日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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62 巻, 12 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
日本産業動物獣医学会誌
  • 高橋 真紀, 清宮 幸男, 佐藤 千尋, 佐々木 家治, 熊谷 芳浩, 井戸 徳子, 小根口 徹
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 12 号 p. 941-945
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    18から23日齢時まで給水が著しく制限された1鶏群の7,100羽中1,481羽(21%)が,21から26日齢時までに食欲不振および沈鬱を示して死亡した.死亡率は給水制限後5および6日目に最も増加し,制限解除後に急速に減少した.計29羽の23日齢の病鶏を検索した.検索した21羽の血清尿酸濃度は11~500mg/dl の範囲で上昇し,検索した14羽のすべての腎臓に尿酸塩が沈着していた.後者の14羽から赤血球凝集ウイルスは分離されず,伝染性気管支炎ウイルス遺伝子も検出されなかった.給水制限解除後4日目の鶏11羽の血清尿酸濃度は3.2~12.5mg/dl の範囲まで低下し,同6羽の諸組織に尿酸塩は沈着していなかった.以上の結果から,検索した23日齢の鶏29羽はすべて内臓痛風と診断された.この鶏群では,給水制限に起因する脱水およびこれに続発した内臓痛風により死亡鶏が多発したと推察された.
日本小動物獣医学会誌
  • 三輪 恭嗣, 保阪 盛次, 佐々木 伸雄
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 12 号 p. 947-951
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    2006年11月から2008年4月の間に動物病院に来院したフェレットの疾病発生状況を調査した.その結果,198頭のフェレットに261疾患が確認された.疾患としては内分泌疾患(34.9%),消化器疾患(17.6%),皮膚疾患(10.3%)などの発生率が高く,泌尿器系,血液・リンパ系疾患がそれに続いた.疾患別では副腎疾患(24.5%),インスリノーマ(10.0%),下痢(6.5%)などの発生率が高く,耳ダニ,腎疾患がそれに続いた.また,腫瘍性疾患の発生率が高い傾向にあった.各疾患の発生年齢には差がみられ,内分泌疾患は中~高齢で,耳ダニは1歳未満の若齢時に,下痢は1歳未満と中~高齢にかけて発生率の増加がみられた.
  • 坂田 義美, 市川 康明, 猪熊 壽
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 12 号 p. 952-955
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    犬のE. canisおよびA. phagocytophilum感染状況を明らかにするため,従来法である蛍光抗体法(IFA),および組換え主要膜表面蛋白質を抗原とした酵素抗体法を原理とする新規の特異抗体検出キットを組合せて全国的血清疫学調査を行った.IFAによるスクリーニング検査では1,206検体中64頭(5.3%)がE. canis 20倍以上の抗体価を示したが,これら64頭は特異抗体検出キットではすべてE. canis陰性であり,E. canis以外の近縁種に感染していたと考えられた.いっぽうIFAでA. phagocytophilum に対して20倍以上の抗体価を示したものは1,206検体中3頭(0.2%)であった.うち1頭は特異抗体検出キットでもA. phagocytophilum陽性を示し,日本にもA. phagocytophilumに感染した犬がいることが示唆された.しかし,抗体陽性犬に臨床症状は認められず,病原性との関連は不明であった.
  • 宇野 雄博, 岡本 健太郎, 尾中 千春, 藤田 桂一, 山村 穂積, 酒井 健夫
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 12 号 p. 956-961
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    一年前に胆石を伴った胆囊炎の病歴がある5歳3カ月齢のミニチュア・ダックスフントが食欲不振と嘔吐を主訴に来院した.点滴静注胆道造影CT検査(DIC-CT)を含む各種検査により,胆囊に胆汁が流入していないことが判った.また,胆囊壁の肥厚と胆囊内を占拠する層状の内部構造を持った胆石が認められた.精査の結果から胆囊を摘出した.胆囊内と胆囊外壁周囲の細菌学的検査ではE. coliEnterococcus sp.が分離された.E. coliは薬剤感受性検査から基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌であることが疑われた.症例は術前からファロペネムナトリウムの投与を行い,術後は良好に経過した.DIC-CT は胆囊胆管系の描出に優れ,画像を用いての飼い主への説明に有用であった.胆石を伴う胆囊炎は,胆囊炎の再発防止のため積極的に外科的治療を考慮する必要があると考えられた.
日本獣医公衆衛生学会誌
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