著者らが報告した改良BSP試験半減時間 (BSP-t/2) 法にもとづいて正常牛のBSP-t/2値およびBSPクリアランス指数を検索した. 成ホルスタイン種 (3.3±1.8歳, n=23, 乾乳および育成期) のt/2値は平均3.31min (95%信頼限界値2.74~3.88min), K値は20.9%/min (17.9~25.3) で, 日本短各種 (2.5±1.3歳, n=21) では3.53min (2.76~4.30) および19.6%/min (16.1~25.1) であった. また, 各牛群の平均血清BSP濃度から作成したBSPクリアランス曲線は, BSP注射後12分まで直線を示した. 四塩化炭素 (CCl
4) の投与により作出した5頭の肝障害牛におけるBSP-t/2値は, 鋭敏な経時的変化を呈し, またBSP血中停滞率 (BSP-PR値), ならびに肝臓能を反映する血清中の酵素活性値, 脂質, 生検肝片内の脂質や糖源含量等と高い相関性を示した, これらの牛の経過中に検索したすべての検査成績を, 各採材時期ごとに肝障害の病型の鑑別基準に準じて分類し, 各病型間におけるBSP-t/2値を比較した. その結果, BSP-t/2値はCCl
4投与前, 慢性肝障害の非活動型, 同活動型, 急性肝障害および劇症肝障害の順に高値を示し, かつ各病型間で重複しない信頼限界値の範囲を示すことが判明した.
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