上嘴基部に巨大黒色腫瘤の発生がみられた20 歳齢,雌のマカロニペンギン(
Eudypres chrysolophus)を病理学的に検索した.腫瘤は肉眼的に不整及び黒色充実性で上嘴基部に主座し,上顎や口腔内への浸潤及び胸部皮下への転移がみられた.病理組織学的に,黒色色素を伴った豊富な好酸性細胞質を有する類上皮細胞様あるいは紡錘形細胞など多形な腫瘍細胞の充実性増殖が認められた.腫瘍細胞は免疫組織化学的染色により,S-100 及びPCNA に陽性,Desmin,Pan-cytokeratin には陰性であった.電子顕微鏡検索では,腫瘍細胞の細胞質内に多数のメラニン顆粒とメラノソームが認められた.以上の所見より,本症例はマカロニペンギンの上嘴基部に発生した悪性黒色腫と診断された.
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