日本獣医師会雑誌
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41 巻, 1 号
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  • 広瀬 昶
    1988 年 41 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 内藤 善久, 佐藤 繁, 谷津 実, 大泉 俊昭, 菊池 忠雄
    1988 年 41 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    分娩後に起立不能を呈する乳牛の発症要因を研究する目的で, 分娩後2日以内に起立不能に陥ったホルスタイン種乳牛23例を対象として, 1α, 25 (OH)2D, PTH, CaおよびiPの血漿濃度を測定した. 対象とした起立不能牛の初診時における主な臨床所見は, 食欲不振 (65%), 皮温の低下ないし不整 (39%), 意識障害 (13%) などであり, その治癒率は74%であった. 初診時の主な血漿生化学所見では, 血漿のCaとiP濃度はそれぞれ6.3±1.7mg小dlと3.8±2.1mg/dlであり, 対照群に比較していずれも低い値を示した.また, 血漿の1α, 25 (OH)2DとPTH濃度はそれぞれ198.6±61.6P9/mlと7.5±3.4mIU/mlであり, 対象牛に比較して高い傾向にあった. 血漿Ca濃度が7.4mg/dl以下の低Ca血症を呈した症例は, 7.5mg/dl以上のものと比較して血漿の1α, 25(OH)2DとPTH濃度は高い傾向にあった. 以上より, 分娩後に起立不能能を呈する牛の多くは血漿Ca濃度が低下し, またCaの調節ホルモンである1α, 25(OH)2DとPTHの血漿濃度が血漿Ca濃度の低下に反応して上昇していることが確認された.
  • 野村 紘一, 鎌田 洋一, 島田 保昭
    1988 年 41 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    性周期の各時期における雑種成犬40頭について, 子宮頸管を結紮することなしに自然症例から分離培養した大腸菌を子宮内に接種し, その後12日に剖検して犬子宮蓄膿症が発生するか否かを検討したところ次のような成績が得られた.
    1) 最も高率に発症したのは第2群発情休止期で, 8/9 (88.9%), 次いで, 第4群分娩後修復期12/17 (70.6%) および第3群無発情期3/6 (50.0%) の順で, 第1群発情前期ないし発情期は最も低く2/8 (25.0%) であった.
    2) これらのうち, 発情休止期の子宮は肥大度が大きく, 重量も大のものが多く, 膿量の多いものが多かったが, いずれも個体差が大きく, 他の時期との有意差は見いだせなかった.
    3) 発情休止期のものに自然症例と同様の嚢胞状子宮内膜増殖症を示すものが認められた.
    今後, 黄体期について接種時期を吟味すれぼ, 自然症例と同様の嚢胞状増殖症を伴った犬子宮蓄膿症を高率に作出できるものと思われた.
  • 深瀬 徹, 板垣 博
    1988 年 41 巻 1 号 p. 22-25
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    カルバメート系の殺虫剤であるプロポクスル (propoxur) の1%(w/w) 散剤について, 犬への安全性を検討した。供試犬12頭を1群4頭の3群に分け, それぞれ, 無投薬対照群, プロポクスル20mgkkg散布群, 50mg/kg散布群とし, 薬剤散布1週間前から散布後3週間にわたって, 各犬の一般状態の観察と種々の血液学的, 血液化学的検査を実施した. その結果, 臨床的には異常はまったく認められなかったが, 一部の犬で血小板の大小不同が観察され, さらに, 20mg/kg散布群で散布7日目にアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性の上昇がみられ, また50mg/kg散布群で散布の翌日にコリンエステラーゼ活性の低下が認められた.このうち, 血小板の大小不同は投薬前や対照群の犬にも認められており, また, アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性の上昇は高用量散布群では認められていないことから, ともにプロポクスルの投与に起因するものではないと考えられた. いっぽう, コリンエステラーゼ活性の低下は薬剤散布に起因する可能性が考えられた. しかし, この低下は一過性であり, 他の検査所見にも異常が認められていないことから, 実質的には何ら問題とはならないと思われた. 以上の成績から, プロポクスルの1%散剤は, 通常行われる20mg1kg程度の用量の散布では, 犬に対する安全性はきわめて高いことが確認された.
  • 木原 滋陽, 岡 良彦, 山中 秀法
    1988 年 41 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    日本において, 小動物, とくに猫の肺吸虫の自然感染報告例はきわめて少ない. 最近, 続けて3例に遭遇したので, 実験感染猫2例を含めて経過を観察した. 感染実験ではmc投与から65日および70日目に虫卵が検出され, その後のEPG値は大きな変動を繰り返えしながら漸次上昇した. 自然感染の2例もEPG値の変動は大きかった. 虫卵の形態は個体変化が大きく, 卵蓋の認められないものも少なくなかった. 集卵法別に検出成績を比較したところ, 臨床家によって常用されている飽和食塩水浮游法はまったく不適当であった. いっぽう, AMS III法, あるいは大島法などの沈殿法では良好な成績が示された. 胸部X線像所見としては, 自然感染の1例に結節影および不鮮明ではあるが透亮影がみられた. 他の例では感染後の経過が短かったためと思われるが, 特徴のある影像は認められなかった. プラジクアンテルによる駆虫は期待し得る成績を示したが, 猫に対しては投与法に工夫を要するようである.
