著者は
Cysticercus fasoiolarisにおいて, 2例の異常型を見いだした.
第1例は, 虫体片節の外側方に出芽した7個の突出部を有するものであり, 最大の突出部において片節構造および排泄管を認め得た.
本異常型の発生機序について考えると, 胞内幼虫の各片飾は, 頸部に存在する成長帯と同一の性質を有し, ある種の刺激によってここに分化がおこり, 突出部の発生, さらに片節の形成がもたらされたものと思われる.
第2例は有柄型
C. fasciolarisであり, 胞内幼虫は正常であった. これから発生した嚢虫は, 発育に伴って肝表面に膨出し, さらに発育を続ける嚢胞は, その胞内幼虫などの負重によって, 肝を離れ, 肝被膜および結合組織によって腹腔内に懸垂するにいたったものと解釈される.
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