日本獣医師会雑誌
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45 巻, 9 号
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  • 高瀬 公三, 山元 通孝
    1992 年 45 巻 9 号 p. 639-642
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    全国の10県36養鶏場, 36鶏群由来の糞便202例を供試し, 発育鶏卵卵黄嚢内接種により鶏腎炎ウイルス (ANV) の分離を試みた結果, 16群41例からANVが分離された. クローニングされた15株のうち10株は鶏腎 (CK) 細胞で不明瞭ながらも細胞変性効果 (CPE) を発現したが, 5株は発現しなかった. また, にれらの株の発育鶏卵尿膜腔内接種法による胚に対する病原性は株により異なり, 7株が胚を100%死亡させたが, CK細胞でのCPE発現能との間に相関は認められなかった. さらに血清学的性状を検討したところ, 1978年に分離されたANV G-4260株のグループに2株が, 1988年に分離されたAAF7株のグループに13株が分類された. これらの成績から, ANVの病原性および抗原性に関する多様性が示唆された.
  • 堀 仁美, 納 敏, 一条 茂
    1992 年 45 巻 9 号 p. 643-645
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    25~47日齢のホルスタイン種の子牛12頭に対して酢酸dl-α-トコフェロール (Toc) 1,000mgの液剤と粉剤を経口投与および自然哺乳により投与し, 投与後の血中Toc値の変動を比較検討した. 液剤と粉剤の自然哺乳による投与群と液剤の経口投与群の血中Toc値はほぼ同様の変動パターンを示し, 血清Toc値は8時間目に, 赤血球Toc値は24時間目にそれぞれ最高値となった. いっぽう, 液剤と粉剤の自然哺乳による投与では液剤投与群が有意な高値で推移し, また液剤の自然哺乳による投与と経口投与の比較では自然哺乳群が明瞭な高値での変動を示した.
    以上の成績から, 子牛に対するビタミンE剤の投与では自然哺乳による投与が強制的な経口投与より有効であり, また粉剤より液剤の応用が効果的であることが判明した.
  • 中村 孝, 町田 登, 向井 真, 飯塚 健, 桐生 啓治
    1992 年 45 巻 9 号 p. 646-649
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ロードアイランドレッド種の鶏の雌28例および雄10例について大動脈, 腕頭動脈および坐骨動脈を病理組織学的に検索した. 内膜病変は細胞性内膜肥厚, 線維性内膜肥厚, ならびにその両者の中間型からなっていた. 質的・量的に内膜病変の発生頻度は坐骨動脈で最も高く, 腹大動脈の腹腔動脈の分岐部直前, 腕頭動脈, 胸大動脈遠位部, 大動脈弓の順に漸次低下した. 中膜病変は主に坐骨動脈と腹大動脈の腹腔動脈分岐部直前で観察され, 水腫性粗霧化ならびに膠原線維および弾性線維の増生からなっていた. 検索部位別にみた内膜病変の発生頻度は, これまでの褐色レグホン種ならびに七面鳥における所見とほぼ一致していた.
  • 宇野 健治, 武居 和樹, 布藤 雅之, 谷 浩
    1992 年 45 巻 9 号 p. 650-654
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1989から1990年にかけて滋賀県内の別々の農場で飼育されていた3頭の子牛が粘血性下痢を呈し, それぞれ, 5, 11および17日齢で死亡した. 死亡した子牛は腸管接着性微絨毛消滅性大腸菌 (AEEC) 感染症と診断された. 主な剖検所見は小腸および大腸粘膜の充血と, 腸間膜リンパ節の充血および腫大であった. 病理組織学的には回腸から直腸にわたって粘膜表面に多数の短桿菌の付着を伴ったカタル性腸炎が認められた. 電子顕微鏡検査では菌が付着した腸粘膜上皮細胞において微絨毛の消失が観察された. また, 免疫組織化学的検査により各症例の腸管粘膜に付着した菌はそれぞれO26, O119およびO111抗原を有していた. この調査により, これまでわが国では発生報告が少なかった牛のAEEC感染症が野外において散見されることが示された.
