17道府県から1976年, 1982年および1986年から1989年の間に採集した4ヵ月齢以上の肥育豚と繁殖母豚, 合計760例の血清について, 豚アデノウイルスの1型 (25株), 2型 (A47株), 3型 (6618株), 4型 (München株) および5型と提唱中のHNF70株に対する中和抗体を測定した.
年度別にみた血清型ごとの抗体陽性率をみると, 1型では12.6~49.3%を示し, 2型では52.5~66.7%であった. 3型では1976年から1987年まで85.0%以上の高い陽性率から1988年以後約50%へ低下した. 4型では1976年に陽性豚はみられなかったが, 1982年に10%を示し年々上昇して1989年には43.8%を示した. 5型では75.0~95.0%の高い陽性率で推移した.
府県別にみた各血清型に対する抗体陽性率は, 同一地方において類似したパターンを示した. 80%以上の高い抗体陽性率は, 5型では北海道, 東北, 関東, 甲信越, 近畿, 中国, 九州, 沖縄の8地方で認められた. 3型では北海道, 東北, 中部, 中国, 四国, 九州の6地方で, 2型では中部と近畿の2地方で, 1型では中部地方で高い陽性率であった. しかし, 4型については80%以上の高い陽性率を示す地方は認められなかった.
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