一農家の乳牛19頭について経時的に血液と糞便を採取し, 年間および肝蛭駆虫薬投与後における肝蛭虫卵の検出状況, 沈降抗体価および臨床生化学検査成績の推移を調査し, 次のような結果を得た.
1) 肝蛭虫卵陽性率は, 駆虫薬投与後著しく低下し, 駆虫薬投与後3-5カ月には次第に上昇した.
2) 駆虫薬投与後の沈降抗体価 (幾何平均値) の推移は, 2回の駆虫薬投与 (10, 4月) 後でそれぞれ異なっており, 駆虫薬投与後の幼若虫の存在と関係があることが推察された. 個々の牛における沈降抗体価の変動幅や上昇する時期は, 個体別に異なっており, 一様な変化は認められなかった.
3) 駆虫薬を10月に投与し, その後投与しなかった牛は, 肝蛭虫卵が検出され, それにともなって, α-およびβ-グロブリンの増加, アルブミン,
A/
G比の低下が観察された. また, 個体別の成績で抗体価の上昇があった前後にはグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ (
GOT), α-グロブリンおよび総コレステロールの有意な上昇が認められた.
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