1981年5月から1983年3月までの間に, 主として埼玉県内産の豚と牛, および県内で捕獲された犬について屠殺後の腸管内容を用い,
Campylobacter jejuni/
coliの保菌状況を調査した. また, 各種の増菌培地を検討し, 以下の成績を得た.
1) 畜種別の分離状況は, 豚では51頭中48頭, 牛では52頭中10頭, 犬では108頭中38頭から分離され, 豚および犬が高率であった. また, 各畜種とも県下全域のものから分離され, 本県内に飼養されている家畜の該菌による高度汚染がうかがわれた.
2) 豚では, 盲腸と直腸内容からの分離率が各々62%で, 他の空腸, 回腸および結腸内容のそれより, x2検定で有意に高かった. しかし, 牛および犬では, 各部位間の分離率に有意差はなかった.
3) 各畜種とも, 性別および季節による分離率に差はなかった. また, 牛と犬では年齢による差もなかった.
4) 分離菌をSKIRROW & BENJAMINの生物型で型別すると, 豚由来76株中61株は
C. coliであり, 牛由来21株の全株と, 犬由来116株中102株は
C. jejuni生物型1であった.
5) 犬の腸管内容を用いて各種の増菌培地の性能を検討したところ, 変法BU10ブイヨンによる24時間培養が最も良効な成績を示し, 選択分離培地だけの場合にくらべ, 陽性数が2.3倍増加した.
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