日本獣医師会雑誌
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39 巻, 11 号
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  • 江口 正志
    1986 年 39 巻 11 号 p. 679-686
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 田浦 保穂, 祝迫 正樹, 浜名 克己
    1986 年 39 巻 11 号 p. 687-692
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    黒毛和種牛14頭 (0日-362日齢) について, 頭部の画像診断法による検査を行った. これらのうち, 臨床症状より中枢神経系の異常が疑われたものは9例で, ほかの5例はその疑いのないものである. 画像診断は, (1) 超音波診断法, (2) 脳血管撮影法および, (3) 空気脳室造影法の3種類を用い, 検査の順序は生体に侵襲の少ない (1), (2), (3) の順に各症例に適した方法を選択した. その結果, 水無脳症と診断されたものは4例で, ほかの10例は水無脳症ではなかった. 病理解剖所見との的中率は, (1) の方法で83%(5/6), (2) の方法で75%(6/8), (3) の方法で100%(8/8) であった. これらの画像診断法による総合判定の結果は100%(14/14) の的中率であり, この種の診断法の有用性が確認された.
  • 山田 裕, 岩淵 成紘, 古郡 浩
    1986 年 39 巻 11 号 p. 693-697
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    鉄欠乏性貧血に対するグレプトフェロンとデキストラン鉄の治療効果を, 平均体重9kgの子豚24頭を用いて比較検討した.
    試験区 (n=18) には鉄欠乏飼料を, 対照区 (n=6) には鉄欠乏飼料にフマール酸第1鉄を200ppm添加して給与した・試験開始後21日目に試験区を3区に分け, そのうちの2区にはグレプトフェロンあるいはデキストラン鉄を鉄として200mg筋肉内注射し, ほかの1区は無処置とした. 臨床所見は鉄欠乏飼料給与開始から35日間観察し, この間7日間隔で採血と体重測定を実施した.
    試験区は赤血球数, ヘマトクリット値, ヘモグロビン量, 血清鉄および血清フェリチン量の低下, 総鉄結合能の増加, 赤血球の小球性低色素性変化などが認められ, 開始後21日目には典型的な鉄欠乏性貧血を発症した.
    グレプトフェロン注射により赤血球数, ヘモグロビン量, 血清フェリチン量が有意に増加したが, とくに無処置区に比べ赤血球数, ヘモグロビン量, ヘマトクリット値, 血清鉄濃度および血清フェリチン量が上昇した. これに対して, デキストラン鉄の注射により赤血球数, ヘマトクリット値, ヘモグロビン量および血清鉄が増加したが, 無処置区との比較ではヘモグロビン量, 血清鉄濃度に上昇がみられたのみであった.
    以上の成績から, グレプトフェロンはデキストラン鉄より鉄の吸収・利用・貯蔵が効率的に行われると考えられた.
  • 黒木 洋, 秋葉 和温, 三浦 康男, 久保 正法, 後藤 義之, 寺尾 泰子
    1986 年 39 巻 11 号 p. 698-703
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1984年6月から12月の間に家畜衛生試験場九州支場 (鹿児島市) の牛舎内でヌカカ科のCulicoides (C) 属の昆虫 (ヌカカ) を採取し, 分類後, 種類別にウイルス分離を試みた. その成績は次のように要約される.
    1) 採取されたヌカカの種類は13種類であったが, このうち, C.arakawae, C.oxystoma, C.punctatus, C.maculatus, C.jacobsoniの5種類が主であり, とくにC.oxystomaが優勢種であった.
    2) ウイルス分離は, C.oxystoma, C.punctatus, C.maculatus, C.jacobsoniの4種類について試みたところ, 11月5日と7日に採取したC.mystoma (ウシヌカカ) の各混合材料から, 計2株の同一抗原性のウイルスが分離された.
    3) 分離ウイルス (KC-05Y84株) は, 電顕学的所見および理化学的性状から, レオウイルス科オルビウイルス属の一員であることが判明し, 日本においてウシヌカカからのオルビウイルスの分離が初めて確認された.
    4) KC-05Y84株は, オルビウイルス属の流行性出血病サブグループ (イバラキウイルス) およびブルータングサブグループ (ブルータングウイルス20型) のウイルスとは, 寒天ゲル内沈降反応により区別された.
    5) 上述の牛舎内で飼育された2頭のおとり牛について, 8種類の節足動物媒介性ウィルス (アルボウイルス) に対する抗体陽転の有無を調べた. アイノウイルスに対しては10月1日と15日, アカバネウイルスに対しては11月1日, KC-05Y84株に対しては11月15日に, いずれも中和抗体の陽転が認められた. しかし, 牛流行熱, イバラキ, ゲタ, 日本脳炎およびブルータングウィルス1型の各ウイルスに対する抗体陽転は認められなかった.