  • 岡田 望, 村上 覚史, 三輪 律子, 原 康弘, 村嶋 孝志, 伊藤 尚志, 岡崎 好子, 山口 剛士, 平井 克哉
    1992 年 45 巻 9 号 p. 655-659
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1990年, 1養豚場で豚の流行性流産が発生した. 妊娠末期の流産胎子では皮膚に浮腫を伴った全身性の出血斑が観察された. 剖検では血様を帯びた胸水および腹水の増量, 肝臓の腫大, 心臓の出血斑およびリンパ節の腫大がみられた. しかし, 妊娠中期から後期の流産胎子には著変はみられなかった. 病理組織学的には非化膿性脈絡髄膜炎, 肝細胞の変性と壊死, 心内膜炎および心外膜炎, 血管炎が認められた. 免疫組織学的には, これらの病変に浸潤した単核細胞, 肝細胞および胎盤栄養膜上皮細胞にクラミジア封入体が確認された. また, 流産胎子からChlamydia psittaci (C. psittaci) が分離され, C. psittaci抗体検査では飼養豚が抗体陽性を示した. いっぽう, 豚に流産を起こす病原体に対する血清学的および病理学的な検索では有意な所見は得られなかったことから, 本流産はクラミジアによることが確認された.
  • 1992 年 45 巻 9 号 p. 660-670
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 9 号 p. 671-676
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 直之, 伊藤 さや子
    1992 年 45 巻 9 号 p. 680-682
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Babesia gibsoni (B.gibsoni) 感染症に伴う赤血球の浸透圧脆弱性の変化を明らかにするため, B. gibsoniの自然感染犬16例および対照として非感染犬6例の末梢血液を用いて検討した. その結果, B. gibsoniの自然感染犬16例の0.5%緩衝食塩液 (pH 7.4) における赤血球の浸透圧脆弱性は対照犬に比較して有意に亢進していた (p<0.001). B. gibsoni感染犬における亢進した赤血球の浸透圧脆弱性は治療による原虫の消失とともに対照犬の値にまで低下した.
    以上のことから, B. gibsoniの感染に伴う赤血球の浸透圧脆弱性の亢進が示唆された.
  • 志鷹 秀俊, 前田 博, 澤嶋 裕子, 澤嶋 効
    1992 年 45 巻 9 号 p. 683-686
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    原発性脾機能亢進症のため脾臓摘出手術を受けた12歳, 去勢済雄の雑種犬が手術から17カ月後に下顎リンパ節の腫大と皮膚の結節性病変を発現した. 摘出したリンパ節の病理組織学的検査では異型リンパ球の巣状増殖が認められた. 皮膚病変はプレドニゾロン, サイクロフォスファミド, ビンクリスチンの3剤併用による化学療法で一時的に寛解したが, 下顎リンパ節の腫大と皮膚病変が再発し, 治療開始213日目で死亡した. 剖検時の病理組織学的検査により, 本例は表皮親和性の高い多中心型悪性リンパ腫と診断された.
  • 1992 年 45 巻 9 号 p. 687-689
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 荒島 康友, 河野 均也, 池田 忠生, 最上 義仁, 浅野 隆司, 保刈 成男, 高岡 正敏, 中澤 清明, 方波見 重衛
    1992 年 45 巻 9 号 p. 694-697
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    埼玉県におけるライム病Lyme disease (LD) の伝搬動態を知る目的で, 県内の犬 (175頭) のBorrelia burgdorferiボレリア抗体価をELISA法により測定した. その結果, カットオフ値を越えるものが175頭中22頭 (12.57%) に認められた. 地区別では県北部と県南部の検体が陰性対照群に比し有意に高値を示した. これらの地区は森林が多いことから, マダニによる暴露の可能性が高いためと思われた. 雌雄別, ワクチン接種の有無, 猟犬と他の犬についての間には抗体価に有意差は認められなかった. マダニ咬傷歴のある犬とない例とには有意差が認められた.
    以上のことから, 埼玉県下の犬にもボレリアが感染していることが示唆された. また, 犬が保菌宿主としての可能性が高いことから, 今後ともマダニの分布状況, ボレリア保菌率等について調査を行うことも必要と考える.
  • 1992 年 45 巻 9 号 p. 698-701
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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