日本獣医師会雑誌
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46 巻, 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 高井 伸二
    1993 年46 巻2 号 p. 91-97
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 天野 弘, 梶尾 規一, 土屋 守, 柴田 昌利, 佐野 幸男, 鈴木 隆春, 山本 明
    1993 年46 巻2 号 p. 99-102
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1988年8月にSPF豚飼育のために清浄化した農場にSPF豚を導入したところ, 3ヵ月後に発熱, 呼吸器症状を呈し死亡する肉豚がみられた. 発症は107頭中41頭 (38.3%) にみられ, このうち10頭 (9.3%) が死亡した. さらに, 1ヵ月後に2頭が死亡した. 剖検では線維素性胸膜炎および心嚢炎が多数例にみられた. 組織学的検査では線維素性多漿膜炎が10例中9例にみられ, このうち5例は化膿性髄膜炎を伴っていた. 細菌学的検査において11例中5例の主要臓器からHaemophilus parasuisが分離された. 分離菌は血清型が5型, SDS-ポリアクリアミドゲル電気泳動法によるPAGE型がII型と同定された. 発生原因は, 本菌の侵入後, 気温の急激な低下がストレスとなり発症したものと考えられた.
  • 岡田 雪男, 原 文男, 新井 伸雄, 原 正三, 安食 隆, 白石 忠昭, 多久 和正, 長尾 壮七
    1993 年46 巻2 号 p. 103-107
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    抗菌製剤無投与牛から搾乳した生乳が残留抗生物質検査法 (ペーパーディスク法; PD法) で偽陽性反応を示す原因検索を行った. PD法疑陽性乳は, 陰性乳に比較して総細胞数, 多形核球数, ラクトフェリン (Lf) およびリゾチーム (Ly) 量とも高値であり, これら成分とPD法阻止円直径との間には有意な相関がみられ, 特に, Lf量との相関が高かった. また, 比濁法によるBacillus stearothermophilus (検定菌) に対する抗菌作用の比較では, Lyが最も強く, 次いでPD法陽性乳清, Lf, PD法陰性乳清, ペニシリンの順に弱くなった. なお, この時の検定菌の形態を透過型電顕で比較したところ, PD法疑陽性乳清添加と人Lf添加の間には類似した変化が観察された. 以上のことから, PD法疑陽性反応は乳腺組織の炎症性変化にともなって生乳中に増加した多形核球由来のLfに起因するものであり, Lyの存在でより顕著な反応がおきるものと考えられた.
  • 熊田 昇二, 本間 惣太
    1993 年46 巻2 号 p. 108-111
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    蛍光検出高速液体クロマトグラフィー (HPLC) による牛の血中セレン (Se) 定量法について検討した. この方法では, まず, 血液試料の灰化に硝酸一過塩素酸 (1: 1) を用いて185±5℃で3時間加熱した. その後, 塩酸を加えて加熱しSe (VI) をSe (IV) に還元して試料溶液とした. この一部を取り, Seと2, 3-ジアミノナフタレンとを反応させシクロヘキサンで生成物を抽出し, 固定相にシリカゲルを, 移動相にシクロヘキサンと酢酸エチル (93: 7) を用いたHPLCに注入して分離, 定量した (励起波長380nm, 蛍光波長525nm). 全血, 血清Se測定値の変動係数はそれぞれ2%以下, Seの添加回収率は両者ともに100±5%内であり, 検量線は原点をとおる直線性を示し, その相関係数は0.999であった. 本法は牛の血中Se定量に簡便で精度が良く, 多検体処理に適する実用可能な方法と思われる.
  • 関野 哲男, 鮫島 都郷, 田島 正典
    1993 年46 巻2 号 p. 112-116
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    馬伝染性貧血 (伝貧) ウイルス抗体検出用に, 精製伝貧ウイルス抗原を用いたELISAを開発した. 精製抗原をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析すると, 26キロダルトン蛋白 (26K) が主要ウイルス構成成分として検出された. 伝貧ウイルス実験感染馬の血清中に出現する特異抗体の検出をウエスタンブロッティング (WB) によって確認し, ELISA判定基準値を設定した. WBで26Kに対する反応が最初に陽転した血清は吸光度値約0.5を示した. そこで, 吸光度値約0.5になるように参照血清を調整し, その吸光度値以上を示した被検血清をELISA陽性とした. ELISAおよび寒天ゲル内沈降反応 (AGID) の成績を比較した結果, 実験感染馬血清および野外馬血清でそれぞれ90%および99.6%の一致を示した. 不一致の血清についてWBを行ったところ, 本ELISAはAGIDよりも早期に抗体を検出できること, また, 偽陽性の出現は0.4%と低率であることがわかった.
    以上の成績より, 本ELISAは伝貧ウイルス抗体検出に有用であることが示された.
  • 石橋 和樹, 白川 ひとみ, 富下 義文, 松尾 弘幸, 渡辺 諦, 野牛 一弘
    1993 年46 巻2 号 p. 117-119
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    鶏伝染性気管支炎 (IB) の迅速診断を目的として, IBウイルス (IBV) のN蛋白を認識するモノクローナル抗体 (MAb) を用いた間接蛍光抗体 (IFA) 法によるIBV抗原検出を野外症例に試みた. 症例は軽度の呼吸器症状と激しい下痢を示した69日齢の鶏で, 腫大した腎臓の凍結薄切標本にIBV特異抗原が認められた. 発症鶏の腎臓から発育鶏卵を用いてIBVが分離され, 回復期血清では急性期血清に比較し分離株および3株のIBV既知株に対する抗体価が有意に上昇した. これらのことから本症例はIBと診断され, MAbを用いた抗原検出法は迅速診断に応用可能と考えられた.
