牛の腸管出血性大腸菌O157 (O157) の保菌実態を把握するため, 保菌率が上昇する夏季に, 直腸便および第一胃内容物を培養に供し, 本菌の分離を試みた.その結果, 55頭中22頭 (40.0%) からO157: H7が分離された.内訳は直腸便のみ6検体 (27.3%), 第一胃内容物のみ10検体 (45.4%), 両者から6検体 (27.3%) であり, 第一胃内容物から高率に分離された.また, 直腸便中の本菌の定量結果は, 平均44CFU/gで, 多いものは3.8×10
4CFU/g, 一方で10UFC/g未満の検体が4割を超えていた.分離株の薬剤感受性はSMに対して15株 (53.6%), ABPCに11株 (39.3%), CEZおよびFOMにそれぞれ4株 (14.3%), NAに3株 (10.7%), KMに2株 (7.1%) が耐性であったが, CP, OTC, GM, NFX, CPFX, OFLXに対してはすべて感受性であった.今回, 人の治療薬であるFOMに対する耐性株が分離されたことは留意すべきものと考えられた.
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