分娩後に起立不能を呈する乳牛の発症要因を研究する目的で, 分娩後2日以内に起立不能に陥ったホルスタイン種乳牛23例を対象として, 1α, 25 (OH)
2D, PTH, CaおよびiPの血漿濃度を測定した. 対象とした起立不能牛の初診時における主な臨床所見は, 食欲不振 (65%), 皮温の低下ないし不整 (39%), 意識障害 (13%) などであり, その治癒率は74%であった. 初診時の主な血漿生化学所見では, 血漿のCaとiP濃度はそれぞれ6.3±1.7mg小d
lと3.8±2.1mg/d
lであり, 対照群に比較していずれも低い値を示した.また, 血漿の1α, 25 (OH)
2DとPTH濃度はそれぞれ198.6±61.6P9/m
lと7.5±3.4mIU/m
lであり, 対象牛に比較して高い傾向にあった. 血漿Ca濃度が7.4mg/d
l以下の低Ca血症を呈した症例は, 7.5mg/d
l以上のものと比較して血漿の1α, 25(OH)
2DとPTH濃度は高い傾向にあった. 以上より, 分娩後に起立不能能を呈する牛の多くは血漿Ca濃度が低下し, またCaの調節ホルモンである1α, 25(OH)
2DとPTHの血漿濃度が血漿Ca濃度の低下に反応して上昇していることが確認された.
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