日本獣医師会雑誌
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54 巻, 3 号
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  • 鈴木 一由, 味戸 忠春, 奥村 純子, 佐藤 薫, 岩淵 成紘
    2001 年 54 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    成牛の維持量である30ml/kgまたはその2倍量の糖加低張ハルトマン氏液 (HG) の静脈内投与が, 循環血漿量および酸塩基平衡に及ぼす影響について検討した. 4頭の未経産牛に市販輸液セットで可能な最大投与速度である20ml/kg/時間で30または60ml/kgのHGを静脈内投与し, 投与終了より270分間観察した. その結果, 30および60ml/kg群の循環血漿量は, 投与終了時に122.3±4.1および129.5±4.7%まで増加したが, 両群問で有意な差は認められなかった. また, これらの投与量のHGを成牛に急速投与しても酸塩基平衡, 血清生化学項目および血清浸透圧に特に影響を及ぼさなかった. よって, 低張電解質液を用いた維持量輸液療法は大動物診療において安全かつ有効に応用することが可能であると考えられた.
  • 有賀 徹, 宇塚 雄次, 田辺 茂之, 更科 孝夫
    2001 年 54 巻 3 号 p. 172-176
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    分娩前後に変動が著しい甲状腺ホルモン濃度の分娩後の回復時期を明らかにするために, 6頭の健康乳牛の血清サイロキシン (T4), 血清トリヨードサイロニン (T3), 血漿グルコースおよび血清遊離脂肪酸 (NEFA) 濃度を分娩前後の3カ月間定期的に測定した. 血清T4濃度およびT4/T3比は分娩前2週目より低下し始め, 分娩後3日目に最低値 (それぞれ0.9μg/dl, 13.1) を示し, その後徐々に上昇した. 血清T3濃度は分娩後5日目, 血漿グルコース濃度は分娩後3日目に最低値 (それぞれ49ng/dl, 38.6mg/dl) を示し, その後上昇した. 血清NEFA濃度は分娩前3週目より徐々に上昇し, 分娩後5日目に最高値 (983.6μEq/l) を示し, その後徐々に低下した. 北海道十勝地方では, 乳牛の甲状腺ホルモン濃度の低下が, 分娩後約2カ月で回復することが明らかとなった.
  • 又吉 正直, 安里 仁, 玉代勢 元太, 新城 敏晴
    2001 年 54 巻 3 号 p. 177-180
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    5ヵ月齢の黒毛和種子牛が斜頸, 後弓反張などの神経症状を呈し予後不良となり鑑定殺された. 主要臓器の細菌培養の結果, 脳からのみFusobaoterium necrophorum subsp. funduliformeが純培養状に分離された. 病理組織学的に大脳髄膜に血栓形成, 水腫, 変性細胞の浸潤が認められ, 中脳, 橋および延髄ではリンパ球主体の囲管性細胞浸潤と血管壁の軽度変性が認められた. 免疫組織化学的検索では大脳髄膜の変性細胞にF. necrophorum抗原が確認された.
  • 奥田 宏健, 白石 誠, 吉村 範男, 多田 幸四郎, 福冨 豊子, 萱原 佳美, 播谷 亮, 川嶌 健司, 村上 洋介
    2001 年 54 巻 3 号 p. 181-184
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    発育不良の若齢子豚1頭を病理組織学的に検索したところ, 肝臓にび漫性の壊死, 偽胆管形成, 多核巨細胞, マクロファージおよびリンパ球浸潤が観察された. 多核巨細胞, マクロファージおよびクッパー細胞の細胞質内に, 免疫組織化学的には豚サーコウイルスに対する陽性抗原が存在し, in situ hybridization検査では離乳後多臓器性発育不良症候群 (postweaning multisystemic wasting syndrome; PMWS) の病原体として疑われている豚サーコウイルス2型 (pmws-PCV) 核酸が検出された. 透過型電子顕微鏡検査では, サーコウイルス様粒子がマクロファージや多核巨細胞の細胞質内に観察された. また, PCR法でも, この豚の肝臓および回腸においてpmws-PCV核酸が検出された. pmws-PCV感染と関連していると考えられているPMWSでは肝臓の壊死や線維化が時に観察されるが, 本症例の肝臓病変はそれらと比較し重度であり, 多数の巨細胞の出現がきわめて特徴的であった.
  • 岡田 啓司, 志賀 瓏郎, 深谷 敦子, 佐川 恭一, 中本 孝宏, 戸川 晶子, 古川 岳大, 平田 統一, 白戸 綾子, 内藤 善久
    2001 年 54 巻 3 号 p. 185-190
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    黒毛和種牛5頭の分娩後17日間の乳量, 乳成分および乳性状を摂取飼料との関連で調べた. 粗飼料は自由採食させた. 乾物摂取量は, 個体差はあるがほぼ一定の値で推移した. 分娩後2日以降の乳脂肪率は5.11±1.04%(平均値±標準偏差), 乳蛋白率は3.80±0.39%, 乳糖率は4.68±0.24%であり, 分娩後5日以降の平均乳量は2.84±0.97kgであった. 供試牛を泌乳量の多い2頭 (高乳量群) と少ない3頭 (低乳量群) に分けて検討したところ, 分娩後5日以降の乳量は3.41±0.72kgと1.98±0.46kg, TDN充足率は69±14%と113±21%であった・アルコールテストスコアは分娩後両群とも高値を示したが, 5日以降高乳量群は高値を維持し, 低乳量群は急激に低下した. 以上より, 黒毛和種牛の乳量と乳成分は個体差や分娩後日数による変化が大きく, 飼料充足状況とは関連がなかった. アルコール不安定性母乳はエネルギーの摂取不足と関連していた.
