馬の正常妊娠期における各週の血中プロジェステロン(P
4)濃度の変化を時間分解蛍光免疫測定法(TR-FIA)により解析し,早期胚・胎子死滅7例と比較した. 妊娠前半期のP
4 濃度は妊娠2週および7~15週をピークとする2相性の変化を示し,初期黄体および副黄体の形成時期とほぼ一致した. 妊娠後半期は23週以降に3~4ng/m
l の低値で推移した後,分娩前5週からふたたび上昇し,分娩後に急激に低下した. 5週付近で胚死滅となった4例の血中P
4濃度は0~4週において正常例と有意差を認めなかったが,9週付近で胎子死滅に至った3例では,その2週前においてすでにP
4濃度が正常例より有意に低かった. 胚・胎子死滅後は黄体が退行せず,P
4濃度が3~6ng/m
l の値で5週間以上維持された. TR-FIAによる馬妊娠期のP
4濃度測定は早期胎子死滅の予知診断に有用であることが示唆された.
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