日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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63 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
日本産業動物獣医学会誌
  • 加藤 肇, 一條 祐一, 江村 有希子, 佐藤 礼一郎, 高久 英徳, 大西 守, 田島 誉士
    原稿種別: 原著
    2010 年 63 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2010/01/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)生ワクチンの接種プログラム設定の参考にするため,ワクチン接種後の抗体の維持期間についての調査を行った. 北海道根室地区の酪農場で飼養される育成牛20頭を試験に用い,BVDV1を成分に含む生ワクチン1回接種群10頭(A 群),生ワクチン接種後にBVDV1とBVDV2を成分に含む不活化ワクチンを接種した群5頭(B群)およびワクチン未接種群5頭(C群)に区分した. A群は3年間の調査期間中にBVDV1とBVDV2に対する抗体価が上昇し維持されB群との間で抗体価に有意な差は認められなかった. C群でも抗体価の大きな上昇が認められなかったことから,調査期間中に野外株が牛群に侵入した可能性は低いと考えられた.BVDV1生ワクチンの1回接種により得られた抗体は少なくとも3年間維持されることが確認された. 本症対策として育成期における生ワクチンの1回接種は有用な手段の一つと考えられた.
  • 保坂 善真, 後藤 千尋, 阿部 敬, 永易 彩, 植田 弘美, 竹花 一成
    原稿種別: 原著
    2010 年 63 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2010/01/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    牛に飼料とともに鮭皮由来コラーゲンペプチド(MCP)を8週間摂取させ,前肢蹄冠の背側,外側,指間の真皮を解析した. MCP群の背側と外側の蹄冠皮膚は真皮の厚さ,線維芽細胞数,コラーゲン細線維の直径が増加,上昇した. MCP群の指間真皮の線維芽細胞数は増加したが,厚さは低下し,コラーゲン細線維直径は減少した. 線維径を調整するデルマタン硫酸とⅤ型コラーゲンはMCP群のすべての部位で増加し,特に指間での増加が顕著であった. 結合組織の強さの指数MADは背側と外側で増加したが指間では減少した. MCP投与による指間真皮のユニークな応答は細いコラーゲン細線維を集めて柔軟な結合組織を形成し,着地時の衝撃を緩衝するためと考察した. MCPは線維芽細胞に作用し蹄冠の各部位に即した太さのコラーゲン細線維を産生させ,真皮構造を強化する効果があると考えられた.
日本小動物獣医学会誌
  • 三品 美夏, 渡辺 俊文
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 1 号 p. 45-47
    発行日: 2010/01/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    腎機能の正常な雑種成犬5頭と雑種成猫4頭に低塩食と高塩食を与えたときの血圧および飲水量の変動を観察した. 低塩食に馴致させた後,高塩食を与えると飲水量が犬・猫ともに増加し,低塩食に戻すと低下した(P <0.05). 犬1例において,食塩負荷時に変化率10%を超える上昇が収縮期,拡張期および平均血圧に認められたが,群としてみると犬・猫ともに有意な血圧変動は実験期間を通して認められなかった. 今回の実験から,腎機能の正常な犬および猫に高塩食を短期間与えても飲水を自由にするかぎり血圧に影響はないと考えられた.
  • 山岡 佳代, 八村 寿恵, 久山 朋子, 鳥越 賢太郎, 白石 加南, 網本 昭輝
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 2010/01/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    歯肉口内炎を有す猫34頭で全臼歯抜歯処置を行い,治療効果を長期的に評価した. 34頭中17頭は処置後速やかにあるいは徐々に改善し完治に至り,5頭では明らかな改善がみられた. しかし,12頭では長期評価で改善がみられず,特に処置後の短期評価で改善が認められなかった症例や,短期的に改善が得られても経過途中で再燃した症例での長期改善率が悪い傾向があった. また,これら長期経過で改善がみられなかった12頭のうちの5頭で,さらに全顎抜歯を行ったところ4頭が完治し,1頭では改善がみられた. 以上のことより全臼歯抜歯処置後は内科的治療を継続しながら経時的観察を行うことにより,全臼歯抜歯処置で十分な効果が得られるのか,あるいはさらなる治療法としての全顎抜歯を考慮するべきなのかを判断する手がかりになる可能性が示唆された.
  • 矢野 将基, 森 崇, 星野 有希, 岩谷 直, 村上 麻美, 酒井 洋樹, 谷川 徹, 丸尾 幸嗣
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 1 号 p. 52-55
    発行日: 2010/01/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    7歳,体重34kg,未去勢雄のゴールデンレトリバーが約1カ月前から両後肢,特に左後肢の負重を避けることを主訴に紹介来院した. CT検査を行ったところ,恥骨の50%以上と坐骨の一部,左股関節付近に骨融解像が認められた. 同時にCTガイド下にてコア生検を行ったところ,骨肉腫と診断された. 1カ月間隔でビスフォスフォネート製剤であるパドロネーとの投与を開始したところ,初回投与後1 ~2週間で跛行が消失し,その後第146病日のCT検査で病変部の骨の著しい再構築が認められた. 第469病日に死亡するまでの間,計11回のパミドロネートの投与を行ったが,重篤な副作用は認められず,生活の質の改善が認められた.
  • 福岡 寛之, 佐々木 淳, 宍戸 智, 岡田 幸助, 御領 政信
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 2010/01/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    4年前より右側頸部皮下に腫瘤が触知された17歳の去勢雄,雑種猫が上皮小体機能亢進症と診断された. 外科手術時,偶発的に左側頸部にも腫瘤が認められ,右側頸部腫瘤とともに摘出された. 肉眼的に左側腫瘤は充実性白色を呈しており,右側腫瘤は無色透明の漿液を容れた囊胞状を示し,囊胞の中心部に乳白色を呈する充実性腫瘤が認められた. 病理組織学的に左側腫瘤は豊富な好酸性細胞質を持つ腫瘍細胞の充実性増殖を主体としており,周囲の甲状腺や被膜への浸潤像が認められたことから上皮小体癌と診断された. 右側囊胞状腫瘤は周囲組織への浸潤像が認められなかったことから上皮小体腺腫と診断された.
日本獣医公衆衛生学会誌
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