腹窓設置馬3頭について, 大腸 (左腹結腸, 骨盤曲, および小結腸) の運動を観察したところ, つぎの所見がえられた.
1. 各部位にわたって, 総蠕動が存在する.
2. 総蠕動以外に下記の運動が認められた.
左腹結腸: 膨起流に類似する蠕動 (主として尾側に伝播する).
骨盤曲: 分節を形成する運動.
小結腸: 伝播性の短い蠕動。
3. 各部位の運動周期は, 総蠕動, 静止期, および上記2の運動の, 3段階で構成される.
4. 総蠕動は主として内容の強力移送に, そのほかの諸運動は内容の混合, 小距離移送, さらに糞塊の形成に関与する. 殊に小結腸のそれは, 明らかに糞塊を形成する運動である.
5. 排糞時には, 必らず小結腸の総蠕動が発現する.
なお御懇篤な御指導を賜わった, 東大大久保義夫教授および腹窓手術を担当された, 本学渡辺茂, 田代哲之, 並びに観察に協力された長野慶一郎の諸氏に深甚の謝意を表します.
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