日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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64 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 松本 裕一, 佐藤 敦子, 穂積 愛美, 大西 英高, 壁谷 昌彦, 菅原 克, 高石 英俊
    原稿種別: 原著
    2011 年 64 巻 12 号 p. 941-945
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    7歳齢,妊娠8カ月の黒毛和種牛1頭が貧血,発熱,水様下痢,削痩を呈し流産後に死亡した.血液塗抹においてトリパノソーマ様原虫が検出され,形態的特徴及びトリパノソーマ原虫種鑑別のためのPCRの結果から,Trypanosoma (T.) theileriと同定された.他の血液原虫は検出されなかった.病理検査では全身リンパ節と脾臓の腫大がみられ,主要臓器及びリンパ節にリンパ球様細胞の腫瘍性増殖が認められた.リンパ節のPCRで牛白血病ウイルス(BLV)遺伝子陽性,血清の抗BLV抗体弱陽性であった.以上より本症例をトリパノソーマ病と地方病性牛白血病(EBL)の混合発症と診断した.高齢,妊娠ストレスとともにEBL発症や何らかの細菌感染などによる体力の低下が誘因となり,潜伏していたT. theileriが増殖して発症した事例と考えられた.T. theileriの増殖がEBLの病態をさらに進行させたことも可能性として考えられた.
  • 巽 俊彰, 菊 佳男, 市川 隆久, 西 康裕, 高橋 秀之
    原稿種別: 原著
    2011 年 64 巻 12 号 p. 946-949
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    子豚における末梢血中の各種免疫担当細胞の動態及び生産性に対するサトウキビ抽出物(SCE)の効果について検討した.体重30~70kg時の子豚に抗菌性飼料添加物(AGP)無添加の肥育前期用飼料に0.05%のSCEを添加したSCE添加区,AGPを添加したAGP添加区及び無添加区を設け不断給餌󠄀で飼養した.その結果,細胞性免疫の指標となる遅延型過敏反応(DTH)はSCE添加区が他区より有意に高く,CD4陽性細胞率はSCE添加区がAGP添加区より有意に高かった.増体はSCE添加区がAGP添加区と無添加区より高値を,飼料要求率ではSCE添加区が無添加区より低値を示した.以上のことから,SCEの子豚への給与はヘルパーT細胞免疫応答を増強し,宿主の防御能を高めること,並びに生産性を改善させることが示唆された.
  • 小山 毅, 羽生 英樹, 山口 雅紀, 加藤 昌克, 根本 学
    原稿種別: 原著
    2011 年 64 巻 12 号 p. 950-953
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    馬鼻肺炎による流産の診断法として,Loop-mediated isothermal amplification(LAMP)法の応用を検討した.流産胎子58症例の肺と胸腺115検体を供試検体とし,現行診断法の補体結合反応法(CF法)とLAMP法による成績を比較検討した.馬鼻肺炎と診断した24症例から採材した肺と胸腺48検体は,CF法では41検体が陽性,LAMP法では全検体陽性であった.馬鼻肺炎を否定した64検体は,CF法では全検体陰性だったが,LAMP法では62検体が陰性,2検体が陽性であった.不一致の2検体はPCR検査結果から馬鼻肺炎であったことが示唆され,LAMP法の感度,特異性はCF法と同程度かそれ以上と考えられた.また,抗補体反応によりCF法では判定不能だった3検体も,LAMP法では判定可能であった.以上より,LAMP法は馬鼻肺炎による流産の診断法として有用であると考えられる.
  • 芝原 友幸, 柴田 淑子, 小山 朗子, 山田 美那子, 鈴田 史子, 中村 理樹
    原稿種別: 資料
    2011 年 64 巻 12 号 p. 954-956
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
小動物臨床関連部門
  • 河口 雅登, 齋藤 奈美子, 勝川 千尋, 相馬 武久
    原稿種別: 原著
    2011 年 64 巻 12 号 p. 957-961
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    現在わが国で抗ブルセラカニス凝集抗体検査として汎用されている,試験管凝集反応(TA)とマイクロタイター法による凝集反応(MA)を比較するとともに,非特異凝集の原因の一つといわれているヘモグロビン(HGB)濃度と非特異凝集との関係を検討した.TAで陰性(<1:160)であった犬血漿72例はMAでもすべて陰性,陽性46例(≧1:160)はMAでもすべて陽性であった.そして,両法による凝集価(log)は高い相関性を示した(R =0.938).次にSPF犬9頭の全血を人工的に溶血させた血漿成分をさまざまな溶血度合に希釈し,そのHGB濃度とMAによる凝集価(log)との関係を検討したところ,両者は高い相関性を示した(R =0.912).そして,これら希釈溶血血漿のうち,陽性判定基準の1:160以上を示したもののHGB濃度の最低値は0.5g/dlであった.このことからHGBが非特異凝集の 一つの重要な要因であると思われ,溶血サンプル供試時に予め,HGB濃度測定の有用性が示された.
  • 新家 俊樹, 西岡 佑介, 山田 裕貴, 金井 孝夫, 小川 高
    原稿種別: 短報
    2011 年 64 巻 12 号 p. 962-964
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    原発性上皮小体機能亢進症(PHP)に罹患したウェルシュ・コーギー・ペンブロークにおいて血中1α,25-dihydroxyvitaminD[1,25(OH)2D]値を測定した.血中1,25(OH)2D 値はPHP犬で242±55pg/ml(平均±標準偏差,7回測定),健常犬(n=8)では98±30pg/mlであった.PHP犬では,上皮小体腫瘤の切除後に1,25(OH)2D値の低下がみられた.これらの成績より,血中1,25(OH)2D値の上昇が犬のPHP診断に有用である可能性が示唆された.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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