乳房炎を臨床検査およびCMT検査により潜在性, 慢性, 急性および壊疽性乳房炎に分類し, その乳清総蛋白量をそれぞれ測定した結果, 乳房炎の程度にともない乳清総蛋白量が増加した. 潜在性, 慢性, 急性および壊疽性乳房炎の乳清総蛋白量はそれぞれ0.81, 0.90, 2.65および5.09g/d
lであり, 潜在性および慢性乳房炎の95%信頼区間が少し重なるほかはまったく重ならず, それぞれの乳房炎をはっきり区分できた. そこで, 乳清総蛋白量の簡易測定法を次に示す2種類開発した.
1) BPB試験管法 (仮称): 0.2M, pH4.0の酢酸緩衝液0.5m
lに乳汁0.5m
lを混和し遠心 (2,000rpm) 後, 中間層を採取し酢酸緩衝液で10~20倍に希釈する. この液1m
lをBPB試液 (0.2M, pH3.0のクエン酸緩衝液にBPBを0.005%の割合にとかしたもの) 4m
lに加えブランクを対照として610mμで吸光度を測定する.
2) BPB濾紙法 (仮称): 乳清0.5m
lに0.2M, pH4.0の酢酸緩衝液0.5m
lを混和する. この液5μlをマイクロピペットで濾紙 [1%クエン酸溶液にBPBを0.1%の割合にとかし, これに東洋濾紙 (No.6) をひたし風乾したもの] に滴下し標準色調表 (市販のBSAで0.6%, 0.8%, 0.9%, 2.6%および5.1%に調整し, サンプルと同様に操作したもの) の色調および黄色のリングを比較し診断する.
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