昭和27, 28牛中に発生した集団食中毒例12件の検査材料 (原因食品および患者便) 639例中71例より血清学的に共通の抗原を有する細菌を分離したがこれらの菌株は生物学的性質は半数以上
Klebsiella型で,
Coli型,
Proteus型および
Cloaca型も認められた.共通抗原は100℃ で容易に凝集力を失う易熱性菌体抗原で, 凝集素産生能力は100℃ 1時間加熱で菌株により能力を失うものがある. この抗原は腸内細菌群の既知抗原に相当するものはないがSTAMP and STONEのα抗原と全く同一であることを証明した. 本抗原を有する菌株の検出を小動物 (イヌ, 家鼠等) および健康者につき調べたところイヌには証明されず, 鼠よりは140例中3例分離し, 健康者よりは1641例中3例を分離した. かくのごとく健康者には稀で食中毒により胃腸障害を起した場合に現われやすくなるので, 食中毒の原因の一役を演ずるのではないかと思われる.
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