  • 横峯 弘, 平 詔亨
    1986 年 39 巻 11 号 p. 704-708
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1985年5月, 開設後7ヵ月の一醗酵オガクズ豚舎の肥育豚に急性豚鞭虫症が発生し, 79頭中6頭が死亡した.発生時のオガクズの検査では, すべての豚房から含子虫卵を含む発育過程にある豚鞭虫卵が検出された.畜主はオガクズを取り替えることなしにそのまま次の子豚を導入することとしたため, この導入豚を対象としてM剤添加群とF剤投与群を設定し, 豚鞭虫症の発症予防試験を行った.前者は鞭虫の感染そのものを防止することを期待し, クエン酸モラソテル (M剤) 30ppmを混ぜた飼料で飼育する群とし, 後者はフルベンダゾール製剤 (F剤) 1日1回10mg/kgとして2資連続投与を, 14日間隔で繰り返えして投与する群であった.
    試験期間中すべての豚房のオガクズから多数の豚鞭虫卵が検出されたが, M剤添加群および計画どおり投薬したF剤投与群では発症豚は認められなかった.ところが, F剤投与群のうち第4回目の投薬を省略した3豚房中2豚房において第3回目投薬後17日目よりあわせて20頭中7頭が発症した.今回の実験成績は, フルベンダゾールの定期的応用ならびに30ppmクエン酸モランテル添加飼料が, オガクズ豚舎での豚鞭虫感染による発症に対して予防的な効果があったことを示唆する.
  • 相磯 正幸
    1986 年 39 巻 11 号 p. 711-717
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    実験的サルモネラ感染マウスにおける排菌阻止あるいは, 排菌率の低下を目的として, 抗菌剤および有胞子製剤の投与効果について検討した.
    1) 抗菌剤ABPcおよびNAの抗菌作用の比較では, 両剤とも3用量 (20, 100, 500mg/kg) 間の排菌阻止効果に有意差は見出し難く, NAに比べてわずかにABPC投与群に排菌阻止効果が高い傾向を示した.
    2) ABPCの投与法のちがいによる排菌阻止効果では, ABPC2~4日間連続投与区分に有意差はみられなかったが, 1日当たりの投与回数が多いほど排菌阻止効果の持続が顕著であった.
    3) ABPcと有胞子製剤ToyocerinまたはLacbon併用投与では, ABPc500mg/kgを1日4回2日の単独投与群に比べて, ABPCとToyocerinまたはLacbonの107個1日2回併用投与群に排菌阻止がみられ, 少なくともABPC単独投与に比べて併用群では5日ないしそれ以上の排菌阻止期間の延長が認められた.
  • 樽見 千利, 安田 充也, 森 昌弘, 増田 裕
    1986 年 39 巻 11 号 p. 718-720
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ハロセン麻酔下のビーグル犬で, 非観血的方法 (間接法) によって得られる血圧値を観血的方法 (直接法) による血圧値と比較した. 間接法に超音波ドプラー効果を応用した装置を用い, 直接法にはポリグラフを用いた. 血圧をノルアドレナリンで上昇させ, またアセチルコリンで下降させ, 間接法 (x) と直接法 (y) の相関を検討した. 回帰直線はy=0.96x+5.9, 相関係数は0.992であり, 両測定値に高い相関が認められた.
  • 諏訪 隆彦, 御領 政信, 梅村 孝司, 藤原 三男, 板倉 智敏
    1986 年 39 巻 11 号 p. 721-723
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    妊娠6ヵ月齢の牛流産胎子を病理学的に検索した. 主病変は脳全域に散在性に認められた結節性病巣で, これはグリア細胞増殖と神経細胞あるいは神経網の壊死で構成されていた. 病巣内には, 形態学的にToxoplasma gondiiのcystおよびtachyzoiteの特徴を示す虫体が認められた.
  • 町田 登, 瀬戸 亮一, 安田 準, 戸尾 棋明彦
    1986 年 39 巻 11 号 p. 724-727
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    イヌの血管肉腫の3症例について, その血液ならびに血清生化学的検査所見を比較検討した. これらの肉腫はそれぞれ心臓, 脾臓および皮下組織に原発したものであり, 白血球増多, 血清総ALPとCPK活性の上昇が全例に認められた. しかし, イヌの血管肉腫では重要な所見の1つとされている貧血は心臓原発血管肉腫の1例にみられたのみであった. 白血球増多および血清総LDH活性上昇の程度は腫瘍の転移あるいは組織侵襲の度合と概ね一致するものであり, また, 心臓および脾臓原発例のCPK-MBおよびCPK-MM活性の上昇はそれぞれ, 右心房と大腿部骨格筋における腫瘍の増殖, 組織侵襲に伴う筋線維の変性・壊死によるものと考えられた.
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