日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
53 巻, 6 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 浅井 鉄夫, 森 正史, 新沼 伸吾, 大角 貴章, 小田切 雪香, 林 洋一, 北島 克好, 平井 秀敏
    2000 年53 巻6 号 p. 363-366
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1998年8月~99年3月に, 32県207農場から採取された豚血清5, 535検体を用いて酵素免疫測定法 (ELISA) により豚繁殖・呼吸障害症候群 (PRRS) ウイルスに対する抗体検査を実施した. 検査した農場には, ワクチン接種農場も含まれていたが, 207農場中137農場 (66.2%), 5, 535検体中1, 910検体 (34.5%) が抗体を保有していた. 今回の成績から, 国内における最近のPRRSの浸潤状況が明らかとなり, 本病の汚染が拡大していることが示唆された.
  • 清水 基博, 井上 勇, 浅野 紘臣
    2000 年53 巻6 号 p. 367-371
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1996年6月23日~1997年1月11日に, 秋田県, 神奈川県 (3群), 京都府, 島根県, 高知県および鹿児島県の6府県で, アイガモ農法として放飼されていたアイガモ8群計53羽について, 糞便検査および消化管内寄生虫検査を行った.糞便検査では神奈川県の23日齢, 27日齢および65日齢からコクシジウムのオーシストが検出され, 形態学的特徴からEimeria anatisと同定された.また秋田県の118日齢, 神奈川県の65日齢および鹿児島県の82日齢よりCapillaria属の虫卵が検出された.消化管内寄生虫検査では, Pseudechinostomum incoromatumおよびEchinostoma属吸虫が神奈川県の2群 (2/20羽, 1/5羽), Apatemon属吸虫が神奈川県の3群 (4/5羽, 7/20羽, 1/4羽), 京都府 (1/5羽) および鹿児島県 (2/6羽) から, Fimbriaria属条虫が神奈川県の3群 (1/5羽, 4/20羽, 2/4羽) から, また鹿児島県の6羽中4羽からCapillaria anatisおよび2羽からCapillaria nyrocinarumが検出された.
  • 内布 幸典, 石橋 和樹, 横山 敦史, 川鍋 真里, 高木 英二
    2000 年53 巻6 号 p. 372-376
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1997~98年に福岡県内の酪農家9戸9例にイバラキ病が発生した. 1998年の発生例は, 7月と9月の2戸2例である. 発症牛は, すべてイバラキ病ワクチン未接種で, イバラキウイルス (IBAV) 中和抗体が全例から検出され, 1例の洗浄赤血球からIBAVが分離された. また, 8~11月に発生した流死産胎子6例および虚弱子牛3例からIBAV抗体が検出され, IBAVの流行が認められた. 1997年と1998年の分離ウイルスは, 交差中和試験およびPCR-RFLPにより, 同一タイプのIBAVと同定された. 県内で同一タイプのIBAVが2年連続して流行したこと, ならびに1998年の九州におけるイバラキ病の発生が福岡県のみであったことから, 1997年の流行ウイルスが県内で越冬し, 1998年にも流行した可能性が推察された.
  • 福冨 豊子, 奥田 宏健, 明石 博臣, 小澤 清一郎, 多田 幸四郎, 萱原 佳美
    2000 年53 巻6 号 p. 377-382
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1998年8~10月に岡山県下でアカバネウイルス (AKV) とアイノウイルス (AIV) に対し, それぞれ未越夏おとり牛の89.9%, 46.4%に抗体陽転が認められた. 9月上旬以降アカバネ病が102例, AIV感染症またはAKVとの混合感染が疑われる症例が34例発生した. nested PCRにより遺伝子検索を行ったところ, 8月および9月下旬に採取したおとり牛血清から両ウイルス遺伝子が, 9月下旬~12月上旬に発生した流死産胎子および生後感染子牛からAKV遺伝子が検出された. また, 9月採血のおとり牛血漿からAIVが分離された. 先天異常が好発するAKVおよびAIV感染時胎齢はそれぞれ2~9カ月, 3~6カ月と推定された. なお, nested PCRは両ウイルス病の疫学調査ならびに迅速診断に有効であった.
