パントテン酸による子牛下痢予防効果の機序解明の一環として, 子牛糞便中の腸内フローラにおよぼすパントテン酸の影響を検討した. パントテン酸の投与は, 乳用雄子牛の10~15日齢から離乳までの哺乳期に, パントテン酸100mg/g含有をする飼料添加物を1日1回, 1頭当たり19代用乳に添加して行った.
その結果, パントテン酸非投与対照群では, 加齢にともなうBifidobacterium, Clostridium perfringens, Lactobacillus, Enterobacteriaceae, Streptococcusの経時的な減少傾向を認めたが, パントテン酸投与群では, Bifidobacterium, Lactobacillusの加齢にともなう減少傾向の遅延, C. perfringensの検出 率の低下, Staphylococcusの菌数低下などが認められた. また, 同時に測定した糞便の乾燥重量比率および, 下痢発生の観察の成績では, パントテン酸投与により乾燥重量比率は増加し, 下痢の発生が, やや抑制された. 以上の結果より, 子牛の哺乳期にパントテン酸を投与することにより, 下痢の発生が抑制され, 腸内フロ肝ラのバランスが有利に保持されることが明らかにされた.
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