日本獣医師会雑誌
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40 巻, 11 号
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  • 杉村 肇, 山足 清, 水落 晶
    1987 年40 巻11 号 p. 765-770
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    今回, 著者らは乳牛の蹄病のうち, かなり多発のみられる蹄底疾患に対して, これまでわが国で臨床報告のない木製ブロック装着 (患蹄浮遊) による治療, すなわち, 西ドイツのクルツァー社製テクノビット6091を応用したところ, かなり期待できる治療効果が得られた.
    .供試牛は, 限局性蹄皮炎31例, 感染性蹄皮炎4例, 白帯病2例の29頭37蹄である.このうち, とくに支柱蹄の著しい15例を試験牛とし, 患肢蹄の健康側の蹄下面にテクノビット6091を装着し, 他の22例を対照牛とした.
    蹄病の処置と包帯交換は, 両群とも治療開始後隔日に実施した. 転帰は, 患部が完全に角質化して疼痛が消失し, 患肢が十分負重に耐え, 歩様が正常となった時を治癒とした.
    その結果, 初診時, 対照牛群よりも跛行が重度であった試験牛群の治療日数が平均19.6日であったのに対し, 対照牛群のそれは平均21.5日であった.
    また, 試験牛群のうち著効のあった2例は, 釘による穿孔で感染性蹄皮炎を起こしたものと白帯病の症例で, ともに蹄骨にいたる重度の深部感染を伴い, 初診時まったく負重できなかった. いずれも断蹄手術適応症と診断されたもので, 試みにテクノビット6091を応用したところ, 装着後1両日のうちに負重状態が著しく改善され, 連日, 抗生物質の併用によって両者とも治癒した.
  • 小川 高
    1987 年40 巻11 号 p. 771-774
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ハイドロキシアパタイト (HA) は, すぐれた人工骨材としてヒトにおいて注目されている. 顆粒状HAを前頭部骨欠損を有する猫1例および, 頸椎融合術を行った犬1例に応用し, 現在のところ良好な経過が得られ長期観察中である. 小動物臨床分野でも, RAは今後利用価値のある生体材料であると思われた.
  • 大笹 清, 阿部 哲男, 飯嶋 良朗, 佐々木 大樹, 牛島 巧, 権 五鏡
    1987 年40 巻11 号 p. 775-778
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1983年1月から4月までの期間にのべ715頭 (7牛舎) のホルスタイン種泌乳牛のT-CHO値を測定し, これに対し影響を与える要因を共分散分析を用いて調査し, また, T-CHO値と疾病発生との関連について, 判別関数により検討を加えた.
    産次, 分娩後の日数, 泌乳量および疾病の発生はT-CHO値に有意な影響を与え, 体重, TDNおよびCP充足率は有意な影響を与えなかった.
    つぎに, 産次, 分娩後の日数および泌乳量を考慮し, T-CRO値により非疾病発生牛と疾病発生牛との判別を試みたが不可能であった. すなわち, 疾病発生によってT-CRO値は低下するが, T-CHO値により非疾病発生牛と疾病発生牛とを区別することができなかった.
  • 丸山 成和, 丸山 典彦, 森田 迪夫
    1987 年40 巻11 号 p. 779-783
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    初代豚腎細胞で低温順化した, 豚パルボウイルスHT--SK-C株13) の妊娠豚における安全性と免疫原性について検討した.
    HT--SK-C株106.0TCID50/2mlを妊娠74日の豚に皮下接種したところ, 臨床所見に異常は認められず, 咽頭, 鼻腔, 直腸からウイルスは回収されなかった. また, ウイルス血症も認められなかった. 同豚を妊娠104日目に解剖した結果, 剖検上13頭の胎児はすべて正常で, このうち7頭について臓器からウイルス回収を試みたが, 陰性であった.
    妊娠42日目に同株を接種した豚および非接種豚各1頭に対して妊娠66日目に野外株105.0TICD50/5mlを静脈内に攻撃した. 攻撃後46日目 (妊娠112日目) に両豚を解剖したところ, HT--SK-C株接種豚の胎児は15頭全頭正常で, このうち8頭の胎児臓器からウイルス回収を試みたが, 陰性であった.
    いっぽう, 非接種豚の胎児は11頭で, その内訳は正常胎児7頭, 白子2頭, 黒子1頭, ミイラ胎児1頭であった. このうち, 正常胎児2頭, 白子2頭および黒子1頭について臓器からウイルス回収を試みたが, いずれも陽性であった.
    種付前7-14日の初産豚5頭にHT--SK-C株106.0TCID50/2mlを接種し, 抗体の持続を観察したが, 接種14週後のHI価は40-320倍を維持していた.
  • 諏佐 信行, 上野 俊治, 古川 宣義, 上山 繁成, 岡 昌秀
    1987 年40 巻11 号 p. 784-788
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    6価クロム [K2Cr2O7;Cr (VI)] のマウスに対する毒性に及ぼす鉄化合物の影響を検討した.Cr (VI) 腹腔内投与による死亡率は, FeCl2との併用投与により著減した.Cr (VI) とFeCl2との腹腔内あるいは経口同時投与は肝臓, 腎臓のクロム含量を減少したが, 脾臓, 精巣では増加した. Cr (VI) を腹腔内に, FeCl2を経口的に投与した場合, あるいはFeCl2を腹腔内へ前投与した場合には, 臓器中のクロム含量に大きな差は認められず, Cr (VI) とFeSO4とを腹腔内投与した場合にも, 臓器中のクロム含量の変化はFeCl2と同様の成績を得たが, FeCl3あるいはFe2 (SO4) 3との併用では, その変化は極微であった. Cr (VI) とFeCl2の腹腔内投与は尿, 糞便中へのクロム排泄量を著減した. これらの成績から, 2価鉄はCr (VI) と同一経路で, 同時に投与する場合にのみ, Cr (VI) の毒性を軽減することが明らかとなり, この機序は, 2価鉄によって6価クロムが3価型に還元され, 肝臓, 腎臓へのクロムの移行量が低下したことに起因するものと考えられた.
