17日齢のホルスタイン種雌子牛が,神経症状を示した. 病畜は頭部を左後方に折り曲げて伏臥姿勢を示し,時折自力で起立したがすぐに倒れ歩行不能であった. 神経学的検査では右の対光反射,威嚇瞬き反射,眼験反射,および音響耳介反射が消失していた. ビタミンB
1およびデキサメサゾンの投与により第7病日に歩行可能となったものの左への斜頚・旋回が認められ,神経学的検査所見に改善は認められなかった. 第7病日に病理解剖を行い,肉眼的には橋の断面右側に直径1cm大の膿瘍を認め,嫌気培養にて
Fusobacterium necrophorumが検出された. 左側への斜頚,聴覚の消失等の脳神経症状は,橋の右側の膿瘍により内耳神経等の脳神経核が圧迫された結果出現した聴覚障害,平衡障害のためと考えられた.
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