1994~2004年のブルータングウイルス (BTV) 疫学調査の結果, 1997, 1999, 2000および2001年にウイルスの流行が認められた. VP3遺伝子を標的とするPCRの結果, 1997, 1999年採材おとり牛血球から遺伝子が検出され, 2001年の血球からBTV (OKB01株) が分離された. 交差中和試験の結果, 分離株は, 既知のON89-1株 (BTV21) とは血清型が異なることが示唆された. OKB01株およびON89-1株を用いて, 浸潤度調査を中和試験と競合ELISAによって行った結果, 1999年と2001年にはOKB01株と類似するウイルスが, 1997年には両株とは血清学的に異なるBTVの流行が判明した. 分子系統樹解析の結果, 1997年検出遺伝子は1999年および2001年とは所属するクラスターが異なっており, 岡山県では過去8年間に, 従来の日本分離株とは遺伝学的および血清学的に異なる少なくとも2種類のBTV流行があったことが推測された.
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