日本獣医師会雑誌
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44 巻, 3 号
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  • 岩松 茂, 樽田 嘉洋, 井上 昭芳
    1991 年 44 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    長崎県下のKと畜場で関節炎型豚丹毒と診断された豚12頭 (A群), KおよびSと畜場で豚丹毒として摘発された豚と同居していた出荷前肥育豚46頭 (B群), および本病の発生歴摘発歴がない農家のKおよびSと畜場搬入豚188頭 (C群) について血清抗体価の測定ならびに豚舎内の豚丹毒菌による汚染状況の調査を実施した.
    A群の血清の生菌発育凝集 (GA) 価は256~2, 560倍以上であり, 2-ME処理血清のGA価 (IgG-GA価) は128~1, 280倍で, 両者とも極めて高い抗体価を示した.いっぽう, BおよびC群では, GA価は幾何平均 (GM) 値25.1倍および22.4倍, IgG-GA陽性率は39.1%および44.7%と両群間に差はみられず, また両群ともに各農家のIgG-GA陽性率は0%から100%の範囲でかなりの差異がみられた.しかしながら, C群ではIgG-GA価32倍以上と高い例が8例みられた.
    豚丹毒菌の分離を試みた48戸の豚舎内の糞便および敷料の混合物111例のうち, と畜場で慢性型豚丹毒と摘発された2戸 (4.2%) の3例 (2.7%) から豚丹毒菌が分離され, それらの血清型は2型, 5型および7型であった.
  • 出水田 昭弘, 安原 寿雄, 久保田 道雄, 吉木 研一, 平原 正, 児玉 和夫, 佐々木 文存
    1991 年 44 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    強毒ゲタウイルス (GV) 2078株をVero細胞で30℃継代し, 弱毒KB/VT株を作出した.
    弱毒KB/VT株は哺乳マウスに脳内接種しても病原性を示さなかった.また, 弱毒KB/VT株はHAL細胞 (ハムスター肺由来継代細胞) で明瞭な小型プラックを形成し, 大型ブラックを形成する親株と区別され, この形状は37℃で5代継代しても安定であった.弱毒KB/VT株のHAL細胞における増殖性を調べたところ, 培養温度30°Cおよび37℃では, ほぼ同程度のウイルス感染価を示した.また, 弱毒KB/VT株は4株の強毒GVと血清学的に同一の抗原性を有していた.
    これらの成績は, 本株が豚におけるGV感染症に対する生ウイルスワクチンの候補株として利用できることを示唆している.
  • 小川 美敬, 遠藤 俊夫
    1991 年 44 巻 3 号 p. 202-205
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    牛乳汁由来Stapkylococcus aunusの薬剤感受性およびβ-ラクタマーゼ産生性を検討し, 以下の成績を得た.
    1. 分離株はベンジルペニシリン (PCG), クロキサシリン (MCIPC), セファロニウム (CEL), セフロキシム (CXM), ストレプトマイシン (SM), カナマイシン (KM), エリスロマイシン (EM) およびオキシテトラサイクリン (OTC) に, MIC90が0.14μg/ml~7.69μg/mlに分布した.
    2. 47株 (39.8%) がβ-ラクタマーゼを産生したが, メチシリン耐性Saureus (MRSA) は検出されなかった.
    3. β-ラクタマーゼ産生株の薬剤感受性は培養温度および培地pHによって影響を受けた.
  • 富永 潔, 石津 協蔵, 中村 敏
    1991 年 44 巻 3 号 p. 206-210
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    山口県下の一貫経営養豚農家1戸において1~2ヵ月齢の子豚が, 発熱立毛, 沈うっ, チック等神経症状を呈して1988年1月および2月にそれぞれ6頭計12頭が死亡し3月には4頭が同様の症状を発症した.発症豚1頭を鑑定殺し病性鑑定を行った.
    主な剖検所見は, 大脳, 小脳, 延髄の出血, 肺の強い充血, 胸壁への癒着および白~灰白色の結節状病巣の多発であった.病理組織学的には, 中枢神経系組織の各部における化膿性髄膜炎, 肺の水腫と壊死が認められた.
    細菌検査では脳, 肺, 心臓腎臓からActinobacillus pleuropneumoniae2型が純粋かつ多数分離された.
    以上の成績から, 他の死亡例では明らかではないが, 鑑定殺した症例はActinobacillus pleuropneumoniae2型による化膿性髄膜炎と診断され, わが国ではきわめて希な症例と考えられた.
  • 岸 善明, 永井 昌子, 小林 英明, 鈴木 翼, 椿洋 洋一郎
    1991 年 44 巻 3 号 p. 211-215
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1988年4月から10月に栃木県下のD, HおよびK乳用牛放牧場に放牧した牛416頭の両耳に, ペルメトリンを15%(w/w) 含有する合成樹脂製の耳標 (イヤータッグ) を入牧から収牧まで約6カ月間装着した.各牧場の1群から毎月1~2回ずつイヤータッグを回収し, そのペルメトリン量および重量を測定し, 次のような成績を得た.
