考えられ, 母体の感染が凝われた. IgMとIgGを示す2峰性のピークをもつ成獣は, Tp感染の初期の状態にあると考えられた.
    これらの結果から, 野生下のイノシシも広範にTp感染を受けていることが示唆され, 野生動物との接触ならびに捕獲, 摂食については十分な配慮が必要であると思考された.
  • 清水 俊夫
    1988 年 41 巻 11 号 p. 814-817
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    人および牛などにおいて, Tリンパ球の細胞化学的マーカーとして用いられている酸性フォスファターゼ (Acp ase) 活性を豚の場合にも適用できるかどうか検討した. と殺前検査において正常と認められた豚の放血液から分離したリンパ球分画をさらにロゼット形成および非形成リンパ球分画に分離した. これらの両分画について, 細胞化学的にAcp ase活性を検索すると, ロゼット形成リンパ球分画では非形成リンパ球分画に比較して約4倍高いAcp ase活性陽性率を示した. また, 7例の豚全身性リンバ肉腫症例についてAcp ase活性を検索し, 3例の腫瘍細胞あるいは残存血中の腫瘍性リンパ球にAcp ase活性を認めた.
    このように, Acp ase活性は豚においてもTリンパ球の細胞化学的マーカーとして有効であり, 豚全身性リンバ肉腫の細胞学的な診断に適用可能であることが示唆された.
  • 佐藤 良彦, 宮下 憲二, 東條 博之, 木下 茂人, 太田 俊明, 上條 明良, 矢野 隆良
    1988 年 41 巻 11 号 p. 818-821
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    乳牛にみられたアミロイドーシスについて, 臨床および病理学的検討を行った。発症牛は6歳7ヵ月齢で, 分娩直後から食欲不振, 水様下痢, 削痩, 浮腫, 蛋白尿等の症状を示し, 発病29日後に廃用とした. 生化学的検査では血清総蛋白の低下, とくにアルブミンの著しい減少と, αおよびγ-グロブリンの増加がみられた. 病理組織学的検査では, 肝臓のDisse腔に最も強いアミロイドの沈着がみられ, 次いで腎臓の糸球体にアミロイドの沈着が認められた.
  • 上原 修一, 北野 良夫, 恒吉 幸一, 藤原 直躬, 長谷 学, 宮里 俊光
    1988 年 41 巻 11 号 p. 822-824
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1985年2月から1986年2月にかけて, 鹿児島県串木野市の黒毛和牛一貫経営農場で旋回運動, 猪突猛進などの神経症状を主徴とする子牛の疾病が発生した. 病理組織学的検査により賢尿細管上皮細胞の核内に鉛中毒に特徴的な核内封入体が認められ, 生化学検査では血液, 腎臓, 肝臓から高値の鉛が検出されたために鉛中毒と診断された.
  • 池澤 聖明
    1988 年 41 巻 11 号 p. 827-831
    発行日: 1988/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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