2002年12月から翌年4月に出生し, 自然哺乳で飼育されていた1肉用牛繁殖農場の新生子牛60頭中47頭 (78.3%) が下痢を呈し, 検索した32頭中30頭 (93.8%) の下痢便からA群ロタウイルス遺伝子が検出された. 分娩時に1, 100倍以上の同ウイルス血清中和抗体価を有した母牛由来の子牛の下痢発生率は65.6%(32頭中21頭) であり, 同抗体価未満のそれらの92.9%(28頭中26頭) と比べて有意に低い値を示した (
P<.05). 5歳未満の30頭中5頭 (16.7%) および5歳以上の30頭中23頭 (76.7%) がワクチン接種前に1, 100倍以上の抗体価を有した. ワクチン接種後に母牛の血清抗体価は有意に上昇した. 27頭の接種前後の抗体価より得た回帰式から, 接種前の抗体価が1, 100倍未満である5歳未満の25頭中19頭 (76.0%) および同5歳以上の7頭中7頭 (100%) が, 2回のワクチン接種により1, 100倍以上の抗体価を得ると推測された.
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