1969年の3月, 県内の一養鶏場にヒナ (採卵鶏) の大腸菌症が発生し臨床学的, 病理学的ならびに細菌学的検査を実施しつぎのような成績がえられた.
(1) 臨床所見では, 一般症状の悪化・乳灰白色の下痢がみられ, 12日齢より37日齢までの間に1, 400羽中360羽が斃死した.
(2) 病理解剖の主な所見として, 心外膜炎, 肝包膜炎, 脾腫, 気嚢炎が観察された.
(3) 病理組織学的所見では, 心外膜・肝包膜の水腫性肥厚・壊死, 腺胃芽細胞の増殖, 単核球, 好酸性顆粒球の浸潤, 脾・ファブリシヤス嚢・腸・腺胃のリソパ組織の消失・細網細胞の活性化, 腺胃深固有胃腺の変性脱落, 脾莢組織の肉芽様増生と水腫, 肺の間質にみられた細胞浸潤と水腫が主な病変であった.
(4) 細菌学的検索では, 放血殺した10例の心, 肝, 肺, 脾, 膵, 腎より菌の分離を試み8例よりE.coliが純粋に分離された.0抗原型別では, 14株中13株がO-2に型別され定量的O凝集価は12, 800倍であった.
(5) 54日齢と82日齢で, 同一のヒナ70羽についてマイコプラズマ病急速凝集反応を実施したがすべて陰性であった.また, 同時に実施した伝染性コリーザの血清反応では54日齢で22羽, 82日齢で17羽が陽性であった.
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