ホルスタイン種の妊娠肥育牛に対して, PGF
2α または副腎皮質ホルモン, エストラジオール (E2) を併用して人工流・早産および捉進分娩を試みて次の結果を得た.
1) 1~4ヵ月の妊娠初期のものでは, PGF
2α6mgの子宮内注入, または2mgの卵巣実質内注射によって平均3日後に流産がおこり, 胎盤停滞は認められなかった. なお, ミイラ化した1例では子宮頸管の移開も十分でなく, 胎盤停滞も認められた.
2) 妊娠5~6ヵ月のもので, PGF
2α2mgの中子宮動脈注射2例はともに3~4日後に流産したが, PGF
2α2mgの卵巣実質内注射の2例ではいずれも無効で, その後DEX10mg, PGF
2α6mg, E2 20mgの併用により3~4日後に流産した.胎盤停滞は50%のものに発生しむ.
3) 妊娠7~8.5ヵ月のものでは, DEX20mg, PGF
2α2~12mg, E
220mgの併用で6例中2例が3~5日後に流産し, さらにPGF
2α 6~12mg, E
220mgの追加投与によって2例が最終投与から2~3日後に流産した. 残りの2例は, E350mgの頸管注射によっても流産はみられず, さらにDEX20mg, PGF
2α 10mgの静注, 2mgの中子宮動脈注射, およびE2 20mgの注射によって, 最終投与から2~4日後に流産し, 胎盤停滞は70%のものに発生した.妊娠274日の牛は, DEX20mg, PGF
2α 6mgの静注によって, 38時間後に分娩した.
4) これらの処置の副作用としては, 一過性の食欲低下, 乳汁分泌等がみられた.
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