日本獣医師会雑誌
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63 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
日本産業動物獣医学会誌
  • 松本 高太郎, 村上 智亮, 菅生 樹春, 山田 一孝, 古林 与志安, 松井 高峯, 猪熊 壽
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 5 号 p. 351-354
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    17日齢のホルスタイン種雌子牛が,神経症状を示した. 病畜は頭部を左後方に折り曲げて伏臥姿勢を示し,時折自力で起立したがすぐに倒れ歩行不能であった. 神経学的検査では右の対光反射,威嚇瞬き反射,眼験反射,および音響耳介反射が消失していた. ビタミンB1およびデキサメサゾンの投与により第7病日に歩行可能となったものの左への斜頚・旋回が認められ,神経学的検査所見に改善は認められなかった. 第7病日に病理解剖を行い,肉眼的には橋の断面右側に直径1cm大の膿瘍を認め,嫌気培養にてFusobacterium necrophorumが検出された. 左側への斜頚,聴覚の消失等の脳神経症状は,橋の右側の膿瘍により内耳神経等の脳神経核が圧迫された結果出現した聴覚障害,平衡障害のためと考えられた.
  • 松山 雄喜, 村上 智亮, 大林 哲, 古林 与志安, 松本 高太郎, 松井 高峯, 猪熊 壽
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 5 号 p. 355-358
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    8カ月齢ホルスタイン種乳牛が起立不能を呈した. 右下顎リンパ節相当部に腫瘤を認めたため,牛白血病を疑い血液検査および針吸引細胞診を実施したが,確定診断に至らなかった. 病理解剖においては,環椎および胸椎にも腫瘤が存在し脊髄を圧迫していた. 病理組織学的に,腫瘍細胞はBLA-36抗原陽性であり,B細胞性リンパ腫と診断した. BLV抗体は陰性であった. これらのことから,本症例は非定型若齢牛の散発性牛白血病と考えられた.
  • 高橋 真紀, 清宮 幸男, 関 慶久, 本川 正人, 熊谷 芳浩, 芝原 友幸, 木村 久美子, 播谷 亮
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 5 号 p. 359-363
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    舌の腹側面および歯ぎんに丘疹性病変が多発した4カ月齢の黒毛和種子牛を病理学的およびウイルス学的に検索した. 病巣は有棘層の外層および顆粒層を構成する細胞の腫大,空胞化および好酸性細胞質封入体を伴う上皮の増殖により特徴づけられた. 免疫組織化学的にパラポックスウイルス抗原,また電子顕微鏡検査により同ウイルス様粒子が病巣内に観察された. ウイルス遺伝子がPCRにより病巣から検出され,PCR産物の塩基配列あるいは制限酵素断片長多型解析により牛丘疹性口炎ウイルスに分類された. 以上の成績から本病を牛丘疹性口炎と診断した.
  • 須藤 庸子, 遠藤 貴之, 水戸部 俊治
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 5 号 p. 364-366
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    分娩介助により娩出された交雑種雌子牛の後躯に奇形が認められたため,病性鑑定を実施した. 子牛は,腰椎,仙椎,尾椎を欠き,寛骨は,全体的に幅が狭く,両側の腸骨翼が,左右密着した状態で存在していた. 骨標本の観察では,第12胸椎椎弓部は前後2個の骨よりなり,剣状の第13胸椎椎体は独立して存在した. 骨盤腔内臓器では,左右の水腎症と生殖器の形成不全が認められた. 以上の結果により本症例を腰椎欠如奇形体と診断した.
  • 谷村 信彦, 髙橋 倫子, 油井 武, 加古 奈緒美, 長内 利佳, 梁川 直宏, 村山 丹穂, 水戸部 俊治, 近藤 奈央子, 高島 久幸 ...
    原稿種別: 資料
    2010 年 63 巻 5 号 p. 367-373
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
日本小動物獣医学会誌
  • 板本 和仁, 谷 健二, 田浦 保穂
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 5 号 p. 375-378
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    10カ月齢の未去勢雄のフラットコーテッドレトリーバーが,歩行時のふらつきを主訴に来院した. 神経学的検査で,固有位置感覚および踏み直り反応が両後肢で消失しており,測定過大が認められた. MRI検査では第1頸椎 (C1) 第3頸椎 (C3) の脊髄背側で,T2強調画像で高信号,T1強調画像で低信号の領域が認められ,C3に脊髄空洞症が認められた. 脊髄造影検査ではC3頭側での脳脊髄液の涙滴状の貯留が描出されたことから,本症例を頸部クモ膜囊胞と診断し,囊胞造袋術を実施した. 術後のMRI検査ではC2-3に認められた囊胞と思われる構造物が消失し,脊髄内にT2強調画像で高信号の領域は残存するものの,脊髄の圧迫は著しく改善していた. 術後36カ月経過するが症状の再発は認められず経過は良好である.
  • 小川 高, 三島 浩享, 新家 俊樹, 杉山 寛治, 神田 隆, 高橋 元秀
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 5 号 p. 379-382
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    静岡県内で飼育されている慢性鼻炎症状をもつ15歳の家庭猫の鼻汁からCorynebacterium ulcerans (C. ulcerans) が分離された. 鼻炎以外の症状はまったく観察されず,感受性抗生物質の投与にもかかわらず除菌は容易でなかった. 本菌はジフテリア毒素産生性であったことから家族と同居犬へのワクチン接種も実施した. 今後人と動物の共通感染症 として本菌に対する注意が必要である.
日本獣医公衆衛生学会誌
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