日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
70 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
小動物臨床関連部門
  • 福岡 玲, 中田 美央, 梅下 雄介, 築澤 寿栄, 舛方 祐子, 安田 和雄
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー

    トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)は,人医学領域においてDICや血栓塞栓症の早期診断マーカーとして測定されている.人用の測定系を用いて犬のTAT測定の基礎的検討を行ったところ,広範囲の濃度において犬のTATは人用のTAT測定に用いられている抗体と一定の交叉性を示し,基準値上限付近や高濃度における良好な再現性も確認された.凝固亢進傾向を示す基礎疾患を持つ犬において経時的にTATを測定した結果,原疾患の治療に良好に反応した症例ではTATが速やかに正常値化する過程が観察されたが,原疾患の治療に反応が乏しかった症例ではTATの高値が持続した.本測定系による犬のTAT測定では,測定値の変動の比較は可能であることが分かった.また,TATの変動を評価することで原疾患に対する治療の反応を確認できる可能性が示唆された.

  • 田村 悠, 丹羽 昭博, 松田 一哉, 遠藤 能史, 廉澤 剛
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 1 号 p. 52-55
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は雑種犬,雌,9歳齢で,右肺後葉に限局した肺腺癌を完全切除し,シクロホスファミドによるメトロノミック療法を行った.術後3カ月目に別の肺葉に転移を認め,ピロキシカムを追加したが,転移病巣は多発性に進行したため,術後10カ月目からさらにリン酸トセラニブを投与した.肺転移病巣の明らかな縮小を認めたが,副作用により,休薬,投与量の減量及び投与間隔の延長を余儀なくされた.徐々に肺病変は悪化し,術後33カ月目に死亡した.リン酸トセラニブは犬の肺腺癌に有効と思われるが,シクロホスファミドとの併用においては無菌性出血性膀胱炎を悪化させる危険性が示唆された.また,本薬剤の長期的投与において副作用である食欲低下や嘔吐は解決すべき大きな問題であったが,シプロヘプタジンやファモチジンが副作用を軽減できる可能性が示された.

獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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