  • 奥田 宏健, 大内 紀章, 福冨 豊子, 多田 幸四郎, 萱原 佳美
    2000 年53 巻6 号 p. 383-386
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    6カ月間に同一母牛で繰り返し発生した早期流産の流産胎子 (胎齢113日および129日) を病理組織学的および免疫組織化学的に検索した. 胎子の脳組織にはグリア線維性酸性蛋白 (GFAP) 抗原陰性で, CD68抗原弱陽性のミクログリア細胞の浸潤する多発性壊死がみられ, 壊死病変にはNeoapora caninumNC-1株抗体陽性のネオスポラ原虫のタキゾイトが認められた. 壊死病変は肝臓, 腎臓および尿膜茎に存在し, 尿膜茎の壊死病変は早期流産の原因の一つと考えられた.
  • 高橋 正弘, 植木 淳史, 川畑 享子, 後藤 太一
    2000 年53 巻6 号 p. 387-390
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種胚細胞由来核移植により得られた単子分娩産子の特徴と分娩状況を, 人工授精および生体由来胚移植により得られた産子と比較検討した. 同一胚由来の核移植による産子には生時体重にばらつきが認められた. 核移植による産子の生時体重は, 人工授精および生体由来胚移植による産子と比較して有意に大きく (51.9±7.4vs.45.2±5.5および45.3±5.6kg, P<0.05), 在胎日数は人工授精による産子と比較して有意に長かった (283.4±5.4vs.280.8±5.8日, P<0.05). また, 核移植による産子の分娩難易度および難産率はいずれも対照群に比較して高く (30.0vs.12.7および13.6%, P<0.05), 尾位, 死産, 過大子および突球が多発した. 以上の成績から, 核移植による産子は過大子の発生率が高く, そのため難産および死産の発生率が増加し, さらに出生後の生存率が低下することが示唆された.
  • 茅沼 秀樹, 菅沼 常徳, 信田 卓男
    2000 年53 巻6 号 p. 393-395
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    門脈体循環短絡症の確定診断は, 一般的に開腹下での空腸静脈性門脈造影法が用いられている. 今回, 門脈体循環短絡症の疑われた犬の3例に対し, 1例に経皮的空腸動脈性門脈造影法を, 2例に対しては逆行性後大静脈造影法を実施した. 経皮的空腸動脈性門脈造影法は, 大腿動脈より同軸親子カテーテル法を用いて空腸動脈末梢までカテーテルを誘導し, 1.0ml/kgのイオパミドールを注入して, 注入終了直後にX線撮影を行った. 一方, 逆行性後大静脈造影法は, 血管閉塞用バルーンカテーテルを後大静脈まで誘導し, 肝静脈尾側で血流を遮断した後, イオタラム酸ナトリウム1.25ml/kgを注入して, 注入終了直後にX線撮影を行った.その結果, 3例ともに良好な短絡血管の造影像が得られ, 門脈体循環短絡症の確定診断が可能であった.
  • 今泉 麻美, 佐藤 常男, 白井 弥, 雨森 隆, 桑原 正人, 小坂 俊文, 田中 茂男
    2000 年53 巻6 号 p. 396-399
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    犬2例 (症例1: ゴールデン・レトリーバー, 雄, 9歳; 症例2: 雑種, 雄, 11歳) の前立腺に発生した腫瘤を病理学的に検索した. 症例1は前立腺上皮細胞に類似した円形~楕円形の細胞のシート状増殖から成り, 多数の核分裂像を伴っていた. 症例2では異型性の強い腺上皮の腺房内増殖が認められた. 抗ヒト前立腺特異抗原に対する免疫染色で, 症例1のほとんどの腫瘍細胞は陰性を, 症例2は大部分の腫瘍細胞が陽性を示した. 電顕的に, 症例1の腫瘍細胞の核は大型で異型性が認められ, 細胞小器官の乏しい細胞と豊富な細胞とが混在していた. 腺腔構造は認められなかった. 症例2の細胞は核の異型性は軽度で, 明らかな腺管を形成し, 細胞質内には遊離リボソーム, 分泌顆粒が認められたが, 他の細胞小器官は乏しかった. 症例1, 2ともに細胞間に接着斑が認められた. これらの所見から症例1は合胞体型前立腺癌, 症例2は腺房内増殖型前立腺癌と診断された.
