脱水症を伴わない重度の代謝性アシドーシスに陥った黒毛和種子牛下痢症例に対して,重炭酸ナトリウム液の静脈内投与に加え,断乳処置の併用が代謝性アシドーシス及び糞便スコアの改善に有効であるかを検討した.初診時より24時間の断乳処置を行った群(処置群)では,24時間後で静脈血pH,重炭酸イオン(HCO
3-)濃度が有意(
P<0.01)に増加,アニオンギャップ(AG)濃度が有意(
P<0.01)に減少,糞便スコアは有意(
P<0.05)に減少した.初診時より代用乳の哺乳を継続した群(対照群)では,24時間後でpHの有意な増加を認めたが,HCO
3-濃度,AG濃度,糞便スコアに有意な差は認められなかった.診療回数は処置群で有意(
P<0.05)に短縮した.断乳処置の併用は代謝性アシドーシス及び糞便性状を改善させる傾向にあると考えられた.
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