日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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70 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 大津 奈央, 倉持 好, 佐々木 淳, 落合 謙爾, 御領 政信
    原稿種別: 原著
    2017 年 70 巻 6 号 p. 357-362
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー

    ブロイラーの浅胸筋変性症の発生要因及び病変形成プロセス解明のため,浅胸筋に肉眼的異常のある32日齢及び48〜50日齢のブロイラーの浅胸筋と深胸筋を病理学的に検索した.肉眼的に32日齢では浅胸筋は軽度の退色,筋線維の走行に一致する白色線条病変が観察され,組織学的には散在性の筋線維の硝子様変性,絮状変性,大小不同,マクロファージによる筋貪食像が認められた.48〜50日齢では,32日齢の病変より重度かつ広範で,肉眼的に浅胸筋の扁平化や,退色,水腫,白色線条病変が認められ,組織学的には筋線維の再生性変化や線維芽細胞の増殖を伴う膠原線維の増生が顕著であった.重症例では筋膜が肥厚し,膠原線維の増生及び血管新生が認められた.深胸筋ではどの日齢でも筋線維の硝子様変性がわずかに認められるのみであった.全症例で浅胸筋浅層の病変が最も重度で深部になるほど軽度であり,局所的な循環障害に起因することが示唆された.

  • 尾宇江 康啓, 榊原 道子, 成田 雅子, 佐藤 雄太, 菅野 徹
    原稿種別: 原著
    2017 年 70 巻 6 号 p. 363-369
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー

    2012年4月〜2014年9月に北海道釧路管内で採材した牛呼吸器病発生事例76例の検査牛283頭及び健康牛検査15例の検査牛99頭の鼻腔スワブについて牛パラインフルエンザウイルス3型が標的のRT-PCRとウイルス分離を実施した結果,8例17頭が遺伝子陽性,7例14頭が分離陽性であった.分離株7株のP,N,M,HN遺伝子の解析の結果,5株がgenotype A(BPIV3A),2株がgenotype C(BPIV3C)に分類され,BPIV3Aは既知株を含め4つのサブグループに細分類された.また,既存のプライマーはBPIV3Cの検出が困難であるため,BPIV3AとBPIV3Cの両方を検出可能なプライマーとBPIV3Cのみを検出するプライマーを設計し,いずれも特異性及び感度の両面で十分な実用性があることを確認した.

  • 佐藤 健太郎, 小泉 源也
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 6 号 p. 370-374
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー

    24カ月齢の黒毛和種肥育雌牛が慢性的な下痢を呈し,充実性組織塊が混在する水様性下痢,血液検査で栄養状態の低下と好酸球増多症を認めた.糞便より有意菌や寄生虫卵等は不検出であった.組織塊の細胞診で好酸球性炎による腸粘膜が剝離したものと推定し,好酸球性腸炎と診断した.また,当該牛は慢性的に高GGT血症を示し,16病日と47病日に下痢が再発した.粗飼料中のマイコトキシン検査では残飼稲ワラにおいて総アフラトキシンとして60病日に0.152mg/kg,120病日に0.300mg/kgが検出され,アフラトキシン中毒が示唆されたが,副腎皮質ホルモンを中心とした治療やマイコトキシン吸着剤の飼料添加後,栄養状態の改善が認められ,50病日以降の下痢の再発や好酸球数の増加は認められなかった.以上より,本例はアフラトキシン中毒を併発した好酸球性腸炎と考えられた.

小動物臨床関連部門
  • 岩佐 直樹, 西飯 直仁, 岩佐 和子, 岩佐 達男, 高島 諭, 菅沼 彰太, 酒井 洋樹, 北川 均
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 6 号 p. 375-379
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー

    7歳,雌のフレンチ・ブルドッグが子宮蓄膿症手術の7日後に呼吸困難と失神を主訴に来院した.来院時には,X線検査において心拡大,心エコー図検査において肺動脈弁に付着する高エコー源性の腫瘤状異常構造物(15.0×5.8mm)による肺動脈狭窄,狭窄部後部拡張及び三尖弁逆流を認めた.内科療法によって臨床徴候は改善したが,第9病日に呼吸困難,意識消失のために再来院した.肺動脈弁の腫瘤は拡大(18.5×13.0mm)して肺動脈弁部の重度狭窄を呈していた.その後内科的治療に反応せず,第12病日に心停止した.肺動脈弁病変の組織診断は,線維性結合組織の増生を伴った疣贅性細菌性心内膜炎であり,本症例は肺動脈弁に疣贅を形成する感染性心内膜炎の稀有な例と診断された.

獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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