犬の
E. canisおよび
A. phagocytophilum感染状況を明らかにするため,従来法である蛍光抗体法(IFA),および組換え主要膜表面蛋白質を抗原とした酵素抗体法を原理とする新規の特異抗体検出キットを組合せて全国的血清疫学調査を行った.IFAによるスクリーニング検査では1,206検体中64頭(5.3%)が
E. canis 20倍以上の抗体価を示したが,これら64頭は特異抗体検出キットではすべて
E. canis陰性であり,
E. canis以外の近縁種に感染していたと考えられた.いっぽうIFAで
A. phagocytophilum に対して20倍以上の抗体価を示したものは1,206検体中3頭(0.2%)であった.うち1頭は特異抗体検出キットでも
A. phagocytophilum陽性を示し,日本にも
A. phagocytophilumに感染した犬がいることが示唆された.しかし,抗体陽性犬に臨床症状は認められず,病原性との関連は不明であった.
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