1989~1998年に沖縄県で下痢症の子豚 (1~43日齢) から分離した22農場, 35頭由来の腸管毒素原性大腸菌 (ETEC) 79株について, 薬剤耐性, β-lactamase産生性, 耐性遺伝子, 接合性Rプラスミドおよびプラスミドプロファイルによる解析を行った.薬剤別の耐性率はストレプトマイシン (93.7%), オキシテトラサイクリン (87.3%), クロラムフェニコール (75.9%), カナマイシン (38.0%), ST合剤 (29.1%), アンピシリン (25.3%), ゲンタマイシン (2.5%) の順であった. 耐性型は16の型に分けられ, 7剤耐性 (2株) をはじめ, 2 剤以上の多剤耐性菌が73株 (92.4%) を占めた. すべての薬剤に感受性のあった株は1株 (1.3%) であった. アンピシリン耐性株はすべてアシドメトリー法 (P/Cアーゼテスト) によりペニシリナーゼが検出された. β-lactamase耐性遺伝子型は21株 (26.6%) がTEM型に属し, また20株 (25.3%) が
gyrA遺伝子を保有していた. 接合性Rプラスミドは41株 (51.9%) で検出され, 接合伝達株は34株 (85.0%) がドナー株と同じ耐性型を示した. プラスミドプロファイル解析では, すべての株が1~8種類のプラスミドを保有し, 農場特有の識別が可能であった.
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