日本獣医師会雑誌
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67 巻, 9 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 小松 耕史, 松本 純, 上片野 一博
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 9 号 p. 659-664
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    鹿児島県のタイストール式1酪農場において,Chorioptes texanusによる皮膚病変及び掻痒症状が多発した.そこでエプリノメクチン製剤(0.5mg/kg)を62頭に投与し,牛群全体の掻痒症状,病変,カウコンフォート及び乳量への影響を評価した.さらに,病変及び乳量について掻痒の有無により群分けし比較した.群全体において,掻痒の指標である尾振り率及び病変部スコアは投与後有意に低下した.カウコンフォートの指標であるStanding idle(起立)の割合は投与後有意に低下し,305日補正乳量は増加した.また,掻痒を示す群では病変部スコアが高く投与後の乳量変化に乏しかったが,掻痒を示さない群では乳量増加が大きかった.群全体において本剤の治療効果が認められたが,罹患牛においてカウコンフォート及び生産性を適正に維持するためには,早期治療により病変を進行させないことが重要と考えられた.
  • 須藤 亜寿佳, 岩田 竜治, 君付 和範, ブンシロー ハッサデン, 朴 天鎬
    原稿種別: 短報
    2014 年 67 巻 9 号 p. 665-669
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    臨床的に腸間膜脂肪壊死と診断された黒毛和種牛(16歳8カ月齢,雌)がと畜場に搬入された.解体時,肝臓,脾臓の漿膜面,大網,横隔膜,腹壁及び肺実質に骨様の硬組織形成を伴う多数の白色腫瘤が観察された.肉眼的に既存の骨組織に腫瘤形成は認められなかった.病理組織学的には,いずれの腫瘤も類骨性骨梁及び骨芽細胞様の腫瘍細胞から構成されていた.腫瘍細胞の異型性は低く,核分裂像もまれであったが,肺への転移が認められた.免疫組織化学的には,腫瘍細胞はosteopontin,ケラタン硫酸,S-100及びvimentinに陽性を示した.以上の結果から,本症例は牛で比較的報告の少ない骨外性骨肉腫と診断された.
  • 塚野 健志
    原稿種別: 短報
    2014 年 67 巻 9 号 p. 670-673
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    脱水症を伴わない重度の代謝性アシドーシスに陥った黒毛和種子牛下痢症例に対して,重炭酸ナトリウム液の静脈内投与に加え,断乳処置の併用が代謝性アシドーシス及び糞便スコアの改善に有効であるかを検討した.初診時より24時間の断乳処置を行った群(処置群)では,24時間後で静脈血pH,重炭酸イオン(HCO3)濃度が有意(P<0.01)に増加,アニオンギャップ(AG)濃度が有意(P<0.01)に減少,糞便スコアは有意(P<0.05)に減少した.初診時より代用乳の哺乳を継続した群(対照群)では,24時間後でpHの有意な増加を認めたが,HCO3濃度,AG濃度,糞便スコアに有意な差は認められなかった.診療回数は処置群で有意(P<0.05)に短縮した.断乳処置の併用は代謝性アシドーシス及び糞便性状を改善させる傾向にあると考えられた.
  • 播谷 亮, 山崎 俊雄, 三木 輝美, 瀬尾 泰隆, 水野 剛志, 松尾 研太, 稲垣 明子, 東 智子
    原稿種別: 資料
    2014 年 67 巻 9 号 p. 674-677
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
小動物臨床関連部門
  • 佐藤 穂高, 川原井 晋平, 根尾 櫻子, 東宮 敦士, 山田 隆紹, 折戸 謙介, 斑目 広郎, 茅沼 秀樹
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 9 号 p. 679-685
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    小動物臨床では,合成グルココルチコイド(GC)製剤が幅広く使用されているが,剤形,種類の異なる合成GC製剤の視床下部─下垂体─副腎軸(HPAA)と甲状腺軸(HPTA)に対する影響を評価した報告は少ない.本研究では,使用頻度の高い3種類の合成GC製剤のHPAAとHPTAに対する影響を検討した.16頭のビーグル犬を4群に分け,抗炎症量のプレドニゾロン,ベタメタゾン,メチルプレドニゾロン酢酸エステル投与群とし,残りを無処置対照群とした.HPAAをACTH刺激試験により,HPTAを血清総T4濃度,血清TSH濃度を測定して評価した.いずれの薬剤投与群も投与前及び対照群と比べてHPAAを有意に抑制した.HPTAへの影響は,ベタメタゾン投与群において,有意な低下を示した.今回用いた投薬量では,HPAA及びHPTAに対する影響は3剤のなかでベタメタゾン群が最も強かった.抗炎症量においても長時間作用型の合成GC製剤を使用する場合,HPAA, HPTAに対する影響を注意する必要性がある.
  • 眞田 直子, 眞田 靖幸
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 9 号 p. 686-690
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    赤色異常羽毛を呈するコザクラインコ1羽を,診断的治療のための検証症例として試験に供した.その結果,羽色の改善はチラーヂン製剤の投与に依存することが確認された.次に,赤色異常羽毛を呈するラブバード類19羽に対してチラーヂン製剤の投与を行った結果,全症例において羽色の改善がみられた.病態発現の背景を把握するため,全症例から臨床疫学情報及び血液検査データを収集した.本病態の発生は肥満傾向のある中高齢の発情が強い雌に多い傾向があった.血液生化学検査データでは,全症例でアルカリホスファターゼ,総コレステロール及びトリグリセリドが高値を示したが,これらは発情に起因するものと考えられた.本研究では,甲状腺の機能低下が赤色異常羽毛の発現に深く関連していることが推察された.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
  • 鈴木 竹彦, 斉藤 幸子, 山澤 伸二, 斉藤 啓吾
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 9 号 p. 691-696
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    食肉検査で食用不適と判断した牛431頭より無作為に抽出した19例の心臓・肺・肝臓・腎臓・脾臓及び舌を病理組織学的及び免疫組織化学的に検索した.これらの19例中10例(52.6%)で,いずれかの臓器にAAアミロイドの沈着を認めた.全部廃棄理由では,「高度の水腫」で5例中4例(80.0%)に,「敗血症」で13例中6例(46.1%)に沈着が認められ,「膿毒症」1例では沈着を認めなかった.沈着例は37~130カ月齢のホルスタイン種雌であった.また,肝臓及び腎臓に沈着を認める例が多く,舌に沈着を認める例もあった.沈着臓器の肉眼的変化について,高度沈着のあった腎臓2例で腫大や黄色化を認めたが,他の症例では著変を認めなかった.本調査よりと畜場搬入牛におけるアミロイド症の発生状況等についてさらに調査が必要であると考えられた.
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