日本獣医師会雑誌
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62 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
日本産業動物獣医学会誌
  • 大塚 健史, 佐々木 直樹, 山田 一孝, 神尾 恭平, 古岡 秀文, 吉田 真郷, 山田 明夫
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 11 号 p. 871-874
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    サラブレッド種の子馬に,出生時より両眼球の形成異常が認められた.超音波検査では,角膜および水晶体などの眼球構造が不明瞭であり,硝子体腔に等エコー像が観察された.Computed tomography(CT)検査では,硝子体腔に高CT 値を示す組織が散見された.肉眼的には水晶体欠損および瞳孔上の乳白色結節が確認された.組織学的検査により,水晶体,硝子体,脈絡膜,網膜などの正常眼球組織の欠損と,軟骨や腺などの異所性組織形成が眼球内に確認された.以上のことから,超音波検査とCT検査は本症例の生前診断に有用であった.
日本小動物獣医学会誌
  • 宇野 雄博, 濱地 量久, 岡本 健太郎, 尾中 千春, 藤田 桂一, 山村 穂積, 酒井 健夫
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 11 号 p. 875-881
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    犬の点滴静注胆道造影CT検査におけるイオトロクス酸メグルミンの投与量と経時的な胆道系のCT値や胆嚢容積の変化および三次元CT(3D-CT)画像での胆道系の描出グレードを調べ,造影剤の投与量と投与後最適撮像時間について検討した.造影剤は1ml/kg(2例),1.5ml/kg(5例),2ml/kg(5例),および2.5ml/kg(1例)を10分間で静注し,投与前と投与直後から10分間隔でCT検査を行った.その結果1ml/kg では胆道系の描出が不十分であった.1.5ml/kgに比較して2ml/kgでは胆道系のCT値の増加は限られていたが,3D-CT画像での胆道系の描出は2ml/kg でより明瞭であった.胆道系は造影剤投与終了から20 ~40分後の撮像で良好に描出された.したがって麻酔下の健康犬のDIC-CT検査は2ml/kgのイオトロクス酸メグルミンを10分間で静注した場合,投与終了から20~40分の撮像が適当と考えられた.
  • 宮本 忠, 石井 遥
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 11 号 p. 882-885
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    2007年1月から2009年2月までに当院に来院した犬28頭および猫7頭の病変材料からメチシリン耐性Staphylococcus intermedius group(MRSIG)が分離された.MRSIGは皮膚から18例,皮下膿瘍から7例,眼分泌物から5例,尿から2例,耳垢,鼻汁および膣分泌物からそれぞれ1例分離された.35症例中33症例(94%)は過去に抗生物質の投与歴があった.分離されたMRSIG はクラブラン酸・アモキシシリン,セファレキシンおよびセフジニルに対してすべて耐性で,ゲンタマイシンには80%が耐性,オフロキサシンには74%が耐性であった.いっぽう,MRSIGはドキシサイクリンにはすべて感受性で,クロラムフェニコールには46%が感受性,ホスホマイシンには34%が感受性であった.これら感受性のある薬剤を用いると91%の症例が治癒または改善したため,in vivoにおいてもこれら薬剤は有効であることが示唆された.
  • 川角 浩, 宍戸 真央, 天尾 弘実
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 11 号 p. 886-889
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    17匹のチンチラ(Chinchilla laniger)を飼育している施設において,同時期に角膜炎,および脚部脱毛症が各1匹自然発生し,病変部より黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が純培養状に分離された.薬剤感受性試験の結果をふまえ角膜炎の個体は,ニューキノロン系抗生物質と角膜潰瘍改善薬を1日5回5日間点眼後,ビタミンB2点眼剤と角膜潰瘍改善薬を1日2回34日間投与することで,また脱毛症の個体はニューキノロン系抗菌塗布薬を1日1回4日間用いることにより,病変は完全に治癒しS. aureusも検出されなくなった.以上のことより,チンチラにおいてS. aureus関与による角膜炎および脚部脱毛の自然発生が確認され,薬剤感受性試験結果をふまえての今回の治療は有効であることが示された.
  • 福井 翔, 田村 純, 小松 崇弘, 渡部 あい, 平山 和子, 谷山 弘行, 廉澤 剛
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 11 号 p. 890-893
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    大型犬の鼻腔腫瘍に対してオルソボルテージによる放射線療法に加え鼻腔内焼灼などの補助療法を併用した.1症例は放射線療法に経鼻孔超音波吸引と経鼻孔焼灼を行うことで完全奏功に導くことができ,もう1症例は放射線療法と経鼻孔焼灼後に鼻腔背側に限局した病巣を根治的に外科的切除することで完全奏功に導くことができた.ともに1年以上経過したが,再発は認められず生存中である.
日本獣医公衆衛生学会誌
  • 横山 敦史, 山﨑 知絵, 清島 綾子, 山口 佳苗子, 前田 宏昭, 多田 俊助
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 11 号 p. 895-897
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    と畜場に搬入された福岡県産の通常肥育豚120頭(13農場)についてE型肝炎ウイルス(HEV)に対する抗体およびHEV遺伝子保有状況を調査した.その結果,IgG抗体は12農場73頭(60.8%),IgM抗体は2農場2頭(1.6%)で陽性を示した.HEV遺伝子は3農場5頭(4.1%)で検出された.肥育豚は通常,育成期にHEVに感染し,出荷時にはすでに感染耐過し,遺伝子は検出されない.しかし,今回IgG抗体陰性豚から遺伝子が検出されたことより,と畜場に搬入された肥育豚の中に出荷直前にHEVに感染した事例の存在が示された.
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