日本獣医師会雑誌
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42 巻, 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 児玉 洋
    1989 年 42 巻 11 号 p. 751-756
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 角田 修男, 秋田 博章, 宮澤 清志, 大崎 和栄, 佐藤 邦忠, 原 啓二, 川口 擁, 岩間 克美
    1989 年 42 巻 11 号 p. 759-762
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ウマの血中プロジェステロンの測定に, OVUCHECK Plasma/Serum Progesterone ELISAKitの応用を試みた. ホルモン測定の全操作は3時間で終了し, 測定範囲は0.5~10.0ng/ml serum, 測定内変動係数は10.9~12.8%(1, 6~7.8ng/mln=10), 測定間変動係数は8.7~16.5%(0.2~4.4ng/mln=10), ならびにRIAとの相関係数はr=0.87 (n=22, P<0.01) であった. OVUCHECK Kitにより求めたホルモン値は, 発情周期中の卵巣機能を良く反映し, 妊娠診断にも応用可能であることが認められた.
  • 川村 清市, 酒井 喜義, 渡辺 尚子, 渡辺 義正, 伊藤 直之, 樋口 誠一
    1989 年 42 巻 11 号 p. 763-769
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    著者らが報告した改良BSP試験半減時間 (BSP-t/2) 法にもとづいて正常牛のBSP-t/2値およびBSPクリアランス指数を検索した. 成ホルスタイン種 (3.3±1.8歳, n=23, 乾乳および育成期) のt/2値は平均3.31min (95%信頼限界値2.74~3.88min), K値は20.9%/min (17.9~25.3) で, 日本短各種 (2.5±1.3歳, n=21) では3.53min (2.76~4.30) および19.6%/min (16.1~25.1) であった. また, 各牛群の平均血清BSP濃度から作成したBSPクリアランス曲線は, BSP注射後12分まで直線を示した. 四塩化炭素 (CCl4) の投与により作出した5頭の肝障害牛におけるBSP-t/2値は, 鋭敏な経時的変化を呈し, またBSP血中停滞率 (BSP-PR値), ならびに肝臓能を反映する血清中の酵素活性値, 脂質, 生検肝片内の脂質や糖源含量等と高い相関性を示した, これらの牛の経過中に検索したすべての検査成績を, 各採材時期ごとに肝障害の病型の鑑別基準に準じて分類し, 各病型間におけるBSP-t/2値を比較した. その結果, BSP-t/2値はCCl4投与前, 慢性肝障害の非活動型, 同活動型, 急性肝障害および劇症肝障害の順に高値を示し, かつ各病型間で重複しない信頼限界値の範囲を示すことが判明した.
  • 竹村 直行, 小山 秀一, 左向 敏紀, 多川 政弘, 本好 茂一
    1989 年 42 巻 11 号 p. 771-773
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    肺動脈内に寄生した犬糸状虫が心機能に及ぼす影響について検討するため, 犬糸状虫の感染が認められた雑種成犬9頭 (体重8.3±0.3kg, 平均±標準誤差, 感染群) および非感染雑種成犬10頭 (同7.9±0.4kg, 対象群) を使用した. 感染群は, 軽度な発咳が見られたが顕著な臨床症状は認められず, 糸状虫症としては軽度であった. これらの犬に対して心電図ならびに心臓カテーテル検査を行ったところ, 感染群ではP波の増高および持続時間の延長, QTcの延長傾向が認められ, また, 心係数の有意な低下ならびに左室拡張末期圧の有意な上昇が認められた. 以上の成績から, 犬糸状虫の軽度な肺動脈内寄生においてもすでに心機能の低下傾向が認められることが示されたが, この現象の解明にはさらに詳細な検討が必要であると考えられた.
  • 富永 潔, 中澤 宗生, 播谷 亮, 平田 浩一郎
    1989 年 42 巻 11 号 p. 775-779
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1986年および1988年に病性鑑定を行った水様性~粘血下痢便を主徴とする2例の子牛下痢症から, 原因と推定される非定型大腸菌を分離した. 本菌の血清型は05: K+: MNでエンテロトキシンを産生せず, 組織および細胞侵入能も陰性であったが, ウサギ腸管ループ試験は陽性で, ベロトキシン (VT) を産生した. 生化学的性状はウレアーゼが陽性で, きわめて特徴的であった. 本菌を初乳未摂取子山羊に投与したところ, 下痢が再現され, 病理組織学的検査で結腸, 直腸への本菌の密接な接着および接着した部位の上皮細胞の微絨毛が萎縮あるいは消滅するという所見が得られた. 以上の成績から, 本菌はMOONら (1983) の“attaching and effacing E. coli (AEEC)”に属し, イギリスやアメリカ合衆国で報告されている “子牛の赤痢” の原因とされている大腸菌とほぼ同一と考えられた. また, 今回の分離菌が, 子山羊に対して下痢原性を有していることも明らかとなった.