  • 尾沢 宏朗, 野上 高端, 富田 正信, 坂井 郁雄, 河本 治瑯, 田辺 稔, 木村 花代子, 南 哲郎
    1988 年 41 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    小型ピロプラズマ病発症牛に対するブパルバコンの治療効果を検討した. 供試発症牛は夏期預託牛のホルスタイン種19頭で, 発症後ただちにプリマキンと各種対症療法剤による治療を行ったが治癒にいたらなかったものである. そこで, 病畜舎へ収容後23~43日目にブパルバコン (2.5mg/kg, 1回) を投薬した. その結果, 投薬後5日目からこれらの発症牛は赤血球容積の急速な上昇とともに回復に向かい, 10~31日目 (平均19.3日) には再放牧が可能となった. また, ブパルバコン投薬による臨床的副作用は観察されなかった.
  • 土屋 亮, 佐藤 守俊
    1988 年 41 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    長野県中部地方における肥育牛の尿石症の発生状況を, 排尿障害により松本食肉センターに搬入された症例を用いて調査した.
    発生率は, 黒毛和種1.20%, ホルスタイン種0.34%であった. 冬季に多発し, 肥育後期の牛が多かった. 発生農家は多頭飼育の傾向にあった. 発生農家の22.8%が制限給水を実施していた. また, 50.5%は予防剤を使用していたが, 不適正な使用をしていることがうかがわれた.
    半数以上の牛が根本的な治療を受けていなかった. そのため, 無尿の牛では発見後の経過の長いものほどBUN値が高い傾向にあった. 無尿の場合, 尿道切開手術に良好な効果が認められた.
    尿石の主成分は, 分析したいずれの症例とも, リン酸アンモニウムマグネシウムであった.
  • 小川 美敬, 遠藤 俊夫
    1988 年 41 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1) アピスタフを用いて牛乳汁由来コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS) 88株を分類したところ, S. hyicus 10株 (11.3%), S. xylosus 16株 (18.2%), S. hominis 18株 (20.5%) およびS. epidermidis14株 (15.9%) の4菌種が全体の65.9%を占めていた.
    2) CMT変法 (PLテスト) において凝集が+以上を示した乳汁から分離されたCNS 67株についてみると, S. xylosusが15株 (22.4%) で他菌種と比べて多かった.
    3) 乳汁由来CNS 391株に対するセフェム系, ペニシリン系, アミノグリコシド系, マクロライド系およびテトラサイクリン系10薬剤のin vitro抗菌活性をMIC90により比較したところ, セフェム系のセファロニウム (CEL) が0.08μg/mlで最も優れていた.
  • 佐藤 繁, 大島 寛一, 市川 雅朗, 南館 君夫
    1988 年 41 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    化膿性髄膜脳室脳炎と診断された3例の子牛を臨床および病理学的に検索した. 症例は3日齢のホルスタイン種および3日齢と28日齢の黒毛和種であった. いずれも出生直後は異常がみられなかったが, 3日あるいは28日齢時から四肢の伸張と後弓反張, 間代性ないし強直性痙攣や著明な眼球振温を示した. 視力や痛覚などの知覚および眼瞼反射には, 異常がみられなかった. 血液検査により白血球数と好中球百分比の増加が認められた.
    病理学的に側脳室の拡張と脳室壁の軽度の肥厚が認められ, 脳脊髄液は希薄膿様に混濁し, 増量していた. 組織学的には側脳室, 第3および第4脳室壁ならびに脳軟膜の化膿性炎症性変化が主病変であった. 一般臓器にも敗血症の存在を示唆する所見がみられた. 細菌学的検索を実施した2例の脳室壁からグラム陰性短桿菌が分離され, 大腸菌と同定された.
  • 野村 紘一, 西 美智子, 島田 保昭
    1988 年 41 巻 1 号 p. 54-57
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    われわれは最近, 6ヵ月齢チンチラ種雄猫において, 耳道対輪部内壁に多発性結節性肥厚を伴う慢性外耳炎の1例に遭遇した. 本症は耳道にカリフラワー様肥厚結節を多数形成するとともに耳奥から多量のチーズ様捏粉状分泌物を排出しており, 外耳口はほんんど閉塞していた. 肥厚結節は, 10数倍に増殖した上皮組織からなり, その表面は, 剥離角化細胞がたまねぎ状の集塊をなして堆積し, いわゆる真珠腫様構造を呈していた.
    本症の発生原因の詳細は不明であるが, 低脂肪食の給与とプロブコールの内服によって症状の緩解が見られたので, 高脂血症が疑われた. また, これが慢性外耳炎を契機とする耳腔内の角化亢進に拍車をかけたものと推察される.
    本症に関する報告はほとんどなく, きわめてまれな疾病と考えられるが, 人の耳道に発生する真珠腫 (Ohrcholesteatoma) の所見に酷似しているところから, 本症を猫耳道の真珠腫性肥厚症とした.
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