日本における臨床上重要な犬の住血原虫である
Babesia gibsoniの感染状況を知るために,組み換えBgTRAP抗原を用いたELISAにより,2014年3~8月に奈良県,兵庫県,和歌山県及び香川県の動物病院に来院した健康な犬1,905頭について血中
B. gibsoni抗体検査を実施した.その結果,101例(5.3%)が抗体陽性であった.飼育環境,マダニ駆虫薬投薬の有無,ダニ寄生歴の条件では陽性率に有意差は認められず,完全室内飼育例や駆虫薬を投薬した例であってもそれぞれ5.8%及び3.8%が陽性であった.血液学,生化学検査の結果,貧血傾向,白血球数が高値,アルカリホスファターゼが高値の例で有意に高い陽性率であった(
P<0.05).以上の知見はどのような状況や条件の犬でも本原虫の感染リスクがあり,感染例の中には見かけ上健康であっても本原虫の影響を受けている例が少なからず存在していることを示すものである.
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