日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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64 巻, 5 号
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 柿沼 清市, 大塚 浩通, 大前 佳穂里, 綾部 杏子, 柿沼 元治, 今内 覚, 及川 正明
    原稿種別: 原著
    2011 年 64 巻 5 号 p. 375-380
    発行日: 2011/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    牛白血病ウイルス(BLV)感染牛群における免疫状態を明らかにするため,BLV 高率感染農場における疾病発生を調査し,BLV感染牛群の白血球ポピュレーションを解析した.牛群の80%以上がBLV遺伝子検査(Nested-PCR法)にて陽性のBLV高率感染農場は,すべてが陰性の未感染農場に比べて,消化器,代謝疾患の発生件数と,その診療回数が多かった.分娩後240日以内の経産牛のうち,BLV遺伝子検査にて陽性のBLV感染牛18頭(A群)と,陰性の未感染牛23頭(B群)の白血球ポピュレーションを解析した.A群のMHCクラスⅡCD14B 細胞数,CD14単球数,WC1-N1γδT細胞数は,B群に比べて有意に多かった.CD335NK細胞数は,B群に比べて低い傾向がみられた.BLV感染牛群は,免疫異常状態を示し,消化器,代謝疾患の発生に対するリスクが高まる可能性がある.
  • 佐々木 羊介, KABALI Emmanuel, 芝原 友幸, 小林 秀樹, 清水 稚恵, 森田 大輔, 久保 正法
    原稿種別: 短報
    2011 年 64 巻 5 号 p. 381-384
    発行日: 2011/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    重度の削痩が認められた30日齢の離乳豚を剖検したところ,線維素性胸膜肺炎がみられた.病理組織学的に,肺胸膜,心外膜および腎臓髄質に多数の壊死巣が認められ,その周囲を核が伸長した好中球が層状に取り巻く像が確認された.これらの病変部にはグラム陰性菌塊が認められた.同様の病変は肝臓,脾臓,腸間膜および大脳にも認められた.免疫組織化学的に,このグラム陰性桿菌は抗Actinobacillus suis血清に対して陽性反応を示した.病変部から病原菌の分離培養ができなかったため,ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片からDNAを分離した.16S rRNA遺伝子の一部を増幅・塩基配列解析した結果,分離したDNAはA. suisと高い相同性がみられた(100%の相同性,650bp比較).以上の成績から,A. suisがこの子豚に壊死性胸膜肺炎,心外膜炎および腎炎を引き起こしたと考えられた.
小動物臨床関連部門
  • 久楽 賢治, 浅野 和之, 北川 勝人, 伊藤 大介, 手島 健次, 中山 智宏, 亘 敏広, 田中 茂男
    原稿種別: 原著
    2011 年 64 巻 5 号 p. 385-389
    発行日: 2011/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    小型犬のCTにおける造影剤の体内動態について49頭の犬を対象とし,造影剤投与量,投与時間,留置針径における条件別に5群に振り分けて検討した.動脈では,平均輝度上昇開始時間(Tup)はすべての群において12秒前後でみられたが,最大輝度到達時間(Tpeak)とその時のハンスフィールド値(HU)は,群によって異なった.後大静脈におけるTupは20秒前後に現れ,Tpeakは33~39秒に集中していた.門脈のTupは22秒前後に現れ,Tpeakは40~45秒に集中していた.後大静脈と門脈の最大輝度のHUは投与量に依存していた.本研究におけるデータは体重や心拍数と相関しなかった.今回の研究のプロトコールを使用することによって,小型犬の造影CTの増強効果を客観的に評価できることが示唆された.
  • 高島 諭, 大場 恵典, 渡邊 一弘, 児玉 篤史, 酒井 洋樹, 高木 充, 北川 均
    原稿種別: 短報
    2011 年 64 巻 5 号 p. 390-393
    発行日: 2011/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    嘔吐がみられた10カ月齢のフレンチ・ブルドッグにおいて,超音波検査により腹腔内腫瘤が認められた.試験開腹を行ったところ,胃内異物とともに胃と膵臓の境界において直径約2cmに腫大したリンパ節,さらに肝臓に散在する白色結節性病変が確認された.腫大リンパ節と肝臓の病変結節は,病理組織学的検査によりT細胞性リンパ腫と診断された.1歳未満の犬におけるT細胞性リンパ腫の報告はない.若齢犬においてもリンパ腫の発症を考慮する必要がある.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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