  • 藤井 悦子, 御領 政信, 岡田 幸助
    2000 年53 巻6 号 p. 401-404
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1997年5月にある食鳥処理場において, ブロイラー鶏解体時に皮下ゼリー状物の滲出を特徴とする病変がみられ, 病理組織学的検索を行った. 材料は54日齢, 肉眼的に皮下ゼリー状物の滲出が認められた胸部の皮膚・筋肉8例 (A群), 大腿部の皮膚・筋肉8例 (B群), 対照群として肉眼的に異常のない胸部の皮膚. 筋肉10例 (C群) を用いた. 組織学的にはAおよびB群の全例で滑液包の拡張・顕性化, および肉芽組織の増生が認められた. A群の3検体およびB群の2検体では真皮領域に肉芽腫の形成がみられた. 対照群に比較し, AおよびB群では皮膚および皮下組織が肥厚していた.
  • 畠山 薫, 久保田 泰一郎, 伊藤 宏, 広島 実, 松尾 克徳, 山本 明, 伊藤 武, 小久保 彌太郎
    2000 年53 巻6 号 p. 405-408
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    別々の小学校で飼育されていた家兎2羽が, 四肢の硬直等を呈し死亡した. これら2羽の体表の外傷および飼育小屋の土壌より, 破傷風菌の分離を試みた. 外傷および土壌1件から計11株の破傷風菌が分離された. 分離された菌株について, PCR法を用いた神経毒 (tetanospasmin) 遺伝子の検出, ならびにパルスフィールド電気泳動 (PFGE) 法による遺伝子解析を行った. その結果, 11株すべてでtetanospasmin遺伝子を検出した. また, PFGE法では4つの型の遺伝子パターンに分類された.
  • 川西 昭喜
    2000 年53 巻6 号 p. 414
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • John W. Krebs, Jean S. Smith, Charles E. Rupprecht, James E Childs
    2000 年53 巻6 号 p. 424-428
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    疾病対策センターには, 1998年, 49の州とコロンビア特別区, およびプエルトリコ準州から, (人以外の) 動物について7, 961例, 人について1例の狂犬病の症例報告が届いている. これは, 前者で8, 509例, 後者で4例という1997年の報告数と比べると少ない. 動物の症例のうち, 92%以上 (7, 358例) は野生動物のもので, 7.5%以上 (603例) が家畜のものである (1997年は, 前者が93%, 後者が7%であった). 症例の減少は, スカンクとコウモリを除いて大半の種でみられる. 1998年について, 種別の症例数の内訳は次のようになっている: アライグマ (44.0%;3, 502例), スカンク (28.5%;2, 272例), コウモリ (12.5%;992例), キツネ (5.5%;435例), 猫 (3.5%;282例), 牛 (1.5%;116例), 犬 (1.5%;113例). アライグマの狂犬病については, オハイオ州における明確な西進は認められなかった. アライグマの狂犬病が風土病として流行している19の州のうちの12州と, コロンビア特別区では, 1998年について報告数の減少が認められる. なお, 1997年には13州とコロンビア特別区で報告数が増加していた. また, 3つの州では, 1997年の報告数を50%以上も上回る増加が報告されている: ロードアイランド州 (143.2%), マサチューセッツ州 (77.2%), ニューハンプシャー州 (69.4%). テキサス州では, 犬の狂犬病ウイルスと関係した狂犬病の症例数が大幅に減少し続けている. だが, 狂犬病の報告総数は, テキサスをはじめとする13州 (スカンクが狂犬病のおもな陸生宿主) で増加を示している. 国全体としては, 馬やラバの狂犬病は82例報告されている. これは, 1981年 (88例) より後では最多で, 1997年の総数に比べて74.5%の増加となっている. 1998年, コウモリの狂犬病の報告数は992例に達しているが, これは, コウモリの占める割合としては, 1990年以来最大といえる. 家畜の症例報告は, 猫 (282例) で6.0%, 犬 (113例) で10.3%, 牛 (116例) で4.9%減少している. 1998年に人で確認された1例は, 米国内でシルバーコウモリとアメリカトウブアブラコウモリに関係した狂犬病ウイルスに感染していた.
feedback
Top