動物病院に来院した大阪および中国地方の高齢猫112頭において無作為に血清サイロキシン (T
4) 濃度を測定したところ, 10頭 (8.9%) が4.0μg/d
l以上の高値を示し, 猫の甲状腺機能亢進症 (FHT) と診断した.FHTの猫において, 体重減少, 嘔吐, 食欲低下および頻脈がみられた. すべての猫で甲状腺は触知されなかった. 血液化学検査ではFHTの猫は高い血清ALTとALP値を示した. 本研究ではFHTの発生と食餌の型体との関係は認められなかった. FHTはこの地域においてもまれな疾患ではないと考えられ, 高齢猫で体重減少, 嘔吐, 食欲低下, 頻脈, またはALTおよびALP値の上昇が認められるものは甲状腺機能検査として, T
4の測定を行うべきであることが示唆された.
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