分娩前後に変動が著しい甲状腺ホルモン濃度の分娩後の回復時期を明らかにするために, 6頭の健康乳牛の血清サイロキシン (T
4), 血清トリヨードサイロニン (T
3), 血漿グルコースおよび血清遊離脂肪酸 (NEFA) 濃度を分娩前後の3カ月間定期的に測定した. 血清T4濃度およびT
4/T
3比は分娩前2週目より低下し始め, 分娩後3日目に最低値 (それぞれ0.9μg/d
l, 13.1) を示し, その後徐々に上昇した. 血清T
3濃度は分娩後5日目, 血漿グルコース濃度は分娩後3日目に最低値 (それぞれ49ng/d
l, 38.6mg/d
l) を示し, その後上昇した. 血清NEFA濃度は分娩前3週目より徐々に上昇し, 分娩後5日目に最高値 (983.6μEq/
l) を示し, その後徐々に低下した. 北海道十勝地方では, 乳牛の甲状腺ホルモン濃度の低下が, 分娩後約2カ月で回復することが明らかとなった.
抄録全体を表示