  • 芹川 慎, 草刈 直仁, 扇 勉, 仙名 和浩, 米道 裕弥, 岸 昊司, 永井 龍夫
    1989 年 42 巻 11 号 p. 781-785
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1985年1月, 滝川畜産試験場においてめん羊のリステリア症が集団的に発生した. 発症したのは妊娠後期の雌羊3群232頭のうちの26頭 (発症率11.2%) で, うち6頭が死亡し, 10頭が予後不良で淘汰された. 病型はすべて脳炎型であった.
    死亡または淘汰した11頭の脳幹部からリステリア菌が多数分離され, 血清型は4b型で多くの薬剤に高い感受性を示した. 発症羊15頭をオキシテトラサイクリンで治療した結果, 比較的症状の軽かった10頭が3~7日で治癒した.
    発症時の牧草サイレージからもリステリア菌が検出され, 高度に汚染した牧草サイレージを摂食したことが多発の原因と考えられた.
  • 植松 和史, 野田 雅博, 渡辺 史郎, 望戸 正則, 阿川 啓雄, 三浦 潔, 山中 敬三, 浜保 敬志
    1989 年 42 巻 11 号 p. 787-791
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1988年2月, 広島県下の一養豚場において分娩直前の妊娠母豚2頭が相次いで水様性下痢を呈して急死した. 2頭について病性鑑定を実施したところ, いずれの死亡豚からも, サルモネラ亜種I, 血清群O7に属するSalmonella (S.) lockleazeが有意に分離された. ウイルスは分離されなかった. 同居繁殖用母豚223頭の直腸ぬぐい液を採取し, 細菌分離を試みたところ3頭にS. lockleazeの保菌が認められ, そのうち1頭は下痢を呈していた. そのほか, 外観上健康な母豚各1頭からS. derbyおよびS. londonが, 別の2頭からS. anatumが分離された. S. lockleazeには病原性に関与するといわれるプラスミドの保有は認められなかった. 本報はわが国におけるS. lockleazeの初めての分離報告と思われる.
  • 古川 賢, 高見 比津留, 森 陽子, 野村 進, 小西 芳規, 白岩 憲司
    1989 年 42 巻 11 号 p. 793-796
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    一農場由来の肥育豚83頭について, 豚流行性肺炎 (SEP), 萎縮性鼻炎 (AR), および胸膜肺炎の発生率ならびに程度を検索した. SEP病変は約92%に認められ, AR病変は約36%, 胸膜肺炎は約29%に認められた. SEP病変の程度と増体重との間, AR病変の有無と増体重との間に関係が認められた. SEP病変の程度およびAR病変の有無と体重増加の遅延の間には正の相関が認められた. また, AR病変が重度な症例ではSEP病変がより広範囲に認められる傾向があった.
  • 緒方 勇人, 長野 功, 長谷川 孝明, 佐橋 隆, 平井 克哉
    1989 年 42 巻 11 号 p. 799-802
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1984年に牛および豚それぞれ約500頭から採取した血清について, C. psittaciの抗体保有状況をcomplement fixation (CF) testにより調査した. 抗体保有率は牛では15.9%であり, 生産県別において若干の差が認められた. また, 加齢により保有率の上昇する傾向があった. しかし, 肉眼病変と保有率との間に明らかな関係は認められなかった. いっぽう, 豚においては1.2%と低率であったが, 豚のクラミジア感染が本邦においても存在する可能性を示唆していると思われた.
  • 後藤 公吉, 佐藤 博, 渡辺 浩, 岩沢 信, 新井 千加子, 野村 靖夫
    1989 年 42 巻 11 号 p. 803-806
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    繁殖用雌豚に舌の悪性肥満細胞腫を認めた. 舌背部に灰白色の直径0.5~2cm大の腫瘍結節が多発し, 結節が癒合して不整台状隆起をなす部分もあった. 腫瘍細胞の核には著しい異型性は見られないものの核分裂像が認められた. 細胞質にはメタクロマジー陽性の顆粒が充満しており, これらの顆粒は電顕的に微細粒子の集合物であった. 剖検上, 内臓やリンパ節には明らかな異状を見いだせなかったが, 組織学的検査により顎下リンパ節に転移病巣が証明された. また, 肝臓には繊維化病変中に肥満細胞増殖巣が認められ, いわゆる豚の肝脾巨大症, あるいは肥満細胞症の例で報告された肝臓所見に類似していた. こうした所見は, それらの病気の本質を考えるうえで興味深いもので, 豚における肥満細胞増殖と病態の関係を明らかにするうえで示唆に富むものと思われる.
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