狂犬病予防液の乾燥製剤化について実験を行い, 次のような知見が得られた.
1) 乾燥月源乳剤の調製こおいて, 2, 3の考察を行った. すなわち, 溶媒に蒸溜水を用い, ホルマリン不活化後, 重亜硫酸処理により, 乾燥操作および乾燥後におけるホルマリンの影響を防止することができた.
2) 乾燥条件を検討したところ, 常温から50℃の範囲の温度で, 17~22時間乾燥を行った場合, 好結果が得られた.
3) 乾燥予防液は, 高度の感染防禦力を有し, 常温あるいは37℃に長期保存 (24ヵ月) しても, なお, 高度の感染防禦価を維持することが解った.
4) 乾燥予防液は附属溶解液をもって溶解後, 5℃~37℃に保存した場合は, 期間は短くとも96時間までは, 高度の感染防禦価を維持することが解った.
5) モルモット, マウス, 家兎および犬を用いて, 安全試験を行ったが, その結果, なんらの臨床的症状も認めることはできなかった.
以上により, 乾燥予防液は, 有効期間の延長, 保存条件の簡易化という諸点で, 従来の狂犬病予防液に優れていると考えられる.
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