    1. イヤータッグのペルメトリン含有量および重量とも装着後約4カ月まではほぼ一定して減少したが, その後は減少率が低下した.1枚のイヤータッグから放牧期間中に消失したペルメトリン量は, 900mg (1日平均5.5mg) であった.
    2. イヤータッグの装着日数とペルメトリン含有量を回帰分析して得られた回帰式から, 装着された1枚のイヤータッグから1日当たりに消失したペルメトリン量は, 装着後1カ月目は8925mg, 4ヵ月目は4.065mgで1カ月目の45.5%であるが.6カ月目は0.825mgと1カ月目の92%となった.
  • 1991 年 44 巻 3 号 p. 216-222
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 野原 弘子
    1991 年 44 巻 3 号 p. 227-229
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ヨークシャテリア, 7歳雌の胸部食道に腫瘍が発生した症例に遭遇した.患犬は食物通過障害による嘔吐を主症状とし, 体重の減少が著明であった.腫瘍は胸部食道に広範囲に増生し, 胸腔入口より心基底部近くにまで広がっていた.開胸時所見では腫瘍発生部の食道は左右に拡張し, 腫瘍は胸骨側に増生し気管を圧迫して著しい気管の変形と狭窄を起こさせていた.患犬は術中呼吸困難に陥って斃死した.
    死後に摘出した食道部の腫瘍はカリフラワー状で組織学的には線維肉腫であり, 食道の深部筋組織まで浸潤性に増生していた.腫瘍細胞は分裂像が多く異型性も強く, 病勢の進行が早く臨床的には悪性腫瘍と考えられたが, 他の臓器組織に転移は認あられなかった.
  • 久保 正法
    1991 年 44 巻 3 号 p. 230-233
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    死亡していた野生狸を病理解剖した結果, 犬ジステンパーウイルス感染が原因であることが判明した.肉眼的には肺に肝変化がみられた.組織学的には, 脾の細網内皮細胞, 胃の表層粘液細胞, 膀胱の移行上皮, 気管支上皮細胞の細胞質内に好酸性の封入体を認めた.
    ABC法による犬ジステンパーウイルスに対する酵素抗体法で, 脾と膀胱の細胞の封入体が陽性に染まった.電顕的には脾の細網細胞, 膀胱の移行上皮に結晶状配列をしたヌクレオカプシドが観察された.
  • 1991 年 44 巻 3 号 p. 234-238
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 仲嶺 マチ子, 伊波 寛侑, 河村 好章, 江崎 孝行
    1991 年 44 巻 3 号 p. 243-247
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    生化学的性状検査によりStaphylococcus hyicusと推定されたが, 性状が基準株と完全に一致せず確定が困難であった豚および牛からの野外分離株7株をマイクロプレートを使用した定量的蛍光DNA-DNAハイブリダイゼーション法で同定した. その同定結果を, 生化学的性状検査に基づく従来法および簡易同定キット (APISTAPH) により得られた結果と比較した. 供試菌は従来法では7株中3株がS. hyicusと同定され, 残り4株は同定不能であった. 簡易同定法では7株中5株がS. hyicusと同定され, 残り2株はS. hyicus以外の複数の菌種名が与えられた. いっぽう, 定量的蛍光DNA-DNAハイブリダイゼーション法ではすべての供試菌が明瞭にS. hyicusと同定された. この同定法は細菌集落からの釣菌後4時間で完了した. 以上のことから, 定量的蛍光DNA-DNAハイブリダイゼーション法は定型的性状を示さないS. hyicusの同定に有効な正確かっ迅速な同定法であると考えられる.
  • 中内 潔, 中島 弘美, 岡部 道敏, 中島 正昭
    1991 年 44 巻 3 号 p. 248-251
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    豚の肺周辺部における肺気腫を寄生虫学的および病理学的に調査する目的で, 1989年7月から1990年3月までに周辺性肺気腫を呈し虫体の寄生が認められた豚104頭の肺について調査を行った.
    肺虫の検出された肺病変は右肺後葉で81.7%と最も多く, 次いで左肺後葉の76.0%に認められた.寄生肺葉数では1葉および2葉寄生豚が全体の75.0%を占め, 比較的軽度の感染が多いことが示唆された.1気管支当たりの虫体数は平均4.1匹で雌と雄の比率は3: 1であった.今回検出された豚肺虫はすべてMetastmgylus apriと同定された.病理組織学的検査では気管支粘膜下織における好酸球の浸潤とリンパ況胞の増生および活生化が著明であった.
  • 1991 年 44 巻 3 号 p. 252-255
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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