  • 1993 年46 巻2 号 p. 120-136
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 梶山 松生, 中元 緑, 牧田 登之
    1993 年46 巻2 号 p. 141-142
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    猫科の動物を終宿主としてその小腸に寄生する壺形吸虫Pharyngostomum cordatumが, 人畜共通寄生虫であるか否かを知ることは公衆衛生上重要な問題である. そこで, ニホンザルを用いて感染実験を行った. すなわち, 自然界でえられたトノサマガエルの後肢筋肉内の本吸虫のメタセルカリアを4匹のニホンザルに経口投与した. 雄ザル3匹にそれぞれ450個, 82個, 215個のメタセルカリアが, 雌ザル1匹には105個が, 麻酔下で強制的に投与され, 経時的に糞便検査を行った. いずれのサルにも壺形吸虫卵の発現は認められず, また, 剖検によっても腸管内, 横隔膜およびその他の腹部臓器内から虫体が検出されなかった. このことから, 本吸虫のサルにおける感染はないものと考えられる.
  • 高野 茂, 近藤 友美, 浅井 敏文, 美川 茂
    1993 年46 巻2 号 p. 143-146
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    観光牧場で飼育していた兎に沈うつ, 斜頸を主徴とする疾病が発生し, 病理検査および原虫検査によりエンセファリトゾーン症と診断した. 経過観察中に斜頸を示していた1頭が平衡失調を呈した. 剖検では腎の白斑形成と副鼻洞炎を認めたほか著変はなかった. 組織所見では肉芽腫性脳炎と間質性腎炎がみられ, うち1頭の大脳皮質に偽シストを確認した. 組織病変のみられた兎の脳および腎の臓器乳剤を免疫抑制処理したマウスの腹腔内に接種し, 21日から28日後に腹水中に原虫の増殖を確認した. 原虫は, 大きさが約2.5×1.5μm, 染色性はグラム陽性, 電子顕微鏡による観察では5~6回転の極糸と極胞ラメラを確認し, これらの形態特徴からEncephalitozoon cuniculiと同定した.
  • 中川 光義, 宮原 和郎, 佐藤 基佳, 広瀬 恒夫
    1993 年46 巻2 号 p. 147-150
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    獣医診療におけるX線被曝防護を目的として小動物用360度回転型保定装置を試作し, 本装置使用時の小動物用全方向防護X線透視・撮影装置外面50mmにおける被曝線量を用手保定時と比較検討した. 陽性造影剤を経口投与した中型犬の腹部に対して10回照射した時の積算線量当量は, 用手保定時には0.32~1.73μSvであったが, 保定装置使用時には検出されなかった. 透視時の線量当量においても, 用手保定時には13.7~41.5μSv/hrであったが, 保定装置使用時にはバックグラウンドの範囲内 (0.1~0.5μSv/hr) であり, 明らかなX線被曝の低減が認められた. また, 本保定装置の使用に基因する撮影像ならびに透視像への影響は認められず, ポジショニングの適正化とともに回転を加えることによって多くの生体情報を短時間内に得ることが可能となった.
  • 澤嶋 効, 青木 啓祐, 志鷹 秀俊, 澤嶋 裕子, 前田 博
    1993 年46 巻2 号 p. 151-154
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    15歳の雑種犬が, 元気消失, 食欲低下との稟告で来院した. 一般身体検査, 胸部X線検査, 胸部超音波検査により原発性肺腫瘍と診断し, ビンクリスチン, サイクロフォスファミド, プレドニゾロンの3剤併用化学療法にて治療した. 経日的に行ったX線検査により, 一時, 腫瘤陰影の縮小が認められたが一般状態の改善がみられなかったため, 腫瘤を含む肺葉切除術を行った. 肺の腫瘤は組織学的に細気管支肺胞上皮癌と診断した. 剖検および病理組織学的検査により肺癌の転移のないこと, 胃に硬癌が存在することおよびその全身への転移が確認された. 化学療法の効果と考えられる腫瘍組織の壊死が, 肺の細気管肺胞上皮癌に認められたが, 胃の硬癌には認められなかった.
  • 1993 年46 巻2 号 p. 155-158
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 作井 睦子, 大藤 進, 谷山 弘行, 古岡 秀文
    1993 年46 巻2 号 p. 163-165
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    2歳のランドレース雌豚に全身性アミロイド症が観察された. アミロイドは, 肝臓, 脾臓, 腎臓小腸およびリンパ節に沈着していた. このアミロイドはHE染色ではエオジンに淡染し, コンゴーレッド染色で橙赤色, 偏光顕微鏡下で黄緑色を呈した. また, 過マンガン酸カリウム前処理によりコンゴーレッドに対する染色性が消失し, 免疫染色では抗人アミロイドAA血清に対して陽性を示した. 本例は免疫組織学的にAA蛋白の沈着が証明されたActinomyces sp. によると思われる肉芽腫性乳房炎に続発した豚の全身性アミロイド症と考えられた.
  • 1993 年46 巻2 号 p. 166-168
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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