ホルスタイン種未経産牛55頭を4群, すなわち1-W群に分け, それぞれPGF2α 類縁物質 (ONO-1052) 0.4mg, 0.5mg, 0.8mg, 1.0mgを10日間隔で2回筋肉注射して, 発情同期化を試みた.なお, I群とIII群は12月, II群は2月, IV群は7月に実験を行った.
第2回投与後4日までの発情誘起率は1群83.3%, II群100.0%, III群100.0%, IV群60.0%であった.IV群がII群およびIII群に比べ低かったが (II群vsIV群P<0.01;III群vs IV群P<0.05), その理由は無発情排卵のものが多かったためである.IV群は7月に実施したので, 夏季の高温が発情誘起率の低下の原因の一つではないかと考えられる.
第1回投与後に比べ, 第2回投与後の発情が早く, かつ集中して誘起された.すなわち, 投与後2日に発情する牛が多かった (P<0.05).その原因は, 投与後の発情開始が遅れる傾向のあった性周期10~13日に相当する牛が, 第1回投与で卵巣周期が改変され, 第2回投与のときには極く少数となるためであった.
第2回投与後5日までの排卵率は, I群・II群およびIII群がいずれも100.0%, IV群が86.7%であったが, 群間に有意な差はなかった.
投与から排卵までの日数は, 第1回および第2回投与とも, それぞれ群間に有意な差はなかった. しかし, 第1回投与に比べ, 第2回投与は投与後3日に排卵する牛が多かった (P<0.05).
第2回投与後の初回授精の受胎率は, I群45.5%, II群41.2%, III群45.5%, IV群35.7%で, 4群の間に有意な差はなかった.
以上の結果から, 未経産乳牛にONO-1052を0.4mg以上10日間隔で2回筋肉注射する方法は, 卵巣機能の良好な条件下で行うならば, 発情の誘起率が高く, しかもよく集中し, 発情同期化法として極めて優れた方法といえる.
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