  • 米田 豊, 岡田 紀子, 溝口 省三, 吉本 善次郎
    1987 年40 巻11 号 p. 791-795
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    尿毒症の原因物質と考えられているグアユジノ化合物の検出をと畜検査に応用するため, 高速液体ク律マトグラフィー (HPLC) によると畜の血清中のグアニジノ諏バク酸 (GSA) およびメチルグアニジン (MG) の定量法について検討した.
    血清は過塩素酸溶液で除蛋白を行い, ベンゾインを蛍光ラベル化剤とするプレカラム誘導体化法によりHPLCを行った. ベンゾインを用いる従来法をと畜の血清に応用するため, 蛍光反応条件を100℃, 4分間とすること, 反応液のpHの安定化に1.5Mトリスーリン酸緩衝液を用いること, およびHPLCカラムにNucleosil 5 C 18, 移動相にメタノール-0.5Mトリス塩酸緩衝液 (pH 8.6)(65:35) を用いるアイソクラティックな条件に改良することにより, 両者の同時分析が可能であった.
    なお, GsAおよびMGを豚血清に5μg/ml添加した場合の回収率はそれぞれ93.7および90.1%であり, 検出限界はGSAおよびMGともに0.01μg/mlであった.
  • 戒能 豪, 石川 秀朗, 岡田 文雄, 吉田 秀俊, 渡部 万亀, 菊池 仁司
    1987 年40 巻11 号 p. 796-800
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    牛の新鮮初乳を30℃ の環境下で自然発酵させ, 2種のサルモネラの増殖の有無と生存性を調べた.
    初乳に103/ml, 106/mlと菌量の異なるSalmnonella typhinmuium (以下, S.typhimriumと略), Salmonella dublin (以下, S.dublinと略) を用いて接種したところ, 菌の最大菌数および生存期間の差は認められなかった.
    7例の初乳に, 102, 103および106/mlの菌量を接種したところ, 1例では増殖がみられなかったが, 残り6例の初乳では24~48時間で107~109/mlに達し, 1~5日間同一菌数で推移し, ついで漸減がみられた. その後, サルモネラの死滅する発酵初乳のpH値には4.83~3.83の幅があり, 生存期間は初乳の違いにより3~20日間と差がみられた.なお, S.typhimuriumS.dublinとの菌種による生存性の差は認められなかった.
  • 塩化第二鉄による沈殿法の改良法の開発
    板屋 民子, 徳丸 雅一, 砂川 誠, 正木 宏幸, 青木 敦子, 柳川 敬子
    1987 年40 巻11 号 p. 801-804
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    塩化第二鉄を用いる従来からの沈殿法を改良して, 水中の病原性細菌を検出する方法を開発した.
    滅菌蒸留水に各種の細菌を混合し, 塩化第二鉄 (0.02%) と補助剤としてケイソウ土 (0.1%) を加えて, 1N水酸化ナトリウムでpHを中性~ アルカリ側に調整した. 90分間静置後, 上清を捨てて得た沈殿物仲には, 最初に混合した菌数がほぼ全量含まれていた.また, 1lあたり100個以下の微量の菌を回収することができた.
    本法は, 対象試料の汚れの程度によって, 加えるケイソウ土の量を加減すれば, 飲料水から汚れのひどい下水まで対象にでき, 各種の菌の検出に利用できる優れた方法である.
  • 富永 潔, 竹谷 源太郎
    1987 年40 巻11 号 p. 805-808
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1985年5月, 山口県美祢市の1養豚場において, 33日齢の1子豚が神経症状を呈し起立不能となったため, 鑑定殺し病性鑑定を行った. 病理学的には大・小脳の化膿性髄膜炎, 左眼球の化膿性内眼球炎および化膿性鼻炎が特徴的であった. 細菌学的検査で大・小脳, 肺, 眼球, 鼻腔の膿汁からT群に群別されるStreptococcus suisが多数分離されたことから, 本菌による化膿性髄膜炎と診断した. 本菌による豚の化膿性髄膜炎の発生は, わが国ではまれであり, とくに化膿性内眼球炎と化膿性鼻炎を伴った症例は報告されておらず, 豚のレンサ球菌感染症の新しい病型と考えられた.
  • 井上 ますお, 横田 陽子, 斉田 清, 栗原 貯, 野村 靖夫
    1987 年40 巻11 号 p. 811-813
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は, 雑種, 4才, 体重250kgの雌豚で, 灰白色を呈する直径1~10mmの扁平~球状の腫瘤が心膜の臓側板および壁側板に限局し, 集塊または散在性に認められた中皮腫の1例に遭遇した.
    組織学的には, 網状や管状構造を呈する上皮性性格の強い細胞が主体で, それらは細胞質にビアルロン酸を含有していた.
  • 矢挽 輝武
    1987 年40 巻11 号 p. 814-818
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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