  • 金子 一幸, 宇野 洋一, 武藤 眞, 和田 恭則, 恩田 賢, 川上 静夫
    2001 年 54 巻 3 号 p. 191-194
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    10歳のホルスタイン種乳牛の右卵巣が20×7×7cmの大きさに腫大し, 顆粒膜細胞腫を疑い摘出手術を実施した. 摘出された卵巣には厚さ1-2cmに被包された膿瘍が存在し, 膿の細菌培養検査により, Aeroooccus viridansが分離された. 膿瘍の原因として, かつて受けた第四胃左方変位の整復手術または卵巣嚢腫内注入器による嚢腫卵胞液排除の際に生じた感染が考えられた. 卵巣摘出により正常発情周期を回復し, 過剰排卵処置を実施したところ, 正常な胚を回収することが可能となった.
  • 上村 俊一, 安藤 貴朗, 大石 明広, 浜名 克己, 西 清二
    2001 年 54 巻 3 号 p. 195-198
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ミイラ胎子と診断された妊娠5カ月の黒毛和種について, エコー検査により子宮内膜に胎子骨片の刺入が確認されたので, 帝王切開術を行い, 一部ミイラ化した浸漬胎子を摘出した. 子宮粘膜は肥厚し脆弱で, 周辺臓器との癒着が予想されたので, 子宮修復と癒着防止のため, 手術後抗生物質の投与とともに1日3回の直腸からの子宮触診を28日間継続した. 子宮触診時, 子宮の癒着部を慎重に剥離すると, 1カ月後子宮は修復し, 骨盤腔内に納まった. 子宮角は一部に骨盤腔内での癒着が残るものの, 卵巣では卵胞の形成や排卵, その後の黄体形成も確認され, 5カ月後2回目の人工授精で受胎した.
  • 斉藤 久美子, 長谷川 篤彦
    2001 年 54 巻 3 号 p. 199-203
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1997年1月-1998年12月の問に動物病院に来院した兎の疾病発生状況について調査した.その結果, 診療件数は増加傾向を示し, 疾病発生時の平均年齢は減少傾向を, そして平均体重は減少傾向を示した.雌雄比は54.7:45.3と雄が雌をやや上回っていた. 疾病を8群に分け集計したところ, 発生頻度は皮膚疾患, 消化器疾患, 歯科疾患, 眼科疾患, 泌尿生殖器疾患, 筋骨格系疾患, 呼吸器疾患, 神経系疾患の順であった. 特に皮膚疾患, 消化器疾患, 歯科疾患はいずれも20-22%と高い発生頻度を示した. 犬や猫の調査結果と比較すると, 大きな差異がみられたが, これは兎の病原体に対する感受性や生理学的および解剖学的特徴が関与しているものと推察された. 臨床の立場から, 兎において発生頻度の高い疾病群に関する研究は今後特に重要であると考えられた.
  • 林屋 早苗, 谷 健二, 岩永 健, 田浦 保穂
    2001 年 54 巻 3 号 p. 204-207
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎と診断された犬16例にハウスダストマイト抗原液を用いた減感作療法を実施した. 治療6カ月後の評価では, 著効4例, 有効7例および無効5例であった. 治療効果の認められた11例 (68.8%) の多くは, 治療開始から1-2カ月で症状の改善が認められた. 以上の結果より, ハウスダストマイト抗原液を用いた減感作療法は犬のアトピー性皮膚炎の治療に有用であることが明らかにされた.
  • 田村 一朗, 藤田 桂一, 岡村 優, 花田 幸子, 高柳 博之, 三ツ村 麻美, 山村 穂積, 酒井 健夫
    2001 年 54 巻 3 号 p. 208-211
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    2歳の雑種雄犬の体幹背部および腹部の皮膚表面に径2-4cmの多数の腫瘤を認めた. 病理組織学的検査, 免疫組織化学的検査, 細胞化学的検査および表面抗原マーカーの検索の結果, B細胞由来の皮膚型リンパ腫の非表皮向性型と診断された.
  • 野尻 貴康, 橋爪 直規, 佐藤 猛男, 森 儀一郎, 山内 俊平, 細井 美博
    2001 年 54 巻 3 号 p. 213-216
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィーで, 豚の腎臓および筋肉中のクマリン系薬剤 (ワルファリン, クマテトラリルおよびプロマジオロン) を迅速かつ簡便に分析する方法について検討した. 各薬剤は, アセトニトリルで試料から抽出し, ポストカラム-pH切換え操作を使った蛍光検出で分析した.本分析法を用い, 1994-1998年に愛知県下のと畜場で遭遇した豚の全身性出血症例30例について, 腎臓検体を分析したところ, 12例からワルファリン0.005-0.080μg/g, 3例からクマテトラリル0.002-0.030μg/gが検出された.
  • 佐々木 伸雄
    2001 年 54 巻 3 号 p. 222
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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